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出来損ないの「出来損ないのタイムマシン」

 本作品も前作同様「出来損ないのタイムマシン」シリーズで、設定も同様。

 その辺のことをご了解の上、読みたい方はお読み頂きたい。

 要約するとこのタイムマシンの作用は、金属で囲まれた(金網でもよい)一定の空間が、外部に対してある一定の「時」に留まるということだ。

 そのことを応用し、画期的な「寝具」が発売されたのだった。

 その直後からこの出来損ないの作品は始まる。とどのつまり、前の作品から、いやいや、前の前の作品から読んで頂くのがいいかも…

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 そして程なく、その「外部時間0分で熟睡」という触れ込みで、件の寝具は発売され、大人気を博した。

 もちろんその寝具は基本的に金網で囲まれているのであるが、それは寝袋のような構造で、表面は金属製のメッシュで覆われるというイメージだ。

 そして内部にコントローラーがあり、寝る人はこれでお好みの時間にセットし、外部時間0分で、10時間とか、好きなだけ爆睡できる。寝放題なのだ。

 それからもちろん、顔の部分は金属のメッシュで覆われているのみで、だからもちろん息は出来る。(当たり前か)


 それからしばらくして、とある男がこの寝具を購入し、徹底的に分解して内部を調べつくした。

 そしてその「タイムマシン機能」を発見してしまったのだ。

 まあ当たり前といえば当たり前か。

 外部時間0とか、そういうからくりだから、タイムマシンの類だと思わない方がおかしい。

 で、その男はある素晴らしいアイディアを思いつき…


 それからその男は、その出来損ないのタイムマシンのコントローラー等一式を、とある、あまり人気のない、というか倒産寸前のテーマパークの社長に見せたのだ。

 そしてその機能について口角泡を飛ばしながら詳しく説明し、起死回生の素晴らしいアイディアを社長にまくしたてた。

 つまりこのテーマパークを金属のフェンスで取り囲み、その出来損ないのタイムマシンを作動させるとどうなるか?

 つまりそうすると、そのテーマパークは、外部に対して一定の時間に留まり続けるのである。

 いいかえると、テーマパーク内では当たり前のように時が過ぎていても、外の世界では時が止まっている。そしてそこでは永遠に遊んでいられる。まるでネバーランドのような…

 それで、例えば朝十時に開園して、一定の客が入場したらタイムマシンを作動させる。

 もちろんそうすると外の時が止まり、入場門目前の人々は固まり、それですでに入場した人たちはテーマパークで遊び続ける。

 そして散々、というか一日遊んで、それからやがて人々が退場門から出て…

 ありゃりゃ、退場門から出ていきなり、そこでは「時」が止まっているから、出た人はいきなり固まってしまうんじゃ? 


「つまり退場門付近は人々の渋滞が発生するだんべぇ」

 途中まで話を聞いた社長は、あきれてこう切り出した。

「あんさんこれじゃ何のメリットもないだんべぇ。そもそも外の時間がどうあれあんだ、園内の従業員の労働時間は同じだんべぇ。そすて遊具のメンデどが、いんろいろ考えだら、ぜんぜん意味あんめ」

 そういう訳で、肝心要めのオチが落ちず、したがってこのショートショートは残念ながら豪快に「出来損ない」に終わってしまったのである。

 

 ところでその後、このテーマパークはあっさり倒産し、やがて更地になり、それを市の担当者が足元を見て、バカみたいな値段で買い上げ、そこに余った予算で野球場を建設し、しかも例の男にそそのかされ、件のタイムマシン装置を設置したのである。

 そうすると当然、試合前の練習、グラウンド整備等も含め、外部時間0で野球の試合ができる。そして選手、観衆などは、迅速にやれば30分ほどで入れ替われるので、外部時間1時間あたり2試合。ナイター設備もあり、朝8時から夜10時までで、一日で何と28試合も消化できる。

 そういうわけで高校野球、プロ野球と、この球場はその後、大車輪の活躍をし、大変な収益を上げたらしい。


次もその筋のシリーズですので

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