第53話 ジョニー、ライデン
「あの、そろそろ話を進めてもよろしいでしょうか?」
俺とアルが脱線したので、カグヤが困惑気味に訊ねてきた。
「そうだったな。進めてくれ」
「はい。危ないところを助けていただき、ありがとうございました」
カグヤは俺たちに頭を下げた。
そして続ける。
「今、このカミツケ国は魔王軍の脅威に晒されております。そして、隣国のナカツ王国が我が国の危機を知り、異世界から召喚したという聖女様を派遣してくださることになったのです。そして、この国境の町、オータで聖女様をお迎えしようと私が陛下より指示され、向かってきたところで魔王軍の攻撃を受けたのです」
「あー」
その説明でなんとなく察した。
魔王軍とナカツ王国は裏で繋がっているんじゃないかな。で、カミツケ国のお姫様を攫うなり、殺害するなりして揺さぶりをかけると。共闘していなくても、情報を流すくらいはしていそうだな。
それにしても、やっとあいつらと関わらなくて済むと思ったら、向こうからやってきやがった。これは早々にこの場を立ち去るべきだな。
俺はそう思い、先を急ぐことをカグヤに伝える。
「俺たちは冒険者です。次の依頼を受けねば明日の飯を食う金もない身。魔王軍も撃退できましたし、これで――――」
「厚かましいようではありますが、まだここいらに潜伏している可能性もあります。どうか、街まで護衛を引き受けていただけますでしょうか。当然、依頼として報酬をお支払いいたします」
そう言われてしまうと断りづらい。逃げる言い訳をミスったな。
サクラやデーボを見ると「諦めろ」という表情をしていた。結局、カグヤの依頼を請けて、オータの街までの護衛を引き受ける。
道中は何もなく、街に到着する。すると、そこには聖女ソアラがいた。
「また、あんたたち?」
「それはこっちのセリフだ」
お互いに嫌そうな顔を見せていると、カグヤは驚いた様子で
「お知り合いですか」
と訊いてきた。
「こっちの世界に召喚されてからの付き合いですが。どこかいい縁切寺を知りませんか?」
「縁切寺?どのようなものでしょうか?」
どうやら縁切寺というものは無いらしい。この先もずっとこいつと関わることになるような気がして、俺は気が滅入った。
「ところで、貴方たちどうやってここにたどり着いたの?国境は監視していたはずだけど」
「大森林で迷って、気がついたらここにたどり着いたんだ」
「つまりは、国境破りってわけね」
「偶然の事故だよ」
とは言うものの、バレているよなあ。
「まあそういうことにしておいてあげるわ」
ソアラはあっさりと引いた。
そんな彼女の後ろから、二人の男が出てきてカグヤに頭を下げる。
「殿下、無事に聖女様をお連れいたしました」
「ご苦労」
カグヤが労いの言葉をかける。
俺はソアラに訊ねた。
「誰?」
「カミツケ国が派遣した案内人よ。名前は確かジョニーとライデン」
「ジョニー、ライデン?」
嫌な予感がする。サイクロプスの時の二の舞かと思ったが、そんな考えをアルがぶち壊す。
「ジョニーが凱旋したモビ。ハラー!ハラー!」
「そっち?」
「何がモビ?」
「それ以外に何があるって言うのよ」
アルとソアラに言われ、俺は引き下がる。
だって、そんな名前なら絶対にガン〇ムか男〇塾だと思うじゃん。
「そうそう、初めてジョニーが凱旋する時を聞いた作品をいっせーのーせで言いましょう」
ソアラが提案してきた。
「わかったモビ」
「なんでアルが知っているんだよ」
「こっちの世界に流れてくるモビ」
「そうなのか」
というわけで、初めてジョニーが凱旋する時を聞いた作品を言うことになった。
俺が合図する。
「いっせーのーせ。ダイ・ハード3」
「ガルパン、モビ」
「ダウボーイよ」
ん?
「ダウボーイ?」
「そう。あ、でも流石にコモドール64版はやったことないわよ。ファミコン版」
「それでも1985年発売じゃねーか」
「失礼ね。レトロゲームブームで、中古のカセットを買ったのよ」
「それにしても、ダウボーイかよ」
「スパイvsスパイが面白かったから、同じコトブキシステムのゲームをやってみようと思ったわけ。っていうか、ジョニーが凱旋する時のウィキペディアにも載っていない情報なのに、嘘だと思わないわけ?」
「そこはアルがダウボーイのウィキペディアを閲覧したモビ!」
「ああ、ウィキペディアを見ただけの知識と思われたくないから言うけど、Ⅱコンのミサイルを連打すれば、5面の暗闇も明るく出来るのよ。これで余裕でクリアー出来たわ」
「とても懐かしい話ですが、今回も品質管理関係ないな」




