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「じゃあ、岩瀬さん、坂本さん。レジよろしく」


「はい」


コンビニのアルバイト中。


当たり前のように隣にいるのは、実は神様だなんて誰が想像するだろう。


「ありがとうございましたー」


「ありがとうございましたー」


レジ打ちが終わると、彼は私の肩を揉む。


「お疲れ様です、百合。どうです?これから僕と少し休憩に大きなお城にでも」


「行きません」


「えー」


セクハラで訴えてやろうかと思ったが、神様ってどこに訴えれば良いんだろう。


「まあ、冗談は置いておいて。バイトも終了時刻ですよ」


「わーい」


「岩瀬さん、坂本さん、お疲れ様」


「お疲れ様です」


「お疲れ様でした!」


店長さんが言う。


「今日も廃棄になっちゃったお弁当、いくつかこっそり持って帰っていいよ。でも秘密だからね?」


「ありがとうございます!」


「ご馳走さまです」


廃棄になったお弁当を貰って帰る。


当然全て賞味期限切れだが、私は食べられればそれでいい。


「明日の食事も賄えましたね」


「店長さんが理解ある方でよかったですよ、本当に」


「しかし、コンビニの深夜バイトは変なお客さん率が高くて疲れますね」


「ですねー」


「今は朝ですが…ほら、あんなところにも変なお客さんが」


喋りながら恋人繋ぎをして、自宅に向かって帰っていると彼は指をさした。


そこには首の曲がったお客さん。


「あらら…」


「君が人生に悲観的なのは、人の身でありながらアレらが見えるからですか?」


ニコニコしながら問われて、頷く。


「それもありますよ。それだけじゃないですけど」


「へぇ。他の理由は?」


「捨て子だから、肉親がいないから、友達もいないから、趣味もないから、その辺りでしょうか」


「つまりは確固たる理由があるわけではないと」


見透かすような瞳。


私は頷く。


「そうですね」


「そうですか。君は本当に興味深い」


「それは良かった」


はやく、飲み込みたいほど愛おしいとでも思って欲しい。


溶けるように、眠りたい。


「ふふ、まだ君に興味がありますから。もう少し待ってくださいね」


「人の感情を読まないでください」


「おや、これは失礼しました」


クスクスと笑うその人に、けれども嫌気は感じなくて。


「さあ、帰ってお弁当を食べましょう。そして添い寝をしましょう」


「はい、いいですよ」


彼と添い寝するのはもはや日課となってしまっていて、彼の驚くほど冷たい体温はこの暑い夏にはありがたくて。


冷房をつける代わりに、家の中では私が彼にべったりだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読み始めてしまいました。 楽しんで書かれているのが伝わってきます。 どうかいつも通りに?ぃつも以上に、奇想天外によろしくお願いいたします! 続きが楽しみです。 龍神さまの低温添い寝が羨まし…
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