表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

1話 出会い

一話です。

よろしくお願いします。

 夜が明け、新学期のクラス替えが行われ、クラス表が張り出された玄関先で、影十と僕は自分の名前を探した。

『おーい、大輝ー。あったぞー』

『どこだった?僕は2組だった』

 自分のクラスを見た感じ影十の名前はなかったので、別のクラスだろう。

『お、まじか。隣のクラスだわ俺。1組。』

 案の定別のクラスだったようだ。

『大輝ー、俺がいなくて平気か?なんつってな!』

 笑いながら、僕のことをからかってくる影十は、どこか寂しげな表情だった。

『お前こそ、俺がいなくても平気かよ。手綱引いてくれるやつ探しとけよー』

 影十は、陽キャの部類にはいるので、本当のところは心配していない。かといって寂しくないと言えば嘘になる。10年以上同じクラスにいた親友が今度は別のクラスにいる。普通に寂しいと内心は思っていた。

『そういえばさ、大輝は2組だろ?転入生がいるらしいぞ。』

 確かに見たことない名前が僕のクラスの名簿にあった気がする。教室に続く廊下を二人で話しながら歩いていると、見たことがない制服の女の子が前から歩いてきた。

 僕は目を奪われた。とても綺麗でどこか寂しげな瞳。腰まで届きそうな美しい黒髪。彼女が転入生なのだろう。自分の胸が弾むような気がした。

『どうした大輝?一目惚れか?』

『そ、そんなわけないだろ!』

 転入生に夢中になっていた僕は、影十に話しかけられ、焦って挙動不審になっていた。

『ははーん?誰にも興味を示さなかったおまえがなぁ。』

『そんなんじゃないよ、ただなんか気になって。』

 嘘ではない、どこか彼女の儚げな雰囲気が僕は気になっていた。

『まぁ、いいさ。そのうち恋バナでも聞かせてくれよー』

 そういって影十は自分の教室に入っていった。いつの間にか3年生の教室までついていたのでびっくりした。

『そんなに彼女のこと考えていたのか僕は。』

 独り言を誰にも聞こえない声で言いつつ自分の席についた。

 そんな感じで僕の3年生、もとい受験生の新学期が始まった。考え事をしているとあっという間に時間は過ぎ、朝のホームルームの時間になっていた。

『みんな席に着けー。このクラスの担任になった。井上結衣だ。最後の一年間、よろしくなー。』

 クラス中から歓喜の声が聞こえる。井上先生は去年も僕のクラスの担任だった。喋らなければ滅茶苦茶美人と学校中で人気のある先生である。主に男子から。因みに独身らしい。影十情報では。話し方は男勝りな感じがするが僕としてもとてもいい先生だと思っていたので、これは嬉しかった。

『はいはい、静かにー。みんなも気づいていると思うけど、転入生を紹介するぞ。白瀬さん入ってきていいぞ。』

 ガラガラと音をたててドアが開いた。立っていたのは、先ほど僕が目を奪われた女の子だった。

『はい、失礼します。』

 丁寧に頭を下げて教室に入ってきた彼女は、やはりとても綺麗だった。

『白瀬ひまりです。一年間よろしくお願いします。』

『白瀬の席はー、神里の隣な、神里いろいろ教えてやれー』

 そう言われて、僕は隣の席が空席だったことにようやく気付いた。

『神里君、よろしくね』

『あ、うん。よろしく』

 そんなこんなで、新学期早々僕は恋をしたようだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ