表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひめごと。  作者: 笹原佑
1/3

幼馴染とのふり

お久しぶりです。笹原です。

前回書いた「ひとめぼれ。」からの続編、「ひめごと」です。

今回からヒロインは春になります。

前回同様、誤字脱字・日本語がおかしい・文章がへたくそなどあると思いますが、大目にお願いします。

「あたし、クマのことが好きなの!」

「ふえ?」

 俺はその気持ちに気づかないでいた。

こんなにも近くにいたのに気づかないなんて、鈍感なんですか?

鈍感系主人公にはなりたくない。そうは思っていたが認めるしかない。

その気持ちに気づいてしまったが、もう手遅れだ。

俺には彼女がいる。彼女とはいっても、まだ正式じゃないが。

気持ちに嘘はない。だから、裏切ることもない。

素直にうれしい気持ちはある。だが、答えは一択だ。

「悪いんだが、俺には…」


ジリリリリリリリリリイリリリリリリリリ…

「んあ?」

朝の目覚まし時計の音が鳴る。とてもうるさい。

…え?夢なのいまの?

よくよく考えてみると、登場人物は俺と琴美ことみ先輩、それともう一人。

そのもう一人が思い出せない。というか誰だ?

琴美ことみ先輩が好きなのは相変わらず。だが夢にまで出てくるのはさすがに…

「欲求不満なのかな…」

しかし、俺なんかのことが好きな奴なんているわけないだろう。

最近、調子に乗ってきちゃったのかな。

慢心はいかんぞ、俺よ。

時は、7月の15日。

毎日毎日、暑い暑い。

夏もいよいよ本番だ。暑すぎる。

毎日溶けそうになりながら、学校に行っている。

余計背が高いので、日差しがもろ当たる。

ほかの人の数百倍は熱いと思っている。

ドンドンドン…

部屋に向かってドデカい足音がする。

「兄ちゃん!朝だよ!!」

「朝からうるさいよ…もう…」

妹のゆめ。中学三年だ。

「こんなにかわいい妹が起こしに来てあげてるのにそんなふうに言うんだ」

「はいはい、かわいい妹だな~」

「感情込持ってなさすぎだよ、兄ちゃん…」

妹にそんなことなんか思ったことはない。そんなの願い下げだ。

「逆にこんなにイケメンな兄を持つと、お前も大変だろう?」

「……な~に行っちゃってるんだろうこのバカ兄貴は…」

今日は朝から泣こうかなって思います。もう学校行けないかも。




今日も今日とて、暑い。いつも通りの朝。

何も変わらない日々の中、いつも通り学校に登校する。

今日は清水しみずは用事があるらしく、一人で登校した。

いや、ひとりで登校したと思っていたのだが…

「クマくんってはるのことどう思ってるの?」

「い、いやあ…昔から知ってる幼なじみだよ…?です」

この人は、1-Eの工藤いろはさん。確か、春の友達だった気がする。

「ほんとうにそれだけ?ほかは?」

「いやいや…それだけですって…」

なに怖いよ。おれなんかしたの。 

「ふーん。なーんだ」

「あ、はい」

なにか不満気だ。なにが聞きたかったんだろうか。

「いい?春のこと悲しませないでよね」

「え?」

「最近、なんか考えてるのかわかんないけど…ちょっと暗い気がするの」

「…そうなんですね」

気づかなかった。なにか悩んでるのだろうか。

「あの子バカじゃない?だから余計心配で…」

「そうですね。なんか心配してくれてるみたいでありがとうございます」

「まあ友達だし…なんでこんな奴がいいのかな…」

「え?いまなんか言いました?」

「いや、別に。それじゃあね。何かあったら容赦しないからね」

「あ、はい…」

そう言って先に行ってしまった。

何だろう。あのバカは何を悩んでるんだ。

柄にもないな。勉強のことか?

いろいろ考えていたら、学校についてしまった。

やれやれ、今日も何もなきゃいいが。




キーンコーン…

「今日の授業はここまで、次回はテスト期間になるので、しっかりと予習復習するように」

「きりーつ…」

やっと昼休みだ。

はあ、来週からテスト週間かぁ…とてもだるい。

「クマー、昼飯―」

高野たかのこと大臣だ。

「すまんな、大臣。先客がいるんでな」

「あー、先輩?いいよなー。あんな美人な先輩と昼飯食えて」

「ふふふー、うらやましいだろう」

告白した日以来。二人とも用事がないときは、お昼ご飯を一緒に食べている。

一日のご褒美みたいだ。疲れも吹っ飛ぶ。

来週からテスト週間だが、そんなの関係ない。

琴美ことみ先輩との食事に比べたらミジンコみたいに小さい悩みだ。

「それじゃあな、行ってくるよ」

「うん、それじゃあ」



大臣と別れ、いつもの教室に行く。

何個か使われていない教室があり、そこでご飯を食べている。

ガラッ

「あれ、まだいないのか」

どうやら、今日は俺が先だったみたいだ。

弁当は、先輩が作ってくれている。あの人は何でもできる。

ほんとうにすごい。

机といすをセッティングして待ってるとするか。

ガラッ

「あ、クマくん。お待たせ」

琴美先輩が入ってきた。

「いえいえ、今来たところでです」

「ふふ、絶対うそ」

「まあ、そうですね」

「けっこう待った?」

「いえ、2、3分ってところです」

「なら、大丈夫かな?」

「セーフです」

はははと二人で笑った。しあわせ。

世界で一番幸せなのは絶対俺です。

「あ、そういえばクマくん」

「はい?」

「朝話してた女の子って誰なの?」

顔は怒ってない。きれいなまま。

…いや怒ってるなこれ、オーラ怖いよ?

「待って、先輩。これには深いわけがっていうかなんというか」

「ふ~ん、なるほど」

明らかに怒っています。

「話聞いて!いま説明するから!」



「なーんだ、そういうことなんだね」

「…はい」

やっと落ち着いた。

もう怖いよこの人。泣きそう。

「春ちゃんは何に悩んでるんだろうね」

「あー、はい。なんでしょう」

春の話はもう結構前にしている。面識はないが、何となくしているみたいな感じ。

「あいつこんなことあんまりなかったんで、正直俺はびっくりしてます」

「そうなんだね。後でお話してみたいな」

「…先輩と春ですか…?」

「うん」

この二人を混ぜ合わせる。

ど天然抜けてる人、本物のバカ。

混ぜるな危険。俺の危険メーターが危ないといっている。

「……後で考えてみますね」

頭の痛いことが増えたかもしれない。

「やったー、楽しみにしてるね」

「はい…」

「そういえば、夏休みですけど?」

「うん?」

「夏休みなんだよなあ」

「そうだね?」

「どこか行きましょうよ」

「それってデートのお誘い?」

「ま、ま、まあそ、そうなりますね」

「ふふ、クマくんは本当に面白いね」

「もう、からかわないでくださいよ」

「だって面白いんだもん」

そういって笑っている。

もうほんとにかわいいんだから!このひとは!

「どこがいい?」

「俺はどこでも。先輩とならどこでも楽しいです」

「……もう。ずるい」

「え?なんて?」

「…なんでもない」

そういってぷいっと外を見る。

え、なになんて言ったの。ていうかなんかした?

「どこにいこうか?やっぱり海?」

ここの教室からは、海がきれいに見える。

「…いいですね。先輩の水着めっちゃきれいだろうな」

「ふふ、クマくんいやらしい~」

「男の本望ってやつですよ」

「そうなんだ」

「そうですよ」

「ふふ」

先輩の笑顔は本当に素敵だ。

「あ、クマくん」

「はい?」

「好きだよ。今日一回目」

「…」

ほんとここのタイミングで言ってくるとか策士だよこの人。

「…俺は、先輩のこともっと大好きです」

そういうと先輩は笑いながら顔を隠すように向こうを向いた。

耳が真っ赤なのは見えている。

ほんとこのひとは…


「ふふ、あともう少しだけ待っててね。そうしたら、付き合おうね」

「…!!はい!!!」

先輩からの思わぬ一言で、俺はさらに憂鬱なんか吹っ飛んだ。




「ふふふ…」

「なんだよクマ、気持ちわりいな」

「うるさいぞ、こっちはお前と違って勝ち組なんだ。ふふふ」

「ほんと気持ち悪っ」

負け組な清水しみずには言われたくない。

「まーた先輩とイチャイチャしたんだって?ずるいぞ」

「はは、お前なんかにやるかよ」

「まあ、あんな高嶺の花俺には無理だ。でもなんでお前なんだろうな」

「俺にもわからん。まあ、いいだろ。俺は幸せもんだ」

「まあそうだな」

学校から帰ろうと、廊下でしゃべっていた。

先輩は今日、バスケの練習があるらしく、先に帰った。

大臣も、部活に行った。

あれ、そういえば。

「春は?今日一回も見てないな」

「そういえば、俺も見てないぞ」

なにかとどこかには現れるやつだ。だが、今日一回も見ていない。

「めずらしいな。部活で忙しいのかな?」

「あー、テニス部忙しいんでしょ?」

春はテニス部に入っている。そこそこうまいらしい。

「ふーん、なら仕方ないか」

「俺らとは無縁だな」

「年中暇な俺らには関係ない話だな。」

そう言って家に帰った。

何にもないと思っていた。今日までは。




「え?」

「あんまり何回も言わせないでよ!はずかしいんだから…」

久しぶりに春と話したが、急にこんなこと言われるとは思わなかった。

「も、もう一回言ってもらっていいですか?」

「なんで敬語!?もう…」

顔を赤らめて、恥ずかしそうにしている。

そうしてこう言った。

「彼氏のふりしてほしいの!クマに!」

……………どうしてこうなった?


「あのね、先輩に付き合ってほしいって言われたの」

「ふーん、いいじゃんか」

「よくないよ!」

「なんでよ」

「だって…ともかく嫌なの!」

「はあ…」

んなこといわれましても…僕先輩とあとちょっとのところまで行ってるんですよ…

「俺の事情知ってるよな?」

「知ってるよー!ことみ先輩と仲いいんだって?」

「…まあそんなところなんだけどさ…」

ちがうそうじゃない。おしい。

「おねがい!クマしかいないんだよう…」

「ほかにいるだろ…清水とか」

「清水くんはなんか嫌だ!」

さりげなく振られる清水。草生える。

「はあ…」

「ね!おねがい!」

「ちょっと待ってろ…今確認するから…」

「うん?」


先輩に確認したら

「ふりなんだよね?本気じゃないよね?」

「もちろんです」

「ほんとに?」

「俺は先輩にぞっこんです。今回は人助けのつもりです。春は幼なじみだからそんなこと考えたこともないので」

「…ずるいよ」

「へ?なんて?」

「とにかく、何もしないこと。それと…」

「はい?」

「私のこと忘れないでね?」

ヤキモチかわわわわわ

「もちろんですよ。先輩のことは世界で一番好きですから」



「ということで、許可は得てきました…」

「やったあ!」

「はい?」

「あ、ううんなんでもない」

「まあいいや、具体的になにしたらいいんだ?」

「えっと…で、で」

「なんだ?」

「デートに行こうよ!」

「ほう…」

デートか…俺先輩と行きたかった…

「じゃあ、どこに行くよ?」

「うーん…水族館とか?」

「そうか、ならそうしようか」

「うん、決まりだね」

「日程とかは後で決めるか、連絡してくれ」

「うん分かった」

こうして、昨日まで平和だった俺の日々が一瞬にしてハチャメチャな日々に変わったのである。

…ほんとなにもなきゃいいけど。





            其の一  完


最後まで読んでいただきありがとうございます。

だいぶ間が空きました。お待たせいたしました。

今回から新シリーズ「ひめごと。」幼馴染シリーズのはじまりです。

ヒロインは春になります。

さっそく面倒ごとに巻き込まれたクマですが、この後そうなるのでしょうか。

お楽しみに。

さて、「ひとめぼれ。」最終回読んでいただきありがとうございます。

また、Twitterなどで感想などもありがとうございます。とても励みになっております。

続き頑張って書いていきたいと思いますので、ぜひ応援のほうお願い致します。

では、次回お会いしましょう。それではまた!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ