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3/6

兄との再会

前回投稿から間が空いてしまったため、あらすじ↓ を追加しますm(_ _)m


<前回のあらすじ>

 妻の夕花が倒れたことにショックを受けた父陽斗のグダグダさに腹を立てた奏多は、腹いせに陽斗の趣味部屋で暴れる。すると突然暗闇に放り出され、落ちた先、下敷きにした相手は兄だった。

目の前にいるのは、奏多(かなた)の兄、(はるか)だった。

一つ縛りにしている金髪と緑色の瞳は、日本国民には珍しい配色だ。一方奏多は母の色を受け継ぎ、瞳の色は褐色で髪は明るい茶髪だった。

旅行帰りで帰省した時と同様に、変わった民族衣装を着ている。白いワンピースみたいな光沢のある服だ。襟元や手首の辺りに凝った織の意匠が施されていて、腰元に巻いてある太い飾り帯も同じような繊細な刺繍に彩られている。清楚だけど豪華、まるで高貴な人がわざと地味に装っているような、そんな印象を受けた。精悍な容貌に異国情緒あふれる衣装が良く似合っていた。


目を見開き、驚いたようにこちらを見て絶句している。

その表情にむくむくと怒りが湧いてきた。家の窮状を知らない呑気な反応に腹が立ったのだ。


「兄ちゃん、どこ行ってたの? 母ちゃんが倒れたんだよ! 電話もつながらないし、返信もないし! 父ちゃんは泣いてオロオロするばかりでぜんっぜん! 役に立たないし……!」

「……」


体に巣くう怒りをそのままぶつけたにも関わらず、反応がない。

それどころか怯えたような目をして、尻もちをついたまま後ずさろうとするのだ。その態度にますますムカッと来た。


「ちょっと……!」


奏多は兄の襟元を掴んだ。その勢いのまま、兄の胸元にパンチを浴びせようとする。


ガっ


すると腕を後ろから掴まれた。いつの間にか、背後に大人の男性がいて、自分の腕をつかんでいる。


「ちょっと何!」


引こうとしても、ガッチリと掴まれてピクリともしない。奏多は息を吐いた。そこで逆にグイッと腕を引いている方向へ押し込む。思ってもみなかった方向に腕を押し込まれ怯んだ相手の手の中から、自分の手首を下に引き抜いた。それからパッと後ろに飛びずさる。これで普通の相手は諦める。もしくはダッシュで逃げ出せば良い。護身術の基本だ。


だが相手はすぐさま対応して来た。飛びずさった奏多の後ろに一瞬で回り込み、腕をつかんで背中に回し、そのまま体重をかけて床に抑え込んだ……!


「ぐぇ」


圧し潰されたカエルみたいに、奏多は身じろぎも出来ない状態になる。まさに瞬きする間のことだ。まるで師匠の理央と組み手をしているみたいだ。冷や汗が出る。


何処(どこ)から入った? 何処の手のものだ?』

「は……?」


後ろから浴びせられたのは、日本語ではない。

しかし、その言葉は聞き覚えのあるものだった。父が教えてくれた、絵本の国の言葉であった。家族以外誰も知らない、父が創作した言語だと思っていた―――今の今までは。

思わず伏した姿勢のまま、顔を上げる。そこには目をまん丸に見開いた、兄の顔がある。まさか兄がこの言葉を、後ろの男に教えたのだろうか? それともこの言葉が話されている地域が存在して、そこから兄が自分達の国へその人を連れて来たのか……? そして自分を抑え込んでいる人物は、奏多と兄の関係を知らないらしい。

自分を押さえつける背後の人物にも通じるように、念のため、奏多も同じ言葉で話しかけてみる。


『……兄上? 兄上ですよね?』

『え?』


パチクリと瞬きを繰り返す兄は、ポカンとしている。まるで知らない人間に兄と呼び掛けられたかのようだ。

目の前の顔は奏多の兄そのものだ。間違えようがないのに。

……まさか記憶喪失? そんな漫画みたいな!


『兄上?』

『黙れ、不敬な……!』

「うぐっ」


背中から更に圧を掛けられ、圧迫感で胸が苦しくなる。目の前の景色に、キラキラと星が舞い始めて―――真っ暗になった。

そうして奏多は意識を落とした。いや、意図的に落とされたのだろう―――気が付いたら、暗い地下室のような、牢屋のような部屋に一人放り込まれていたのだから。


そしてプロローグに戻ります。


短くてすみません(;^_^A

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