死に戻りとユキちゃんのおっぱい
私はユキ。
いつもの様にみんなと亜美の家にお泊まりをしているの。
「本当に翔子ったらずるいよね」
「なんでよ、公正な抽選の結果でしょう」
「それはそうだけどさあ」
「ねえ、いい加減この話題も飽きたんだけど」
「翔子にとってはでしょう。
でもね、ゆう坊のお姉ちゃんとしては悪い虫にはしっかりと釘をさす義務があるのよね」
亜美はゆう坊の事になると人の話をちっとも聞かないわね。
「もう、亜美やめなよ。
その話はもういいわよ。
それより時間も遅いんだから寝ましょうよ」
もう深夜だもんね。
パジャマパーティもお開きよ。
それにしてもみんなゆう坊のことになると引かないんだから。
亜美の入れ込みようは弟へのそれというよりは恋い焦がれる相手への物よね。
亜美はゆう坊が自分の弟っていう自覚があるのかしらね?
「ほら、電気を消すよ」
電気が消えてやっと静かになったわ。
それにしても翔子にはやられたわね。
昨日の脱衣所のイベントでゆう坊におっぱい押し当てるまでは完璧だったのに。
『ユキちゃん離してよ、恥ずかしいよ』
あの恥ずかしそうなゆう坊の声にはゾクゾクしたわ。
でも、私ののおっぱいから逃げなかったの。
それが可愛かったわ。
なのに私のおっぱいの感触はすっかり翔子に塗り替えられちゃったみたいね。
おっぱいでゆう坊の体を洗うとか絶対に反則よ。
おっぱいの大きさなら翔子とか目じゃないのに。
翔子の技ありってとこよね。
さてと、ここからどう巻き返すか。
思案のしどころね。
「わあああああああ、いやだあああああ、戻せ、戻せよ」
なに、さけび声よね?
こんな夜中に誰が叫んでる……
ゆう坊、ゆう坊の声じゃない。
ゆう坊が叫ん出るんだ。
その声には狂気が感じられる。
「ゆう坊、何があった」
亜美が飛び起きて走り出したわ。
「くるな、くるな、死なないぞ、死んでたまるか、馬鹿野郎、ふざけるな」
だだだだだ
亜美が階段をかけあげる。
そんな亜美の追って私たちも2階にあるゆう坊の部屋へと急ぐ。
私が着いた時にはゆう坊の部屋のドアは開け放たれていて、その先にはベッドの上で体を丸めて両腕で自分を抱え込みながら震えるゆう坊が見えた。
そして時折ゆう坊は叫び声をあげる。
亜美はそんなゆう坊をどうすれば良いのか解らないのだろう。
途方にくれた表情で動けないでいる。
ダメ、ゆう坊を放っておいてはダメよ。
あんなに震えて怯えているんだもの。
それに助けを求めて叫んでるじゃない。
だから私はゆう坊がいるベッドにと向かう。
そして震えるゆう坊を抱きしめる。
「うわあああああ、誰だ、いやだ、離せ、離せ
わあああ〜、お腹から一杯血が流れてる。
いやだ、僕は死にたくない」
「ダメ、ユキ、ゆう坊が余計に怯える!」
「なに言ってるの、ゆう坊が怯えて助けを求めているのが解らないの」
亜美がなにを言おうと関係ない。
私は暴れるゆう坊を抱きしめる。
「ゆう坊、平気、平気だから。
ここは安全よ。
ゆう坊を傷つけるような悪い人はいないの」
「嘘だ、嘘だ、女神様だって優しそうな顔をして僕を無理矢理異世界に送り込んだんだ。
ふざけるな、僕は戦いなんか嫌いなんだ。
死にたくない!
いやだ、いやだ、僕にかまうな、僕は信じないぞ」
ゆう坊が私に怒鳴りつける。
そこには怯えきったゆう坊の顔がある。
だから私はゆう坊の顔に私のおっぱいを押し付ける。
左のおっぱいだ。
「ねえ、ゆう坊、ゆう坊は大丈夫、死んだりしない、生きてるの。
ねえ、心臓の音が聞こえるでしょう」
ドクっ、ドクっ、ドクっ
私の心臓の音。
この音は人が生きている証。
お母さんのお腹の中で赤ちゃんがずっと聞いている守られている音。
ねえ、ゆう坊私の心臓の音をしっかりと聞くの。
「えっ、えっ、うわああああ」
ギュッ
ゆう坊の腕が私の背中に回り私にしがみついてくる。
ドクっ、ドクっ、ドクっ
規則正しい私の心臓の音がゆう坊の恐怖を溶かし始める。
「お母さん……」
ゆう坊の声。
私の心臓の音が幼い頃にお母さんに包み込まれていた記憶を思い出させているのだろうか?
「まあ〜、まあ〜、きょわい、きょわいの」
ゆう坊の声が赤ちゃん言葉になる。
「まあ〜、まあ〜、まんま、まんま」
まんま?
おっぱいに顔を埋めたまま、ゆう坊の口がもにゅもにゅと動くている。
「ゆうちゃん、ぱいぱいですか」
「ちょう、ぱいぱい、ぱいぱいほちゅいにょ」
恐怖のあまり、幼児退行したゆう坊がおっぱいを求めている。
だから私はパジャマを捲り上げる。
「ユキ、あんた何してるの?」
五月蝿い、亜美黙れ。
そしてゆう坊の口が私の胸に吸い付いてくる。
もにゅ、もにゅ、もにゅ
おっぱいなど出ない私の胸をゆう坊が無心に咥えておっぱいを飲もうとする。
「ゆうちゃん、いっぱい飲んで良いのよ」
「ユキ、あんたバカ!
あんたのおっぱいから乳なんか出ないでしょう!」
「亜美、静かにして」
翔子が亜美を諌めてくれる。
「ねえ、ゆう坊を見なよ。
さっきまであんなに怯えて叫んでたのに今は落ち着いてるわ。
きっとお母さんに抱かれて守られてると思ってるの」
「嘘、だってユキだよ、ママじゃないのに」
「ゆうちゃんは良い子ね」
私はゆう坊に話しかけながら頭を優しく撫でる。
私のおっぱいに埋まって頭を撫でられてゆう坊から怯えの雰囲気が消えている。
「部屋の電気を消して、みんな出てって」
私はみんなにそう指示をする。
「ユキ、なに言ってるの」
亜美はやっぱり怒りんぼだ。
ゆう坊を取られるって思ってるのかな?
「亜美、お願いだから静かにして、ゆう坊を刺激しないで」
「亜美、ユキの言う通りにしようよ。
亜美だってあんなに怯えるゆう坊はもう見たくないでしょう」
「そ、それは……でもだって」
「いいから行くよ」
そして電気が消えて部屋には私とゆう坊の二人だけ。
ゆう坊は相変わらず無心に私のおっぱいを咥えてムニュムニュと唇を動かしている。
乳首はちょっと痛いけど、私の赤ちゃんもこうしておっぱいを飲むのかなって思うと子宮のあたりが熱を帯びる。
私、赤ちゃんを産みたいのかな?
そんな事を考えながら、私は暗闇の中でひたすらゆう坊の頭を抱きかかえてゆう坊を癒し続けるのだった。
★★★★★
あれ、僕って死んだはずじゃあ??
なんで意識があるんだろう。
まだ、生きてる??
そういえば、血も出てない。
それどころか痛くない。
お腹の傷口は……
ないぞ、お腹に開いた穴がない。
パジャマも綺麗なままだ。
なんでだ??
ああ、僕は死んだのかな?
ここは死後の世界なんだろうか?
だからお腹に傷もないし、痛みもないのかな?
嫌だな。
また女神様とかいる世界なんだろうか?
もう女神様とか関わりたくないんだけどな。
そして僕はおっぱいに包まれて抱きしめられているのに気付く。
これってやっぱり女神様??
あれ、でもここって。
ここは僕の部屋だ、僕のベッドだ。
じゃあ、このおっぱいは??
「ゆう坊、目が覚めたのかしら」
僕を慈しむような声。
この声はユキちゃんだ。
ならこのおっぱいはユキちゃんのだ。
「うわあ、ごめんなさい、ごめんなさい」
「もう、ゆう坊ったら、大きな声は出さないのよ」
「だ、だって、僕、ユキちゃんのおっぱいを咥えてた」
「そうよ、ゆう坊ったら私のおっぱいに夢中なんだから。
一生懸命に吸うから、乳首が少し腫れちゃったのよ」
「嘘、嘘でしょう、僕、ユキちゃんを傷つけたの?」
「ゆう坊、落ち着くの。
私は平気よ。
ゆう坊のパニックが治ったんだもの」
パニック、そうだ僕は死ぬのが怖かった。
そんな異世界に僕を放り込んだ女神が憎かった。
でも、今はユキちゃんが僕の女神だ。
優しくて、僕を慈しんでくれる女神様だ。
「ねえ、ユキちゃん、ユキちゃんのおっぱいをまだ掴んでいてもいいかな」
「いいわよ、可愛い私のゆう坊のお願いですもの」
あれ、お母さんみたいだ。
だから僕は安心してユキちゃんのおっぱいにすがってしまう。
僕はユキちゃんの中にお母さんを感じて死の恐怖から立ち直るのだった。