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夢の続き??

雑魚寝状態の寝室から抜け出して僕は台所に立っている。

朝ご飯を作らないといけないからね。


さてと、何人分作れば良いのだろう?


僕は寝室の惨状に思いを寄せる。

僕を抱きかかえて寝ていた姉ちゃん、僕のお腹に乗っていたユキちゃんの脚。

それ以外にも布団から二人分の脚が突き出ていたな。

なら昨夜の宿泊者は3人だね。

だれも帰らなかったみたいだ。


だから僕は五人分の朝食を作ることにする。

そうは言っても簡単な物しか作らないけどね。


目玉焼きとカリカリベーコンを一緒にフライパンで作って、冷凍フライドポテトをレンジでチン。

パンをきつね色に焼いてインスタントのコーンスープ

それに食後のコーヒー。


こんな感じかな。


宿泊者からは朝食代として100円を徴収するよ。

ちなみに昨晩の夕食では300円もらっている。


そして、大切な仕事、姉ちゃんたちをたたき起こしに行く。


「ほら、朝だよ、起きて、起きてよ」


僕はカーテンを開けて部屋を明るくする。


「うぎゃ、眩しい、眠い」


「「「そうだ、そうだ」」」


世話の焼ける姉ちゃんたち。

僕の手を煩わさせずに起きてくれないかな。


「ほら、早く起きないと、ご飯が冷めちゃうよ」


せっかく作った朝ご飯だからね、温かいうちに食べてもらわないとね。


「う~ん、眠いけど、ゆう坊のご飯も食べたいし....

判った、起きる、起きるから」


掛け布団を引っ剥がすとやっと動きだす。

なんで毎朝同じことを繰り返すんだろう?

たまには、自主的に起きて欲しいよ。


それでも姉ちゃん達は布団が恋しそうだけど、もぞもぞと起き上がり始める。


「ふわ〜、ゆう坊おはよう」


ムギュ、姉ちゃんが抱きついてくる。

散々僕を抱き枕にしたのにまだ足りないのかな?


「チュ、おはようのチュは?」


「亜美、姉と弟でチュはダメだろう、禁断だよ。

だからゆう坊は私とチュしよう」


「ダメ、ゆう坊、ユキには警戒が必要だからね。

悪いお姉さんに騙されちゃダメだから」


「亜美、ひどい、誰が悪いお姉さんよ」


「ふん、裸を見せてゆう坊を誘惑しようとしたじゃない」


「違うもん、あれはゆう坊から迫ってきたんだから」


「もう、いい加減にしてよ!

本当にご飯冷めちゃうよ」


「「「ハ〜イ」」」


僕がきつく言ったのでやっとみんな動き出したよ。

それは良いんだけどね、良いんだけどさああ??

なんで下着姿のままで食事をするんだろう。


「なに、ゆう坊ったら、私の下着姿が気になるのかな。

チラチラ見ないでじっくり見ても良いんだよ」


「もう、ユキちゃんたらっ、僕の視線が下着姿でだらしがないって言ってるのが分からないのかな?」


本当に勘弁してほしいよ。

僕のJKの下着に対するロマンは全滅状態だよ。

あれはチラッと見えるから良い物なんだね。

僕は下着姿で朝食を取る姉ちゃんたち4人を見ながらそう思うんだ。


特にユキちゃんはネグリジェのままでブラジャーもしてないんだ。

だから窓から入る朝の光で透けるネグリジェじゃおっぱいが見えてるんだ。


朝からおっぱいが見えるなんて刺激が強すぎるよ。

このままじゃ、僕の精神が持たないね。


「そうだ、姉ちゃん聞いてよ、昨夜の僕の変な夢」


だから僕は気持ちを切り替えるために昨夜のバカげた夢を姉ちゃんたちに話してみる。


「変な夢?」


「そう変な夢。

夢の中に女神さまが出てきて僕に異世界へ行けって言うんだ。

女神様が言うには僕が勇者なんだって」


「ゆう坊だけに勇者とか」


「もう、ユキちゃんの冗談は酷いなあ」


「それでどうなったの?

なんで異世界に行かないでここで朝食を作ってるわけ?」


「だから夢の話だから、夢で異世界へって言われても行けないでしょう」


「いや、行くね、そんな美味しい話は逃がさないね」


ユキちゃんがどや顔だ。

忘れてたわ、姉ちゃんたちってコスプレ同好会所属だったわ。

コスプレの定番には異世界ものがあるんだった。


「いや、行かないよ、ゴブリンに殺されるとか最悪じゃん」


「ええっ、見目麗しいエルフ様に会えるんだよ。

行くでしょう、行くしかないでしょう」


「猫耳、猫耳の美少女をモフモフする。

これに尽きるわね」


みんな勝手に盛り上がってるし。


「ねえ、ゆう坊、テンプレだと嫌だと言っても異世界に飛ばされちゃうんだけど。

どうやって阻止したわけ」


「ええっとねえ、いろんな特権も付くって言われたんだけど、絶対に嫌だって言ったんだよ。

だって、異世界にいったら姉ちゃんと離れ離れになっちゃうしね」


「もう、ゆう坊ったら」


姉ちゃんが感動して僕に抱き着いてくる。

喜んでくれるのは嬉しいけど、痛い、痛いから。


「姉ちゃん、ブラジャーの布でほっぺを擦られると結構痛いんだよ。

前にも言ったよね」


「ムッ、なら外すか」


姉ちゃんの腕が背中に回りブラジャーのホックを外そうとする


「バカ、何してんのさ」


ナイスな突っ込み。

やっぱりミキちゃんは常識人だよ。


「いや、ゆう坊が痛くないようにブラジャーを外そうと思ったんだけど」


それに対して姉ちゃんは……


「姉ちゃん、それ冗談だよね!

食事中にブラジャーを外しておっぱいを見せようとするJKとかありえないよね」


「ダメ?、やっぱり」


「当たり前だよ」


「そうだぞ、亜美のチイパイじゃあブラジャーが無くても痛いぞ」


いや、ユキちゃん、それはまずいって。


「なんだ〜、ちょっとぐらい大きな脂肪のかたまりが付いてるからって偉そうだぞ」


姉ちゃんがユキちゃんにグルルルルって唸り声を上げ始める。


「姉ちゃん、ちょっと落ち着こうよ。

とりあえずブラジャーを外すのは無し、無しだから。

それと服を着ようよ!」


「う〜ん、ご飯を食べたら制服を着るよ」


いや、下着姿を恥ずかしがろうよ!

まあ、いいや、どうせ着ないよね。


「ねえ、話が脱線してるよ。

それでさあ、ゆう坊は結局勇者にならなくて済んだわけ?」


偉い、流石ミキちゃん。


「どうだろう?

異世界に飛ばされはしなかったけど、お姉ちゃんと一緒にいたいって言ったらパートタイム勇者になれって言われたんだ?

ねえ、パートタイム勇者ってどういう意味」


「パートタイム、パートタイムか、それってあれだ、あれよ」


全く分からないんだけど、あれって何だろう?


「要すればバイトじゃない」


「パートタイムならパート社員ってことだからバイトと一緒だね」


「いやあ、バイトで勇者とかありえないでしょう」


バイトねえ?

パートタイムか、フルタイム?


「ねえ、パートタイムってフルタイムじゃ無いってことでしょう!

つまり、時々勇者をやれば良いってことじゃないかな」


「ええっ、じゃあゆう坊は中学生で時々勇者ってことか」


「それって、異世界と現実世界を行き来するってパターンじゃない」


「そうそう、現実世界で異世界の力が使えちゃうっていうテンプレかな?」


「じゃあ、ゆう坊はもう勇者だったりする訳」


「じゃあ、じゃあ、あれだ、あれ、ねえ、ゆう坊、ステータスオープンって言ってみてよ」


なにそれ、意味不なんだけど。


「ほら、早く、言って、言って、ほら、ステータスオープン」


何それ、まあ良いけどさあ。


「ステータスオープン」


厨二ぼうみたいなセリフで恥ずかしいんだけど。


えっ、透明な窓が出てきたよ。


「ね、ねえ、なんか見えるんだけど」


「もしかしてステータスウインドウが出たって言いたいのかな?」


「はあ〜、ゆう坊、のりが良すぎだよ」


あれ、この透けた窓みたいなのは姉ちゃん達には見えないのかな?


「ステータスウインドウが見えるんならHPとかMPとか判っちゃうわけ?」


「もう、亜美までそんなのりなの、見えるわけないでしょっ」


「ええっつと、HPもMPも8かな」


僕はウインドウに表示されている数値を言ってみる。


「へ〜、8ねえ、中学生男子の標準てとこかな」


「いや、ゆう坊は標準以下じゃない」


「何言ってんのよ、家のゆう坊は優秀なの

だから中学男子の標準は5位じゃない」


なんか面白がられてるね。

これって僕が行ったことは冗談としか思われてないよね。


「はいはい、そろそろ支度をしないと学校に遅れるよ」


そんな一言でみんなわらわらと洗面所に行ってしまう。

でも僕は簡単に切り替えられない。

だってまだ目の前にステータスウインドウが浮かんでるから。


それによく見るとスキルなんてのも書かれてる。


成長加速 I

剣術 I

初級魔法パッケージ I

収納庫  小


これって夢で女神様が言ってたのと同じだよ。


ねえ、だれか教えてよ。

これってどういうこと。

僕はパートタイム勇者なの。

勇者だとしたら異世界で戦わないといけないのかな?


洗面所から戻ってきた姉ちゃんたちがポーチと鏡を取り出して身づくろいを始めても僕はフリーズしたままだ。


ねえ、本当に僕は異世界に行かないといけないの?


どうしよう、ねえ、誰か本当に教えてよ!!!


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