栗拾い
「ねえ、百合」
「はい、辰巳さん」
「ご近所さんが、所有する近くのあの山で栗拾いしてもいいよと言ってくださいましたよ」
「それはまた」
「一緒に行きませんか?」
辰巳さんに誘われる。
断る理由もないので頷いた。
「もちろんです」
「では、さっそくですが準備していきましょうか」
「はい」
可愛らしさがありつつも動きやすい服を選んで着る。
辰巳さんにポニーテールにしてもらって、お化粧もしてもらって出かける。
辰巳さんと手を繋いで山に登る。
そしてさっそく栗拾いを開始した。
イガを踏んで中の栗だけを取り、カゴに詰める。
「辰巳さん、思ったより大量ですね」
「たくさん食べられそうですね、百合」
辰巳さんと一緒なら、ただの栗拾いさえ楽しい。
時間も忘れて辰巳さんと栗拾いを楽しんだ。
大量に収穫して、さすがに必要以上の量になったところでやめる。
「では、山を降りましょうか」
「はい、辰巳さん」
帰りも二人で手を繋いで帰る。
穏やかな日常に、ささいなイベント。
こんな日がずっと続くような錯覚さえ覚えた。
「さて、さっそくですが夕飯は栗づくしのメニューにしましょうか!」
「はい、とりあえず栗ご飯は必須ですね」
「ええ、そうですね。あと栗きんとんもデザートに作りましょう」
「栗グラタンも作りましょうか」
「栗コロッケもいいですね」
辰巳さんと夕飯のメニューを決める。
たくさん栗を取ったので栗づくしだ。
ちなみにただで山を貸して栗拾いさせてくれたご近所さんにも、取った栗の一部ときんぴら饅頭をお礼に渡した。
「ではまずは下処理をして、調理開始です」
「はい」
辰巳さんと並んでキッチンに立つ。
二人で夕飯を作るのは、なんだか夫婦みたいで楽しい。
「ふふ、新婚さん気分ですね」
「ですね」
そして出来上がったご飯を二人で食べる。
「いただきます」
「いただきます」
一口口に含む。
栗のホクホク感と甘さが美味しい。
「美味しいですね、辰巳さん」
「ええ、とても」
辰巳さんと栗づくしの夕飯を満喫して、今日も穏やかな日常を楽しんだ。




