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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第7章 再びアントラニア王国編
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第84話 ホーリートランス

3/16の地震で被害に遭われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

1日も早い復旧(復興)がされることを願っております。

『ネオ。ちょっと待ってくれ』

『にゃ?』

シャールカがネオを呼び止めた。


『お前、ホーリートランスを習得しているな』

シャールカが睨むようにネオを見ている。


(そういえば・・・アミアのダンジョンでそんな魔法を習得したような気がするにゃ・・・)

『冒険者の死体が持っていた本から習得した覚えがあるにゃ。使い方のわからにゃい魔法にゃ』

ネオが思い出したように答える。シャールカは収納袋からタブレット端末を取り出し、ネオに見せた。

見ると、ネオのステータスが表示されている。

『にゃ。何で表示されているにゃ』


シャールカは不気味にほほ笑んだ。

『この端末は、設定を変えると個々の冒険者や魔物のステータスを表示することが出来る。ゴンドア王家の宝の一つだ』


『えっ!』

『にゃんと!』

これにはメリアとネオも驚いた。


『この端末でお前のステータスを確認したのは謝罪する。が、お前が持っている“ホーリートランス”を使えば、イパラの要塞に瞬間移動できるかもしれない』

そう言ってシャールカはパラストア空港に走り出した。


『走りながら、説明するからついてきてくれ』

シャールカの言葉にネオとメリアはついていった。


・・・


『・・・という機能があるのだ』

シャールカの説明によると、パラストア空港のターミナルには、非常用の魔方陣が設定されており、その行先はイパラ要塞なのだという。そして、ホーリートランスは、その魔方陣を起動するための魔法だというのだ。


『にゃあ。そんなものがあるにゃら、イパラに逃げられたのではにゃいのか?』

ネオはシャールカに言う。


『ホーリートランスは、その術者が1018年に絶えた魔法なのだ!それをどうしてお前が習得しているのか不明なのだが・・・』

説明しながら、シャールカが首を傾げた。


・・・


パラストア空港の3FにあるVIP 待合室・・・一番奥の部屋に入ると、シャールカは壁の一部を叩いた。あっけなく崩れ落ちる壁の先には床に魔方陣が書かれたスペースがあった。壁の残骸を魔方陣から除去した後、ネオとメリアを手招きする。その光景にネオとメリアは唖然としていた。


『この壁が使われていなかったから、ホーリートランスは使われていなかったのは間違いない・・・つまり、まだ使っていない』

術者がいなかったのだから仕方がないとはいえ、用意していた脱出方法が使えなかったのは無念だったのだろう。シャールカは、一瞬、悲しそうな顔をした。


『この魔方陣って、1回しか使えないとかにゃのか?』

ネオがシャールカに聞く、


『正確にはわからないが、送信側にある魔石を交換すれば、再利用できると聞いている』

そう言って、壁に埋め込まれるように置いてある魔石を指さした。


『最後の術者が1018年に亡くなって、詳細は不明だった。だが、聞いた話では、術者は“ホーリートランス”と唱えるだけで発動するといっていたのだ』


ネオとメリアは魔方陣の上に立っているシャールカの傍に移動した。


『ホーリートランス』

ネオが唱えると、体の魔力を大量に持っていかれる感覚に襲われた。と同時に視界が真っ黒になった。


・・・


次の瞬間、天井から明かりが降りそそいできた。

『ここは何処にゃ』

『多分、イパラ要塞の地下だ。我々が移動してきたので照明がついたのだ』


シャールカの説明に半信半疑のネオとメリアであった。

正面に扉があり、他に出口はなさそうだった。シャールカは扉を蹴飛ばした。


『ギャー!!』

何か吹き飛ばされていくものと悲鳴が聞こえた。シャールカの蹴った扉の先には、2名の兵士が立っていたらしい。シャールカが扉を蹴って開けたので、そのまま、扉に弾き飛ばされてしまっていた。


『すまんの。南東伯のところに案内せよ』

シャールカは気絶していた兵士を起こすと、命じていた。兵士たちは命の危険を感じながら、首を縦に振っていた。

(シャールカって怖い王女様だったのにゃ)


その姿に唖然ととするネオとメリアであった。


・・・


アストラル(南東伯)は、要塞内にある兵舎の中にいた。


『おお!!シャールカ様、ネオ様、メリア様』

アストラルは、シャールカの姿をみた瞬間、飼い主を見つけた犬のごとく、駆け寄ってきた。エリザベート(参謀)はその姿を呆れながら見ていた。


『南東伯。無事で何よりだ』

シャールカはすっかり王女様に戻っていた。


『早速で悪いが、状況を説明してにゃ』

ネオの言葉で正気に戻ったのか、アストラルは壁に張った地図のところに歩いていき


『状況を説明します』

といって話だした。


『クラトの王宮には、瘴気に反応して光る魔道具があった』

アストラルの言葉にネオたち3人は黙って頷く。


『その魔道具が光ったという報告を受けたため、始祖の日誌にあった記述に従い、ここ、イパラに移動した』

アストラルは机に置いてある1冊の日誌を指さした。


『叔父の日誌・・・』

シャールカが日誌を見つめている。


『それから半日後、王宮の地下から大量のオーク、オーガが現れた。兵士たちは王宮内に閉じ込めようとしたそうだが、失敗し、魔物はクラトの街に溢れてしまった』


『一部の住人は脱出出来たようだったが、街の外に出てきた人数からすると、かなりの数が犠牲になったと推定している・・・』

さすがにアストラルは辛そうである。


『脱出出来た人々は、近隣の街に収容してもらっています。そしてどういう訳か、魔物たちは街壁の外には出てきていないのです』

エリザベートが補足した。


(そういえば、ドニアにあった瘴気発生装置の影響も、森の中に限定されていたみたいだったにゃ。効力の範囲が決まっているのかもにゃ)


『でも、何れ溢れて出てくるような気がします』

ここまで無言だったメリアが言った。


『俺もそう思うにゃ』


現時点においてこの国の兵士は全員レベル1である。どうあがいてもオークやオーガには敵わない。ネオのエリアパラライズを使えば、クラトの街にいるオーク、オーガをせん滅できる可能性はあるが、それでは魔力を使いすぎる。瘴気発生装置を止めるための魔力が必要だからだ。

『ちょっと規模が大きいにゃ・・・』

ネオが言った。


『瘴気発生元は王宮の地下だにゃ』

『まず。間違いないです。それも食料倉庫付近であることまでは分かっています』

エリザベートが答えた。


『私とシャールカさんがネオさんを守るようにして突入して、黒い塊を発見したらネオさんに魔法で処理してもらうしかないですね』

メリアが言うと、


『そうだな・・・だが、2人ではちょっと厳しい気がする。魔力ポージョンがあれば・・・』

シャールカは話しているうちに何か気が付いたらしい。突然、走ってどこかに行ってしまった。


(なにを思い出したのかにゃ?)

ネオは、黙ってシャールカが戻ってくるのを待った。


・・・


『あった・・・あったぞ』

シャールカが何か大きな袋を持って戻ってきた。途中で気が付いたのだろう、兵士たちが後ろからシャールカを追ってきた。


『待て。この方は大事な客人ぞ!』

追ってきた兵士たちに向かってエリザベートが一喝すると、兵士たちはその場に硬直したように立ち止まった。


『シャールカさんにゃ。何を見つけたのかにゃ?』

なんとなく予想がついたネオであったが、一応聞いてみた


『叔父から聞いていた、魔力ポージョンだ』

シャールカがネオの予想通りの回答をしてきた。本人はドヤ顔である。


『あの・・・始祖がここにそのようなものを保管していたというのですか?』

アストラルは驚いている。


『伝わっていなかったのか?ここの地下に隠し倉庫があって、そこにポージョンをしまっていたのだ』

(どうせ、これも時間経過無しの収納袋に入れてあったのだろうにゃ・・・)

シャールカが持ってきたポージョンは1000年前のものとは思えない状態であった。


『なのでな、まず、ネオにエリアパラライズをクラトの街に掛けてもらう。その後、3人で突入し、邪魔になる魔物だけ討伐して王宮に向かう』

(あの不味い魔力ポージョンを飲むしかにゃいか・・・)

シャールカの説明に顔が引き攣るネオであった。


『その後は、前と同じだにゃ』

ネオの言葉にシャールカとメリアが頷いている。


アストラルとエリザベートは黙って話を聞いていた。もはや彼らの手に負えるものではなかったのである。


『王宮の地下に魔方陣はなかったか?』

シャールカが、アストラルに向かって言った。


『魔方陣ですか・・・記憶にない・・・』

アストラルは確認するように話していたところ


『あります。地下の食料倉庫の入り口にある小部屋です』

エリザベートがアストラルの言葉を遮った。


『えっ?』

予想外の発言にアストラルは変な声を上げてしまった。


『先帝から伝え聞いております。動力の魔石も正常なものが埋め込んでありますが、誰も使うことが出来ないので、動作確認は出来てません』

エリザベートが答えた。


『エリー。先帝からの申し送り事項は他にもあるのかい?』

アストラルはがっくりと肩を落とした。


・・・


ネオたち3人は、クラトの東門までやってきた。アストラルは馬車を用意するようなことを言っていたが、ネオたち3人は走った方が馬車よりはるかに早いので、自分の脚で走ってきたのであった。

(馬車にずっと座っている方が辛いのにゃ)


門の周辺には土魔法で壁が作られており、魔物が出てきたときに備えていた。兵士たちも警戒しながら門を見ていた。


3人は、土壁の間を抜けて門から中に入ると


『エリアパラライズ』

クラトの街を範囲としてエリア魔法を掛けた。ネオたち3人に気が付いて襲って来ていたオークを含め、魔物たちは皆動きを止めていた。


『止めを刺している暇も惜しいからにゃ。さっさと王宮に行くのにゃ』

止めを兵士たちに依頼しなかったのは、万一、パラライズの効果が十分聞いていない魔物がいたとき、兵士が犠牲になるからである。

(エリアプリフィケーションで成仏してもらうにゃ)


ネオは走りながら、魔力ポージョンを飲んだ。

(やっぱり、不味いにゃ)


・・・


王宮に入ると、地下の食料倉庫を目指す3人。途中、魔物に襲われたと思われる兵士や侍女などを見ながら先に進んだ結果、


『あったにゃ』

『ありましたね』

『あったな』

同時に3人が言った。今回も黒い塊が地下の食料倉庫付近に広がっていたのである。


『プリフィケーション』

最大パワーで放ったプリフィケーションは、黒い塊にあたると激しく光だした。

黒い塊が消滅した後を進んで行くと、食料倉庫の一番奥に装置があった。


『あれって・・・』

メリアが装置の隣にある人の形をした塊を指さした。飛翔体のときと同じく、誰かがこの装置を操作したらしい・・・。衣服の形から侍女のようであった。

(誰か手引きしているにゃ)


この装置も、他と同じく、黒いものを吹き出しているので、このまま放置は出来ない。

ネオが魔法を使おうとしたとき、

『ネオ!ちょっと待て』

シャールカはそういうと、装置近くにいた侍女と思われるものを剣で叩いた。バラバラになって崩れる元侍女だったもの・・・だが、そこに光るものがあった。金貨くらいの大きさだったが・・・。シャールカはそれを剣で手繰り寄せた。そして、そのまま、ネオたちの方に剣で打ったのだった。


『金貨なんか回収しなくても・・・』

そういいながら金貨を思わずキャッチしたネオは、その金貨を見て気が付いた。

『見たことがない模様だにゃ』


そうしているうちにシャールカは戻ってきた。

『ネオが魔法を放ったら、入り口にあった魔方陣の部屋に飛び込んで発動させるんだ』

シャールカの言葉にネオとメリアが頷く。黒い塊が再び装置周辺に出来ようとしていたとき、


『ホーリーウインド』

ネオが放った三日月の刃が装置めがけて飛んで行く。


今回も、装置を真っ二つにしたのを確認した直後、シャールカはネオとメリアを掴んで魔方陣の部屋に飛び込んでいった。


『ホーリートランス』

ネオが唱えると、体の魔力を大量に持っていかれる感覚に襲われた。と同時に視界が真っ黒になった。


・・・


次の瞬間、天井から明かりが降りそそいできた。

『ここは何処にゃ』

『イパラ要塞だ。前と同じ場所のはずだ』

シャールカは扉を開けた。流石に今回は蹴り飛ばしはしなかった・・・。

 そこは見覚えのある場所だった。


『本当だにゃ』

『同じところですね』

ネオとメリアが同時に声を上げた。


『叔父が父に内緒で作るといっていたのを思い出したのだ』

シャールカはドヤ顔でネオに言った。


・・・


兵舎に戻ったネオたちをアストラルとエリザベートが迎えてくれた。


『ここからわかるほどの大きな爆発がクラトで起きていたが・・・』

アストラルはそう言いかけて、ネオが持っていた金貨のようなものを見つめていた。


『それは、どこから出てきたのですか!』

シャールカがネオに投げてよこした、装置を起動させたと思われる侍女が持っていた金貨を指さしながらアストラルは叫んでいた。


・・・


『・・・やっぱりな』

シャールカがネオの持っていた金貨を取り上げ、そこに彫られている紋様を見ていた。アストラルは驚いているが、声が出ていない。


ネオとメリアは首を傾げている。エリザベートは、アストラルに駆け寄っていた。

『この金貨は何者なのにゃ』

アミアのダンジョンで習得していた魔法である『ホーリートランス』・・・。

今頃になって登場でした。

次回は明日、3/20に短い文を載せる予定です。

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