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勇者と聖女の召喚に巻き込まれた品質管理のおっさんなんだが  作者: 工程能力1.33
1章

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第55話 アルミの弁当箱

 オータの街で宿泊することになった俺たち。カグヤに手配してもらった宿には風呂があった。


「これでやっと水浴びをしなくて済むな」

「アル、シャワーが欲しいモビ」

「残念だが、こちらの世界にそれは無いぞ」


 アルは異世界の情報を知っているので、シャワーも当然知っている。でもまあ、ウサギがシャワーを使う必要なんてないと思うんだがな。というか、前回のネタを引っ張らなくてもいいのに。

 そんなこんなで旅の垢を落とし、ゆったりとくつろぐことにした。

 デーボとサクラも久々に野営しなくてよいので、ほっとしているのがわかる。


「この宿は飯も美味いらしいし、晩飯が期待できるな」

「アルミニウムにマグネシウムが入ってないとかモビ?」

「人はアルミニウムを食べられない」

「弁当箱にしてるモビ」

「入れ物は食わねーよ」


 そういえば、最近アルミの弁当箱を見ないな。電子レンジや食洗機が使えないから不便なんだろうな。


「それにしても、よくアルミの弁当箱なんて知っていたな」

「こっちに流れ着いたものを食べたモビ。梅酢で溶けたアルミが酸っぱくて美味しかったモビ」

「いや、普通はそういう感覚にはならんが……」


 アルミは酸やアルカリに弱い。弁当箱は酸性の食品で溶けたりもする。表面にアルマイト処理がしてあるようなのもあるが、食洗機ではそのアルマイトの被膜を削ってしまう。


「食洗機でアルマイトがはがれたのが流れてきたこともあったモビ」

「まあそういったものもあるよな」

「でも、はがれたアルマイトを修復しようとして、六価クロムを塗ってあったから、お腹を壊したモビ」

「腹壊す程度で済んで良かったですねー。でも、それはアルマイトじゃなくてアロジンだけどな」


 アロジンとはアルミニウムおよびその合金表面に薄い化成皮膜を化学的に生成し、耐食性・塗装密着性・導電性を付与する表面処理のことだ。昔はよく調理用の道具にアロジン処理が施されていたが、よく考えると危険だったな。

 六価クロムは発がん性物質であり、使用に制限がある。なので、今ではクロメート処理では使用されなくなった。しかし、六価クロムにも良いところが有り、それが自己修復だったのである。メッキ処理がはがれたところでも、六価クロムを塗ることで、自己修復して元に戻るのである。まあ、一般家庭にあって、アルミの弁当箱をそうして直すなんてことは無いとは思うが……

 ああ、そういや六価クロムがらみの不良もわんさかあるんで、不良にまつわるエトセトラで、六価クロムをバンバンつくってまき散らすってのも出来るんだな。しおふき臼みたいに、海に沈められそう


「得意げに知識を披露しているところ申し訳ないモビが、あれはアロジン処理じゃなくてイリダイト処理だったモビ」

「聞いただけじゃわかんねーよ!」


 アルが厭らしい笑みで、俺の失敗を笑ったのがイラっと来た。

 アロジン処理もイリダイト処理も化成皮膜処理であるが、工法に違いがある。ほぼ同じ意味でつかわれるが、実際には違いがあるのである。

 なお、同じアルミのメッキ処理であるアルマイト処理は絶縁性であるが、アロジン、イリダイト処理は導電性である。間違うと大惨事になるね。


「アルト……」

「なんだよ、アル」

「気づいたモビ?」

「何が?」

「珍しく品質的なことを会話しているモビ」

「これが本来の姿だろ」

「そんなことないモビ。転生て知識チートする設定の小説が、いつの前にか知識チートをしなくなるなんて、掃いて捨てるほどあるモビ」

「どこに喧嘩売ってるのか全く分からんが、具体名を出さないと全部が敵になるような話だな!」


 アルがまだ何か言いそうだったので、俺はφ30のA5056をアルの口に突っ込んで黙らせた。


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― 新着の感想 ―
農業チートで農業してなかったり生産チートで生産してなかったり… ま、まぁドラゴンボールだって大半の回はボール関係ないですからね!
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