第52話
◆神坂夏菜 視点◆
お風呂から出てリビングで髪を乾かしつつテレビを見ていたら、スマホのメッセージ着信通知があったので確認しようとしたら立て続けに着信し、合わせて4件のメッセージが届いたので着信した順に確認をした。4件を確認している間に更に3件のメッセージを着信したが、情報をまとめると概ねこの様な感じだった。
・学校の裏サイトに性的な動画が大量に投稿されている
・男女とも制服はうちの学校の生徒のもの
・女子生徒は脅迫されている様子がある
・同じ女子生徒の動画が多いが複数人、最低でも2人以上いる
・場所は校舎内のどこかの教室らしき場所
・多くの動画が女子生徒1人に対して男子複数人
春華に声を掛け確認すると、春華も友人から連絡をもらっていたみたいで、情報量は私よりも少ないものの同じ様だった。
当然この状態で気になるのは美波なので、夜分ではあるが春華とふたりで隣の家へ訪問した。
◆岸元美波 視点◆
夕食を済ませ自室でひとり勉強をしていたら、スマホがメッセージアプリの通知を知らせてきた。普段まったく関わりのない男子からだったけどクラスのグループ向けだったので内容を確認をしたら、文字はなく例の空き教室で二之宮さんが鷺ノ宮君たち複数の男子に囲まれている時の様子の写真だけがアップされていた。
そこからは次々と他のクラスメイト達もメッセージを送ってきていて、わたしは一つの可能性に怯えながらその流れるメッセージを眺めていたら、恐れていた状況になった。
二之宮さんの写真がいくつかアップされていた中で、わたしの写真もアップされた。それを見た瞬間に頭が真っ白になり何も考えられなくなっていたけど、春華ちゃんと夏菜お姉ちゃんが訪ねてきてくれたことで意識を取り戻した。
夏菜お姉ちゃんの話によると、学校の裏サイトに例の空き教室で行われていたことを匿名でアップした生徒がいて、それにより裏サイトやそれを見た生徒たちが盛り上がってしまっているとのことだった。二之宮さんやわたしの写真だけでなく、仲村先輩や芳川さんの写真もアップされているとのことだった。
夏菜お姉ちゃんはもうすぐ夏休みになるし、今学期の授業は実質ない様な状況だから今学期はもう学校を休むようにと勧めてくれた。夏菜お姉ちゃんが言うことはもっともだと思ったけど、冬樹と会うチャンスがなくなってしまう事が気掛かりで結論を出せなかった。
◆鷺ノ宮隆史 視点◆
既に凪沙に引導を渡され退学するしか道が無い状況になっているが、正式に退学したわけでもなく同じく退学になる仲間内以外には知らせていないからメッセージアプリのグループはまだそのままだ。夏休み前ということがあり、よく一緒に遊んでいるクラスメイト達から打ち上げの相談のやり取りがあるのは見ていたが、ずっと反応できずにいた。
そんな中クラスのグループに凪沙が俺の仲間内の男子たちに囲まれている写真がアップされ、それからも次々と写真やその写真の元の動画が裏サイトにアップされているという情報やその動画のアップされたURLなどがアップされてきた。更に岸元さんの画像も上がってきて、もしやと思い大元のサイトを見に行くと仲村先輩や芳川さんの動画も上げられていた。恐らく、仲間のうちの誰かが撮っていた映像を上げたのだと思うが、撮影をしていたのは多くが鈴木だし、鈴木は他の人間には動画を共有していないはず。こんなものをアップしたら、凪沙だけで留まっていた対象が4人に増えるだけでなく取り調べの時に言わなかったこともあり罪が重くなる。
鈴木は何を考えて・・・と思ったが、すぐに凪沙が命じて従うしかなかったんだろうということを察した・・・
それにしても、自分だけでなく他の女子たちの動画まで上げさせるとか・・・凪沙は恐ろしい女だ・・・
◆二之宮凪沙 視点◆
鈴木くんが私の動画を上げてくれたから学校の裏サイトやメッセージアプリの参加しているグループはどれも賑わっている。これで、好奇の目が私に向かい冬樹が守ってくれる・・・楽しみだわ。
そうだ、鈴木くんへお礼のメッセージを送っておきましょう。
【動画のアップありがとう】
【しかし、私のものだけで良かったのに、何で他の人の動画も上げたのかしら?】
【え?】
【全部あげないといけないと思ってた】
【あらそうだったの】
【私はどちらでもいいわ】
【でも、そうすると警察が厳しく調査するのではないかしら?】
【次に会えるのはずっと先になりそうね】




