第15話
◆岸元美波 視点◆
わたしの部屋に冬樹と春華ちゃんと夏菜お姉ちゃんの4人が揃い、小さいテーブルにお母さんが持ってきてくれた飲み物とお菓子を用意し、テーブルを囲むよう座って話を始めた。
「うーんと、まずは冬樹、あなたが疑われた時に信じてあげられなくてごめんなさい。
そして、その後もなんて声を掛けて良いのかわからなくて距離を置いてしまってごめんなさい」
「冬樹、私も信じてあげられなくて申し訳なかった。
そして、私たちが変に動いたせいで噂の真実味を強めて拡散してしまったのも悪かった。
あと、家族なのに逃げてしまって・・・情けない姉だ」
「フユ、あたしもごめん。あたしが早とちりしてお姉ちゃんやパパママに本当のことだって話しちゃったからおかしくしちゃったんだってわかってる」
まずわたしが謝罪の言葉を口にしたら春華ちゃんと夏菜お姉ちゃんも続いた。
「うーん、岸元さんも夏菜さんも春華さんも、もういいですよ、過ぎたことですし。
今更になって何を言っても過去は変わらないじゃないですか。
それに、今の生活も存外悪くないですし、むしろ良かったかもしれないです」
「フユ!そんな悲しいこと言わないで!あの後すぐに、フユが悪くないと思って話をしたかったの!だけど!フユがものすごく怒った顔で睨んできたから・・・あたし怖くなっちゃって・・・あと、ハルって呼んでよぉ」
冬樹の突き放す態度に春華ちゃんは悲痛の声で懇願した。
「冬樹が怒るのは当然だし、私は許されない事をしたと思う。それでも冬樹の姉でいたいんだ。
あの直後の冬樹が恐ろしくなって逃げてしまったのは春華と同じだし、お前から2ヶ月も逃げ回ったあげく、誤解が解けてからこんな事を言うのは虫が良い話だというのもわかっている。
それでも、どうか家に帰ってきてくれないだろうか」
「わたしもお願い。わたしがバカだった・・・心の底から反省してる。冬樹とちゃんと話ができないのはイヤなの・・・」
春華ちゃんに続いて夏菜お姉ちゃんとわたしも縋るように言葉を投げかけると、冬樹は目を瞑って何かを考えているような雰囲気になった。わたし達はそれ以上口を開かず冬樹からの言葉を待った。
体感では1時間以上にも感じられる無音の時間を経てから冬樹は言ってくれた。
「わかりました。前と全く同じというわけにはいかないでしょうけど、近付けるように努力しましょう。
たしかに、俺が近付けさせない雰囲気を作っていたのもありますし、お互いに悪いところがあったということで仲直りしましょう。
岸元・・・じゃなくて美波、それに姉さん、ハル、まずは呼び方ですね。あと、家に帰るかどうかはお父さんお母さんとも話をしないと決められないでしょう。今日は家にいるんですか?」
わたしも春華ちゃんも夏菜お姉ちゃんも嬉しくなって、みんなして顔がグシャグシャになるほど泣き出してしまった。
ひとしきり泣き尽くして、部屋の空気が弛緩してわたし達がティッシュで顔を拭き終えたタイミングで、ノックもなしに部屋のドアが開けられた。




