表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ねえ、君は生きたいですか?死にたいですか?  作者: 下菊みこと


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/57

昼寝

私も辰巳さんもコンビニの夜勤をしているので、睡眠は専ら昼寝で取る。


暑い夏にエアコンもつけずに眠れるのは辰巳さんの異常に低い体温のおかげ。


辰巳さんにひっついて寝ればクーラー要らずだ。


「ただいま。そしておかえりなさい、百合」


「ただいまです。おかえりなさい、辰巳さん」


「今日もお疲れ様でした」


「お疲れ様でした」


今日も今日とて仕事を上がって二人で手を繋いで帰宅。


「いただきます」


「いただきます」


そしてコンビニの廃棄品を食べる。


本当はダメなのだが、融通をきかせてくれる店長に感謝。


「では、眠りましょうか」


「はい」


ご飯を食べたら歯磨きをして、寝室に直行。


「おいで、百合」


「はい」


敷布団とタオルケット、そして辰巳さんに包まれて目を瞑る。


「今日もよくおやすみ」


「はい…」


辰巳さんに頭を撫でられると睡魔がやって来る。


辰巳さんの冷たい手がそれだけ心地よいのだろう。


目を閉じれば、意識が落ちるのは早かった。

















意識がとろんとした状態で、なんとなく目がさめる。


辰巳さんは隣にいなくて、けれど身体は冷たいから先ほどまで辰巳さんは隣にいたはず。


寝返りを打って視線を動かせば、辰巳さんはなにかを食べていた。


なかなかにグロい光景。


よくわからない怪異を貪り食う辰巳さんは、けれど恐ろしさよりやはり美しさの方が勝つ。


「辰巳さん」


舌ったらずで情けない声。


けれど辰巳さんは、怪異の紫色の血を口元につけながらこちらに振り向いた。


表情はいつもと違わず優しげだ。


「起こしてしまいましたか?」


「いえ…」


「昼寝していたら、百合を食べたがる怪異が侵入してきたのでちょっと小腹を満たしていたのです」


なんでもないことのように言う辰巳さん。


でもそんな辰巳さんも好きだ。


なんて、ね。


「ふふ、お腹いっぱいですか?」


「ええ、それなりに」


「美味しいですか?」


「まあまあですね」


その後も私の視線は気にせず貪り食う辰巳さん。


食べ終えると、口元を拭って部屋を綺麗にしてから私の元に戻る。


「お待たせしました。昼寝の続きをしましょうか」


「はい」


こんな光景に慣れてしまった私も相当だ。


けれど、それが幸せだなんて…そう思ってしまうのは許してほしい。

高評価、ブックマークなどありがとうございます!とても励みになります!完結まで頑張っていきますので、楽しんでお付き合いいただければ幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ