第78.5話 ゲルド・ド・イスタールの報告(その5)
『インゴニア王国から使節が来ました』
ゲルドはアルガソードに伝えた。何年も連絡がなかったインゴニア王国からの使者にアルガソードは驚いていた。
『彼らは、湖畔のダンジョンのことを知っておりまして、その利用についての協議をしたいと言っております』
ゲルドの言葉を聞いて、更にアルガソードは驚いていた。
『どういうことだ!』
アルガソードがゲルドを睨む。
『彼らの話では、ネオとメリアという冒険者から聞いたと言っております』
アルガソードはゲルドの報告に右手を額に当てて
『しまった!』
とつぶやいた。ネオたちを見失ってしまったことを後悔していた。
(インゴニア王国に行ったのか・・・)
『更に、オスニア国から緊急連絡の鳩が来ました』
『ほほう。何が書いてあった』
アルガソードは額にあった右手で机を軽く叩いた。オスニア国とは、緊急連絡用に鳩を交換していた。めったなことでは来ないのだが・・・。
『“使者を送るのでダンジョンの話を”と書いてありました』
(いつの間に・・・)
アルガソードはこれもネオが話したと直感したのだった。
『一人当たり金貨10枚寄越せと書いて鳩を出せ!』
アルガソードはそういうと、腕を組んで天井を見つめた。
(我が国の優位が・・・)
ロディア国からは使者が来るといっていたが、残念ながらインゴニア王国とオスニア国にも露見してしまっては分が悪い。
『それは先日実施しました。今回の鳩はその返事でございます』
『あっ・・・』
ゲルドの言葉に思い出したアルガソード。インドニア王国の使者は既に到着し、オスニア国とロディア国の使者はアミアに向かっているのは間違いない状況であった。
『もはや、各国と合同会議を開くべきかと愚考します』
ゲルドはあきらめたようにいうと、
『あ~・・・わかった。準備せい!』
叫ぶようにアルガソードは言った。
『それと・・・ネオとメリア以外にもう1人、同じレベルの美人が仲間になっているらしいです』
『はあ?』
アルガソードはゲルド言葉に妙な声を出してしまった。
『もう1人、人外レベルが現れただと!』
『はい。オスニア国潜入させていた諜報員の情報によると、1000年前のシャールカ様だそうで・・・』
(???)
ゲルドの説明に、理解が追いつかなくなっているアルガソードであった。
『詳細は解りませんが、オスニア国にある魔道具で確認されたそうです』
『信じられん。あり得ない。1000年も前の人だぞ!・・・・』
アルガソードは両手で頭を抱えて唸っていた。
(あいつら、オスニア国にも行っていたか・・・)
・・・
アルガソードはお茶を用意させ、休憩していた。
(インゴニア王国の使節にも会ってやらねばならぬし・・・面倒だな)
その時、扉が勢いよく開けられ、兵士が息を上げながら入ってきた。全速力で走ってきたらしく、声が出せないである。
『何事だ!』
お茶を飲みながらの休憩を邪魔されたアルガソードは不機嫌になりながら言った。
『はあ・・はあ・・申しあげます。メストの北の街道に魔物が出現しました』
『なんだと!』
兵士の言葉に思わずお茶をこぼしてしまったアルガソードだったが、それどころではない。
『今度は何が現れたのだ!』
この時、あとを追うように、もう一人の兵士が駆け込んできた。
『申し上げます。20匹のヒャッケラキアが街道に現れ、3人組の冒険者が倒したらしいとのことにございます』
『ひゃっけらきあ・・・』
アルガソードはそのまま椅子に倒れるように座った。アルガソードでも、古代文明を滅ぼした伝説の魔物、ヒャッケラキアの話は聞いたことがあった。
(確か巨大ゴキブリ・・・おとぎ話じゃあるまいに・・・)
『陛下。お気を確かに。見つかったのは、間違いなくヒャッケラキアでしたが、既に討伐されたあとの死体です』
後から来た兵士が必死に補足していた。もう1人は慌てて侍女を呼びに行った。
(そんなのあいつら以外に考えられない・・・)
伝説の魔物であるヒャッケラキアを倒せる冒険者・・・それも3人組。アルガソードは確信していた。
次回は2/19の予定です。




