第83話 4ヶ国会議
ワイバーンが帰っていったあと、どうするか考え始めました。
『これからどうする?』
シャールカがネオとメリアに向かって言った。ここにあった機体に積んであった瘴気発生装置は1つ行方不明である。それと、南東管制所で見つかった日誌にある、“トシオ”という男が乗っていた機体の行方である。
(”ダイキチロウがアミアに持ってきたというものは、”トシオ”が運んだ、瘴気発生装置であったのにゃろう・・・。シャールカの話だと、トシオの機体は南西管制所の手前100km付近で行方不明だったって言ってたにゃ・・・ん?南西管制所の手前100kmって、村の場所にゃ!!)
『シャールカ!”トシオ”が乗った飛行機が行方不明になったのは、南西管制所の手前、つまり南西管制所の東100km付近と言っていたにゃ』
ネオの凄い剣幕にシャールカはたじろぎながら、
『ああ。そういう報告が上がっていたと王宮に戻ったときに聞いた』
それって、村の場所だにゃ。
『村・・・?マスターダンジョンの近くではあるのだが・・・あっ。トシオはマスターダンジョンを魔物で制圧させるために・・・その近くに不時着したのかもしれん』
『村付近は丘のように盛り上がっていましたね』
メリアが思い出したようにいう。そう言われれば、村は、山を平らに削ったように、周囲から盛り上がっていたのをネオも思い出した。
『おかしいな。マスターダンジョン付近に盛り上がったところなんて無かったはずだが・・・』
シャールカが不思議そうに首を傾げる。
(何か嫌な予感がするにゃ)
『誰かが、瘴気発生装置を動かし始めているような気がするのにゃ』
ネオの言葉に、シャールカとメリアは黙って頷いた。
『今の国たちに協力してもらわないと無理な気がするのにゃ』
ネオはそういうと、東・・・アミアの街に向かって走り出した。
・・・
ネオたちがアミアの街壁にある南門にたどり着いたときには、大勢の兵士、見たことがある、豪華な服を来た2人が待っていた。アミアの街には、西側に門はないのであるが、森を監視する見張りは存在した。そのため、先ほどの戦闘は、見張りによって確認され、報告が上がっていたのである。
『シャールカ様、ネオ様、メリア様。アントラニア王国にようこそ』
出迎えに驚いたネオたち3人に向かって話し出したのは、アルガソードであった。
『其方がこの国の国王のようだな。事態は急を要する。至急、軍関係者と協議がしたい』
シャールカは、いつの間にか王女様に戻っていた。
『はい。インゴニア王国、オスニア国、ロディア国の使者も待機させています』
ゲルドが答えた。
・・・
ネオたちは、王宮の広いホールのような部屋に案内された。そこには、円形に机が置いてあり、アントラニア王国、インゴニア王国、オスニア国、ロディア国、そして、ネオたち3人の机に別れていた。
ネオたち3人が席に着くと、ゲルドが席を立って話始めた。
『皆様。こちらにいるのは、1000年前に滅んだといわれている古代文明の王女であるシャールカ様です』
ゲルドがシャールカを紹介する。
『皆の者、私が、シャールカ・ド・ゴンドアである。ゴンドア歴1020年12月の魔物の襲撃によって滅んだ・・・』
シャールカはここまで行って言葉に詰まった。おそらく、デコルのダンジョンに逃げてから間もなく、彼女の父は瘴気封印装置を使ったのだろう。それを知らず、1000年もの間デコルのダンジョンで仮死状態だっただから・・・。
『事態が急を要するようにゃので、事情を説明しますにゃ』
ネオが後を引き取った。
・・・
『・・・ということで、瘴気発生装置を見つけて破壊しないと危にゃいのだ』
ネオは、
・1000年前に発生したヒャケラキア(レベル15程度、女王はレベル20程度)がこの大陸に多数住んでしまっているらしいこと
・1000年前にヒャッケラキアを初め、多くの魔物を異常発生させた、瘴気発生装置が今も存在すること
・オスニア国で稼働していた瘴気発生装置を2つ見つけ、破壊したこと(ドニアと、砂漠)
・メストの北西とアミアの西で、瘴気発生装置が最近動き出し、ヒャッケラキアが大量発生したこと
・アミアの西にあった飛行機の残骸から、行方不明の瘴気発生装置があり、何者かが持ち出した可能性があること
・1000年前にこれとは別に、ロディア国方面に飛んで、現在の村付近で行方不明になっている飛行機に瘴気発生装置が積まれていた可能性が高いこと
を熱弁したのだった。
ロディア国は、バルバス=バサーカを正史とした使者、インゴニア王国は、アルベルトを正史とする使者、オスニア国はエリーザベート・ド・バンドニアの妹であるセラス・ド・バンドニアを正史とする使者であった。バルバスは、見覚えのあるネオの言葉に驚き、アルベルトは、ヒャッケラキアの巣について震えだし、オスニア国にあった瘴気発生装置に驚愕したセラスであった。
もちろん、ヒャケラキアの発生が起きているアントラニア王国の2人も顔面蒼白である。
『もしかして、ガロータを襲った魔物も瘴気発生装置によって大量発生したものかもしれないというのですか?』
バルバスが、思わず立ち上がり、ネオに向かって言った。
『たぶんにゃ』
ネオの言葉にバスバスは崩れるように座った。
『我が国の南西に現れたケンタウロスも・・・』
『可能性はあるにゃ』
アルベルトの言葉に冷静に答えるネオ。
『南東の森がそんな物騒なところだったとは・・・』
セラスは詳しい事情を知らされていなかったらしい・・・。呆然と呟いている。
『瘴気発生装置はあといくつあるのかね』
ゲルドがネオに向かって言った。
『正確には不明だにゃ。ただ、アミアの西に不時着した飛行機にあったはずの1つ。ロディア国で行方不明になった機体にあったと思われる3つの装置がどこかにあると思われるにゃ。但し、そのうちの1つはある男が、ロディアからアントラニア王国のノッスルに持ち込んだらしく、保管していた男の住宅ごと破壊した可能性が高いにゃ』
参加者からため息とも驚嘆ともいえぬ、不気味な声があがった。
『申し上げます!!』
兵士が駆け込んできた。
『オスニア国からの緊急連絡によると、クラトの王宮から大量の魔物が吹き出し、クラトの街を占領した模様とのことです』
参加者一同が驚く中、セラスは気を失っていた。
オスニア国から飛んできた鳩たちが持っていた文章を総合すると
・クラトの王宮からオーク、オーガを主とする魔物が大量に現れ、王宮から溢れだした魔物はクラトを占領している。
・アストラルはエリザベートと共に、イパラ要塞に移動していたため無事であり、オスニア国は、イパラ要塞を拠点に対応しているが、魔物をクラトの街から出さないようにするのが精一杯らしい。
という状況らしいことが分った。
『時間がないのでネオの話を聞いてほしい』
シャールカはそういうと、ネオの方を向いた。
『アントラニアには、レベル1をレベル3にするダンジョンがあるにゃ。これを出来るだけ多くの兵士、冒険者にクリアさせるのにゃ。そして、クリアした兵士、冒険者をダレンのシメ山、カシミロのエバ山、南東の森にあるクバ山のダンジョンに連れていき、レベル6に上げさせるのにゃ。そうすれば、オーク、オーガには対抗できるにゃ』
参加者からは何も発言がなかったが、しばらくの沈黙の後、
『ヒャッケラキアはどうする』
アルガソードが言った。
『ヒャッケラキアに対抗するには、デコルのダンジョンをクリアしないと無理にゃが、今はその方法がないにゃ。オケライのオルトラとアミアのエルバートに何とかしてもらうしかにゃいにゃ』
ヒャッケラキアはレベル15、女王にいたってはレベル20である。この2人以外に対応できるものはない。
『お前たちがレベルアップした方法は・・・』
アルガソードが言いかけたが、ネオはそれを遮り、
『普通の方法では出来ないのにゃ。今、その方法は見つからないのにゃ』
レベル6の兵士をマスターダンジョンや、アミアのダンジョンに入れても、クリアできるとは到底思えなかったのである。無用な戦力低下を防ぐためにも、そこに目をつむる必要があった。
『後は、皆さんでよく相談するのにゃ』
ネオはそういうと、シャールカとメリアを急ぎ連れて王宮を出ていった。
『クラトに行くのにゃ』
ネオ :波高が、関東のある飛行場と九州のある飛行場には、飛行機が埋めてあると言ってたにゃ
メリア :カントウ?、キュウシュウ? どこですか?
ネオ :元の世界のことだにゃ
シャールカ:飛行機って土に埋めるものだったのか・・・
次回は3/19の予定です。




