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ねえ、君は生きたいですか?死にたいですか?  作者: 下菊みこと


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そうめん

「ねえ、百合」


「どうしました?辰巳さん」


「夏といえばそうめんですよね」


ワクワク顔でそういう辰巳さん。


「さすがに流しそうめんはちょっと難しいですよ?」


「そこでこれです!」


辰巳さんが取り出したのは、いつのまにか買ったらしい室内でちょっと気分を楽しめるミニマム流しそうめん機。


「いつのまに…」


「これで一緒に食べましょう?」


「…ふふ、いいですよ」


今までの人生で、こんなにも季節を楽しんだことはない。


けれど、それをよかったと思えるほど濃い毎日を送れるようになった。


辰巳さんには本当に感謝だ。


「さあ、では僕はそうめんを茹でてきますね」


「私もめんつゆと薬味を用意しておきますね」


二人で一緒に流しそうめんの用意をする。


こんな何気ない時間すら愛おしい。


















「さあ、百合。そうめんの準備はバッチリですよ!」


「めんつゆと薬味もオーケーです」


「では、スイッチオン。流しますよ」


「いただきます」


「いただきます」


少しずつそうめんを流しては、捕まえて食べる。


ただそれだけの単純な作業なのだけど、辰巳さんと一緒だと楽しい。


「辰巳さん、楽しいですね」


「ええ、とても。それに美味しいですね」


「はい、とっても」


なんの工夫もない普通のそうめんだけど、辰巳さんと楽しんで食べているからかとても美味しく感じる。


そうこうしていると楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、気付いたら食べ終わっていた。


「ご馳走さまでした」


「ご馳走さまでした」


お腹いっぱい食べられて満足だが、そうめんも茹でてない分はまだたくさんある。


「残りのそうめんはどうしましょうか」


「百合、知っていますか?」


「?」


「今そうめんレシピが流行っていてね、そうめんカルボナーラやらミルクそうめんやら色々あるのですよ」


「え、そんなのあるんですね」


びっくりする私に、辰巳さんは笑う。


「色々試してみませんか?」


「いいですね、やってみましょう」


それからしばらくはそうめん漬けの毎日を送った。


けれど、アレンジそうめんは色々な種類があって飽きることなく毎日楽しめた。


しかも色々な味のそうめんは色々な材料を使うので、栄養的にもまあまあ色々とれたのでなかなか良かった。


「辰巳さん。色々なそうめんレシピを楽しみましたけど、どれも美味しかったですね」


「ええ、百合とたくさん楽しめて満足です」


「ふふ、私もです」


辰巳さんと過ごす何気ない日常が、こんなにも愛おしい。


幸せって、こういうことを言うのだろう。


遅れてきた青春を、最期の日まで謳歌しよう。

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