第78話 再びメスト
『またやってきてしまったにゃ』
ネオたちは、アントラニア王国のメストの街に来ていた。
『こんなゆっくりで良いのでしょうか』
メリアが多少心配している。
『慌てても仕方が無いにゃ』
オスニア国にあった瘴気発生装置は破壊出来たはずで、前回、アントラニア王国を出てから、魔物に襲われた街の話はないので、大丈夫だろうと思っているのであった。
『パラストアの空港は本当に残っていたんだな?』
歩きながら、シャールカが首を傾げていた。
『空港は、街の西にあったんだ。西から襲ってきたヒャッケラキアが最初に襲うはずなのだが・・・』
シャールカの言葉に、ネオとメリアは驚いた。
(たしか、アミアの東に滑走路があったはずにゃ)
『空港と思われるものは、アミアの街の東にあったはずですが・・・』
メリアが疑問を口にした。この言葉を聞いてシャールカが驚いている。
『そんなことはない。パラストアの西の外れにあるのが空港だったはず・・・もしや。アミアという街はパラストラとは別の街なのではないのか?』
ここでようやく、アミアとパラストアは違う場所であることに気が付いた。
『空港の東側はどうなっていた?』
シャールカはメリアに問いただす。
『確か東側が大きく窪んでいたはず・・・』
メリアの言葉にシャールカの顔色が悪くなる。
『まさか・・・』
・・・
幸い、ネオたちは、門番にも街の人にも先日の出来事の張本人だと悟られずに済んでいた。
『覚えていないものだにゃ』
『その方がいいです』
ネオの言葉にメリアが答える。メリアとしては、王宮に連れていかれたのは、あまりよい出来事ではなかったらしい。
1人銀貨5枚の宿に泊まったが、誰もネオたちのことを覚えていなかった。
・・・
翌日、朝食をとった後、アミアに向かって歩き出す。北門で門番に向かって、
『ばいばいにゃ』
といってしまったネオであったが、その場では、誰もネオに気が付かなかった。
しばらく歩いていったところで、
『あれはばれちゃうじゃないですか』
メリアがネオに言っている。幸い、だれも気が付かなかったから良いものの、見つかると面倒になるのは間違いなかった。
『前回は、馬車で追いかけてきたからにゃ』
ネオを反省しているようである。
『さっさといってしまえば良かったのだ』
と思わずシャールカが言ったのに対して
『3つ先の村までいったのにゃ』
『3つ先の村までいったのです』
ネオとメリアが同時に答えた。
その様子に
『仲いいな』
と言ってシャールカは苦笑いするのだった。
・・・
『あれは何だ!』
シャールカが西の方を指さした。見ると、土埃が上がっている。何かがこちらに走ってきているようにも見えた。
『にゃ・・・魔物の群れにゃ』
ネオは魔物レーダーで土埃が上がっているあたりを調べると、明らかに異常な魔物の反応があった。どう考えても角ウサギやゴブリンではない。
そして、何故か、群れは街ではなく、街道を歩いているネオたちに向かって移動しているようだった。
『バケモンが出た~!!』
荷馬車の御者が叫んだ。たまたま近くにいたようだ。荷馬車は慌てて、メストに向かって移動していった。街壁があるのが最寄りではメストだったからだろう。
『ヒャッケラキアだにゃ』
『ヒャッケラキアですね』
ネオは確認すると、メリアもその姿を確認したらしい。会いたくないのに出会ってしまったと言わんばかりに落ち込んでいる。
『なんでこんなところに現れるんだ!』
シャールカは自分を鼓舞する気なのだろう、声を張り上げた。
およそ20匹のヒャッケラキアは、何故かネオに向かって草原を走っている。ネオが魔物レーダーで見ていると、逃げ遅れた角ウサギがヒャッケラキアに跳ね飛ばされていた。
幸い、街道の通行人は急いで逃げていったので周囲には誰もいない。
『エリアパラライズ』
ネオはヒャッケラキアの群れに放った魔法は、20匹のヒャッケラキアは、動かなくなった。
『さっさと始末するにゃ』
ネオはトカゲ剣2を取り出し動かなくなった魔物に止めを刺して、魔石を抜いていく。
メリアもトカゲ剣1で止めを刺していた。
『1000年前にネオがいれば・・・』
シャールカは複雑な思いで剣を抜き、先行する2人の後を追った。
・・・
あっけなく20匹のヒャッケラキアを倒したものの、明らかにネオたちを狙ったような動きにネオは考えていた。
(このままアミアに行くと、アミアにヒャッケラキアが出てきそうなのにゃ)
『なんで街道を外れて西にいくのだ!』
シャールカは、ネオとメリアがそのままヒャッケラキアが来た方に向かって走り出したのを見て後を追いながら叫んだ。
『どっから来たのか調べるのにゃ』
ネオは草原の先にある森に強い瘴気を見つけていた。
(きっとあれだにゃ)
・・・
森に入ると、不気味な静けさに背筋が寒くなるネオだったが、魔物レーダーを頼りに瘴気の塊に近づいていった。
途中、オーク、オーガ、ヒャッケラキアが数匹出てきたが、ネオのホーリーアロー、メリアとシャールカの剣で両断していた。
ヒャッケラキアを一撃で両断したシャールカは、自分の能力に驚いていた。
『レベル20がこれほどまでとは・・・』
今のシャールカであれば、数匹のヒャッケラキアであれば互角に戦えそうである。それほどまでにレベルの恩恵を受けていたのだった。
『あれだにゃ』
それは、まるでロケットの残骸のような長い筒が地面に刺さっていた。その周辺から黒い液体とも気体ともつかないような異様な塊が存在していた。
『プリフィケーション』
最大パワーで放ったプリフィケーションは、黒い塊にあたると激しく光だした。
『あれが装置にゃ』
黒い塊は、光と共に消滅したが、中央に設置された装置からは、何やら黒いものが吹き出してきていた。だが、よく見ると、人の形をした何かが装置の隣にいる。
『人?』
メリアが妙な声を上げた。人の形をしていたが、真っ黒で、生きているようには見えなかった。ネオが、拾った石を投げつけると、人の形をしたそれは、粉々に砕けてしまった。
『ホーリーウインド』
残っていた力を使って放った三日月の刃は、装置を真っ二つにした。同時に、黒いものも吹き出さなくなった。
『逃げるにゃ』
ネオたちは全速力で装置から離れた。装置は光った後、爆発し、原型をとどめないほどに粉々になった。ロケットの残骸と思われた長い筒も巻き込まれるように破壊されてしまい、破片は周辺に飛び散った。
『やっぱり・・・』
破片を1つ拾ったシャールカが何かに気が付いたらしい。
『これはドニアで研究していたロケットだ。南東管制所にあった日誌にあった飛翔体だろう』
シャールカは破片を見ながら言っている。
『そんなんで解るのかにゃ?』
ネオが破片を覗き込むと、そこには
”ロケット試作機”
と書いたプレートがシャールカに握られていた。
・・・
『何も見つからないにゃ』
人のようなもの正体がわかるものがないか探していたが、粉々になったこともあって、ネオたちは何も見つけることが出来なかった。
『恐らく、誰かが瘴気発生装置を動かしてしまったのだろうにゃ』
ネオはそう思うことにした。
(この装置は、1000年前には動いていなかったのかにゃ?もし、動いていたのにゃら、誰が止めたのかにゃ?)
『あと1つですね』
メリアが声を掛けてきた。
『飛行機に積んでいたのが1個ならにゃ』
ネオはそいうと、もう一度、瓦礫の山になった瘴気発生装置を見つめていた。
次回の予定は、本日12時です(短いです)。




