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大鏡

「え~、みなさんおはこんばんちわ。え~、当チャンネルでは本日、え~、巷で『人間国宝級鏡職人』と噂されておられます、そして、え~、カリスマ級鏡職人レジェンドとも言われておられます、そしてさらに!あ~、超弩級鏡職人でおわせられます、あ~、天下の!加賀見作蔵さんにお話を伺います。加賀見さん、よろしくお願いします」

「あ~、よろしくでごあす」

「ごあす?(随分古風な…)ええと、あ~、ところで、え~、加賀見さんの鏡はとても良く見えると評判です。それはもう本当にクリアー(!)に、鏡の中を見ることが出来ます。まるでガラスなど無いかの如く…」

「無いのじゃ」

「え!(ご冗談を!)で、あ~、その鏡に使われているガラスに、何か特別な秘密があるのじゃないかなぁ~って、勝手に思ってるんですけど、どうなんでしょうか?」

「だからぁ、無いのじゃ」

「無い?」

「あ~、よく言われておるが、あ~、わしが作る鏡に、特にガラスなんぞは使われておらんのじゃ」

「特にガラスなんぞは使われておらんのじゃ? じゃ、何を? あ…、アクリル板とか?」

「アクリル? ふん!」

「あ!鼻で笑いましたね!」

「まあよいではないか」

「はぁ」

「で、そもそもおまはん、鏡は、あ~、光を反射させるものであると、勝手に一方的に考えておるであろう」

「勝手に?一方的に? はぁ~、それはまあ、そうですよね。普通、光が鏡に反射して…」

「まあ、おまはん程度の人間の理解の及ぶ程度の、あ~、並の鏡であれば確かにそうであろうが…」

「おまはん程度とはこりゃまたご挨拶ですね!」

「そう怒るでないわい。わっはっは」

「はぁ…」

「あ~、で、わしの作る鏡はそのようなちゃちなものではなく、あ~、まったく以て異なる物理法則で作られておるのじゃ。即ち!」

「まったく以て異なるブツリ法則? で、即ち?」

「即ち!わしが作る鏡にはじゃな。あ~、聴いておどろくな」

「はぁ…、驚かないよう努力します」

「あ~、わしが作る鏡にはじゃな、枠しかないのじゃ」(キリッ!)

「枠? それだけ?」

「左様。しかして…」

「しかして?」

「その枠には特別な意味があ~る!」

「枠に特別な意味がR…、ですか? はぁ~、そりゃまあ、枠しかなければ、その枠に特別な意味がなけりゃぁ困るわな…」

「そうあっけらかんと言うでない」

「はぁ…、で、どんな秘密が?」

「それは企業秘密故、言うわけにはいかん」

「ありゃりゃ、そうなんすか。はぁ~」

「そう残念そうにするでない」

「はぁ」

「それじゃ本日は特別に、あ~、現在製作中の大鏡を紹介いたそうではないか♬」

「大鏡? 現在制作中? 新作ですか? それは凄い♬」

★★★★★★★★★★★★★★

★            ★

★            ★

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★     大鏡     ★

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★            ★

★            ★

★★★★★★★★★★★★★★

「これがその大鏡じゃ」

「へぇ~、枠には★が散りばめられているのですね」

「左様。わしは★が好きなのじゃ」

「ああそうですか」

「さすれば、早速、中にはいってみるだんべぇ」

「何ですか、いきなりだんべぇ?」

「まあよいではないか」

「はぁ~、ところで、中に入るって?」

「下の部分の★★★の枠をまたいで中にはいるのじゃ」

「またいで? そうですか、★★★枠をまたいで、ええと、よっこらせっと、お邪魔しま~す…、うわ!鏡の中なんて初めて入り…、ありゃりゃ、鏡の中はなんにもありませんね。本当にもう何ぁ~~~んにもないんですね」

「そりゃ製作中の鏡の中故、何ぁんにもないのじゃ」

「製作中の鏡の中故何ぁんにもない? それじゃ、この鏡に何ぁんにも映らないってことですか? じゃぁ、どうやって映るようにするのですか?」

「じゃから即ち」

「じゃから即ち?」

「じゃからぁ、これから鏡の中の世界を、あ~即ち、鏡に映る世界じゃな。即ち外の世界と裏返しになるような、鏡の中特有の世界をじゃな、これからせっせと作るのじゃ」

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