表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた  作者: したらき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

263/271

第263話

岸元美波(きしもとみなみ) 視点◆


岸元家(うち)神坂(かみさか)家のバーベキューはみんなが食べ終って落ち着いたところでコンロを片付けて、冬樹(ふゆき)の家の中へ舞台を移した。

冬樹とお姉ちゃんがキッチンで余った材料を使って軽食を作ってくれている傍らで、みんなはテレビを見たり歓談したりしている。


春華(はるか)ちゃんとユッキー君と藤堂(とうどう)さんは声優だという藤堂さんの叔母さんが出演しているアニメを見始めて、アニメに詳しい春華ちゃんがユッキー君と藤堂さんに説明をしている。

ユッキー君は春華ちゃんほどではないけどアニメを見るようで、今見ている作品についても少しは知っているみたいだけど、藤堂さんは今までアニメを見ていなくて最近になって叔母さんの事を知ってから見るようになったとのことで、春華ちゃんやユッキー君の話すことを興味深げに聞き入っている。

藤堂さんからしたら春華ちゃんは強力な恋のライバルのはずなのだけど、春華ちゃんに対してすごく好意的で尊敬しているように見えるし、実際にそうとしか思えない。

どうして恋のライバルに対してそんな風に思えるのだろう?

仮に春華ちゃんがユッキー君の想いに応えたとして、その時でも藤堂さんは春華ちゃんへ向けている好意を変えずにいられるのかな?

春華ちゃんは生徒会長になってから夏菜(かな)お姉ちゃんみたいな頼り甲斐があるようになってきたと思うし、元々持っている親しみやすさと相まって人(たら)しみたいになってきているから恋が敗れても憎めなくなるのかな?

それとも折り合いを付けてユッキー君が春華ちゃんと藤堂さん(ふたり)と付き合ったりするのかな?

わたしは隆史(たかし)のことで仲村(なかむら)先輩には関わりたくないし関わって欲しくないと思っている。隆史君は仲村先輩と会う約束をしたら言ってくれるし、実際に会った後にもどんなことをしたのか連絡してくれるけど、入学式の日の一件以降わたしが学校へ行っている時間などの会えない時間に頻繁に会っていて、その事が原因で気持ちが苦しくなって落ち着かないんだけどな・・・


考えが変な方向へ向かってしまっていることを意識したので気分を変えようと別のところへ目を向けると、お姉ちゃんと冬樹が笑い合いながらキッチンで料理をしている様が色濃く見えた。

ちょうど1年前の凪沙(なぎさ)さんと隆史君が冬樹を陥れた一件が起こる前までは冬樹を意識していたし、将来は冬樹と愛を育んで結婚するのだろうという漠然とした未来予想をしていた。今だってやっぱり冬樹はかっこいいと思うし、お姉ちゃんと付き合っていなかったら付き合うためにアプローチをしていたかもしれない・・・冬樹は優しいからお姉ちゃんと付き合っていなかったらわたしの事を許してくれた後に、恋人にだってなってくれたと思う・・・でも、お姉ちゃんの冬樹への重い想いの前には太刀打ちできなかったとも思うし・・・



・・・結局は最初に信じられなかったことが全てだったし、今も隆史君のことを信じられないのも根っこの部分では同じなんだと思う。


理解がある振りをして仲村先輩と会っていることにも何も言えないで、悶々とした気持ちが膨らんでいく。




夕方になりお開きになって、お姉ちゃんと夏菜お姉ちゃんと春華ちゃんに相談したいことがあるとお願いしてお母さんたち大人組や藤堂さんが先に帰ったあとに残ってもらった。

冬樹も気を遣って片付けや掃除をしているからと言ってくれたのでお姉ちゃんの部屋で用意したお茶に口をつけて唇を湿らせてから口を開いた。


「あのさ、わたし、これから隆史君とどう付き合っていけば良いのかわからなくなっちゃっているんだ。

 仲村先輩と会っていることにも何も言えないで、自分の中で溜め込んで消化不良を起こしちゃっている感じになってて・・・なにかアドバイスもらえないかな?」


「アドバイスと言っても私は冬樹くんしか想った相手がいないし、たぶん夏菜ちゃんも春華ちゃんもお付き合いしたことないよね?」


「そうですね。美晴(みはる)さんが言ったように恋愛というものを経験してきてないです。

 せいぜい、何回か男子から告白されたことがあるくらいでしょうか」


「あたしもお姉と一緒だね・・・ってそんなこと、美波ちゃんもわかっているよね?」


「それはそうなんだろうけど・・・」


「まぁ、当事者じゃないから冷静になって客観的に見えることもあるだろうし考えてみよう」


「そうだね。夏菜ちゃんが言うように傍目八目でわかるかもしれないね」


「それもそっか・・・じゃあ、美波ちゃんのために考えてみるよ」


「みんな、ありがとう」



お姉ちゃん達は真剣に考えてくれて、それでいてわたしを気遣ってくれていて厳しいことは言ってこない。

でも、話をしているうちにみんな隆史君との関係を良くないと思っていることが感じられる。

わたしにひどいことをしたからというだけでなく、今の仲村先輩との関係もあっていびつな状態になっていることが、ちょっとしたきっかけで脆く崩れてしまうだろうから・・・


ああでもないこうでもないと話をしていて、同じ内容を繰り返し空転しかけたところで春華ちゃんがとんでもないことを言い出した。


「いっそのことさ、美波ちゃんもフユと付き合っちゃえばいいじゃない?」


「ちょっと!春華ちゃん!なにトンデモナイこと言ってるの!?

 第一お姉ちゃんに悪いよ」


「そうだよ、春華ちゃん。

 たとえ冗談だとしても言って良いことと悪いことがあるよ」


お姉ちゃんは表情は笑顔のようで内心から『私はとても怒っています』としか思えない雰囲気を醸し出して春華ちゃんを見つめ(睨みつけ)た。


「ご、ごめんなさい。美晴お姉。

 でも美人姉妹のどんぶりって・・・」


「は、る、か、ちゃ、ん。マンガとか読み過ぎなんじゃないかな?」


お姉ちゃんの様子は今まで見たことがない怒りを携えた状態で、再び春華ちゃんを見つめ(睨みつけ)た。


「本当にごめんなさい!」


お姉ちゃんに見つめら(睨ま)れていたたまれなくなった春華ちゃんはその場で土下座をして事なきを得た。


そこから話はしばらく堂々巡りをしたのちに、進展してもっと具体的に迷うことがあったら改めて相談してくれるということで終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【別作品】ノンケのアラサーOLだけど異世界からやってきた最強の魔女と災厄の魔王と3人で百合ハーレム生活を送ります

よろしくお願いしますm(_ _)m

リンクは\こちら

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ