第255話
◆岸元美晴 視点◆
病院から帰宅した時に冬樹くんがお母さんから言われた話の内容を聞かされて驚いた。
美波や夏菜ちゃんや春華ちゃんが知っていることだから、そこからお母さんに伝わって知られてても不思議はないのだけど、それならそれで冬樹くんじゃなくて私に直接言ってくれれば良いのにと思ったので、冬樹くんが来てくれている家族たちのお昼ごはんを用意してくれている時にお母さん(と言葉もわからないこども達)だけ離れて他の家族たちに聞かれないように恨みも込めて聞いてみた。
「ふたりで待合室にいた時に冬樹君がガチガチになっていたから気持ちをほぐしてあげようと思って言ったのだけど、ちょうどあなたのお産が終わって呼び出されてそこで話が終わっちゃったのよね」
と、冬樹くんのことを考えてくれてのことと言われてしまうと恨めしさも霧散してしまう。
「いくら冬樹くんが緊張していたからって、その話題をいきなり言うのはひどくない?」
「たしかに気持ちをほぐしてあげるつもりが第一だったけど、言ったことは本心よ。
この可愛いふたごちゃんの両親が変な趣味を持っているなんて可哀想じゃない」
お母さんはそう言いつつ抱いている息子を軽く持ち上げてニヤついた。
たしかにお母さんの言う通りで、いくら清潔には気を付けていたとは言え本来の目的ではないことだから予期しない事故が起きてしまうかもしれないのでそこは気を付けないといけない。冬樹くんがはいっていると気持ちが落ち着いたのはあるけど、もうこども達が産まれたのだから普通に挿れてもらえば良いだろうし・・・そもそも冬樹くんは消極的だったのだから・・・
「お母さんの言うとおりだね。お母さんになるんだし今まで以上に気を引き締めていかないとね。注意してくれてありがとう」
「納得してもらえてよかったわ・・・でも、美晴は我慢できるの?」
「お母さん!」
その後は冬樹くんが用意してくれたお昼ごはんをみんなで食べてから用事のある人からバラバラに帰っていき、夕方には最後まで残ってた美波と春華ちゃんが帰っていって私達家族4人だけになった。
私が娘を、冬樹くんが息子を抱っこした状態で向き合う。
「やっと落ち着きましたね。美晴さんは疲れてない?」
「うん、大丈夫。疲れてないよ・・・というか、これからこの子達の事を見続けてあげないといけないのだから疲れている場合じゃないよ」
「だから心配なんですよ。美晴さんは責任感が強いから、無理をし続けそうで・・・幸い僕らは家族がすぐ近くに住んでて気にかけてもらえているのだから、無理をして倒れちゃったりする前にちゃんと助けてもらいましょう」
「・・・うんそうだね。無理して倒れちゃったら本末転倒だよね・・・」
元々自分のことは一人でなんでもできていたのもあって、誰かを頼るということがほとんどなく、その発想すらなかったけど、私が倒れちゃったらこの子達の面倒をお母さん達の都合関係なく押付けてしまうことになるからそこはきちんとコントロールして最悪の状況にならないように甘えさせてもらうのも必要だと思う。
「そうですよ。僕は頼りないかもしれないですけど、母さんや愛美お義母さんや姉さんは頼りになります」
「あはは、たしかにお母さんたちは頼りになるよね。でも、冬樹くんもすごく頼もしいからそんな自分のことを卑下しないでね」
「・・・そうですね。この子達のためにも頼れるお父さんにならないとですね」
「うん、その意気だよ。
それとね、冬樹くん・・・」
昼間お母さんに言われた事とそれを受けて私が思ったことを冬樹くんに伝えた・・・やっぱり冬樹くんも良くないと思っていたみたいで、今後はそういうことはしないようにすると申し合わせた・・・
・・・残念な気持ちもあるけどしょうがない・・・うん、しょうがないね。




