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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
序章 転移?
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第7話 襲撃

悲劇の始まり・・・

『今日は、ゴブリン討伐の仕事がとれた』

朝、冒険者ギルトに行ってきていたオスターが朝食中に話始めた。


『おっ。久しぶりだね』

シルバットは、討伐依頼ということでご機嫌である。


『そのために、早朝からギルドに行っていたのですか』

ロイドはオスターが早朝に部屋を出ていくのを確認していたため、それが、討伐依頼を受注するためであったことを理解していたのだった。


『そうだよ。シルバットもロイドも討伐依頼をしたいと言っていたからね』

受注してきたオスターはどや顔である。


『で、依頼場所はどこなんだ?』

シルバットは、オスターの方に上半身を傾け、今にも顔がつっくばかりに近寄っていた。


『そんなに近づくなって・・・イヒアチ森の先にある村からの依頼だ』

『あそこって、いつもは自分たちで討伐していたような・・・』

ロイドが不思議そうな顔をしている。


『ギルドの話だと、いつも討伐している村人が、用事でアントラニア王国にいってしまったかららしい』

『何故?』

ロイドが疑問でいっぱいといわんばかりで何か言っている。


『理由はともかく、その村に早くいって事情を聴こうぜ』

シルバットはそういうと、食事を終え、部屋に戻っていった。


『シルバットのいうとおり、早く村にいって事情を聴くのがよいだろうね』

オスカーもロイドの姿をみて多少不安になったらしい。


『とにかくいくにゃ』

ネオは、森やロディアに来る途中で倒したゴブリンしか知らなかったこともあり、何とかなるとと思っていた。


・・・


『あれかにゃ』

イヒアチ森を抜け、目的の村が見えたところであった。


『そうだ』

オスターは何かを探すような目線で村を見ている。集落の入り口と思われるところには

 ウォーターマウンテン村

と書いてあった。


『ウォーターマウンテン? 川なんてあったかにゃ』

ネオはあたりを見渡すが、この村の近くには、川はない。


『変な名前だろ。昔、山が流れてきたところとか村の奴らはいっていたぜ』

シルバットは、意味が解らんと言わんばかりに両手の手のひらを上にして広げて見せた。


『変な恰好だにゃ』

ネオの言葉にオスターとロイドが吹き出した。


『まずは事情を聴こう』

オスターはそういうと集落に入っていった。


・・・


『村長はおられるか』

村で他より明らかに大きい家の前で、オスターが大声で叫ぶと、家の中から何か音がしたのち、戸が開いた。そして、出てきたのは、明らかに高齢とわかる一人の老人男性であった。


『お前ら、誰じゃ』

精一杯、声を出しているのだろうが、イマイチ迫力がない。


『冒険者ギルドで依頼を受注してきたものです』

オスターの回答に、驚きながらも態度が変わる老人。


『おお。来てくれたんじゃね。事情を説明するので中に入ってくれ』


応接室と思われる部屋に通されたオスター達4人。

用意されていた年代ものの椅子に4人が座ると、話始めた。


『儂が、この村の村長をしているトシミツというものじゃ』

(トシミツ・・・?元の世界にいたような名前のようにゃ・・・)

『この村の西に行ったところに、この村の生命線ともいえる井戸がある。この井戸から水を持ってきて生活に使う水、及び作物に水をやっている。この井戸がないと我々の生活は成り立たない。だが、このあたりに最近、ゴブリンが多数出るようになった。近くに巣があるのではないか思っている。このゴブリンを退治してほしいのだ。今は、大人が武装しないと水を汲みに行けないのだ』


どうやら、この村は水を井戸に頼っているらしい。生活用水と農業用用水・・・。最近、ゴブリンが出てきて困るので退治してほしいということらしい・・・。


『数がどれくらいなのかわかりますか』

『わからん。ゴブリンは1回に数体出てくるらしい』

『巣のある方向とか判っていることはありますか』

『わからん』

しばらく沈黙のあと

『いつも討伐している人がいるって聞いたのだが・・・』

シルバットが沈黙を破って聞き始めると、長老は慌ててそれを遮って

『ああ、ダイキチロウのことだな。あいつは、村にゴブリンが来るとやっつけてきたのだが、見返りを村の求めた・・・払えなかったので出ていってもらったのじゃ』


((???))


『・・・ということで、出ていってもらったのじゃ』

長老はダイキチロウという男が、村に出てくるゴブリンを退治する代わりに、自分に報酬を要求してきた。それが、村の収入の半分以上だったので断ると、出ていってしまったというのが本当のところらしい・・・。


『いなくなった途端に、井戸周辺にゴブリンが出てくるようになったということですか?』

『そうじゃ』

『ダイキチロウという人が討伐していたのでは?』

『そんなことはない。知っているだろうが、ゴブリンでも倒すと魔石がとれる。あいつは年に数個しか魔石をもって来なかったのでな』

『こっそり売却していたとか・・・』

『それはない。この村には、行商でくる商人以外に魔石を売る先がないからの・・・』

オスターの問いに対する、トシミツという名の長老の答えに違和感はあったものの、とりあえず、井戸周辺を捜索することにした。


・・・


『ここがその井戸か・・・』

なんの変哲もない井戸がそこにはあった。とりあえず、周辺に異常はない。

がしばらくすると・・・周辺の草が擦れる音がしてきた。


『何か来るぞ!』

オスターが叫ぶ。シルバットは魔法の準備を始め、ロイドは弓をいつでも弾けるように構えたとのとき、

井戸にいる4人に10匹のゴブリンが襲ってきた。


『ファイアーボール!!』

シルバットから火の玉がゴブリンめがけて飛んでいく。2匹が直撃を受け倒れた。

続いてロイドから弓が放たれる。頭に刺さったゴブリンが倒れた。

残りはオスターに向かって突進してくるも、オスターは先のゴブリンを左にかわし、剣で切りつける。続いてきたゴブリンを返す剣で切り倒す。次々突進してくるゴブリンを左右にかわしながら切り倒していく。


2匹ほど、ネオに突進してきたので、ネオは思わず躱しながら木の枝で殴り倒した。

『あっけなかったにゃ』

ネオがそう言った直後、

『ちょっと数が多くねえか?』

シルバットが叫んだ。

『僕もそう思う』

ロイドも続いた。

(トシミツといっていた長老の話もあてにならないかもしれない・・・)

オスターは倒したゴブリンから魔石を回収しながら思っていた。


・・・


ゴブリンの死体は、肉としては売れないので、井戸の近くに穴を掘り、全て放り込んだ。

『近くに巣があるはずだ。探すぞ!』

オスターの声に皆が頷く。しばらく、付近を捜索すると、それらしいものが見つかった。


『おい。これって・・・』

見ると、到底、ゴブリンでは上ってこれないような崖の下にゴブリンの巣と思われるものがあった。おそらく、崖があったのでこの井戸のところまでゴブリンがくることが出来なかったのだろうと推定できた。


『・・・にしてはゴブリンの数が多すぎるよな?』

シルバットは怪訝な顔をしてあたりを見渡すと、井戸にやってきた人では気が付かないところに、明らかに人工的に作ったと思われる道が出来ていた。ゴブリンはここを渡ってきたのだろう。

『もしかしたら、ダイキチロウという奴が消える前に作ったのかもしれないな』

『わざと?かにゃ』

『多分・・・』

そういうと、シルバットは、道にファイアーボールを打ち込んでいった。結果として道は跡形もなく消滅した。

『多分、これで大丈夫だろう・・・ぜ』

この時、背後にゴブリンがいたことに4人は気が付いていなかった。


・・・


背後から迫ってくる気配にネオが慌てて振り向くと、20匹はいるであろう、ゴブリンがこちらに向かって突進してきた。

『にゃ。危ない』

ネオは咄嗟に左にジャンプした・・・

(あれ・・・なんでこんなに跳んでいるの?)

身長の3倍くらいの高さまでネオは跳び上がり、何とかゴブリンの突進を躱したが、オスカー、シルバット、ロイドの3人は躱しきれず、何と、ゴブリンに突き飛ばされる形で崖の下に転落していった。


ネオは崖に落ちていった3人のことが気になったが、3人と一緒に崖に落ちた以外の10匹に襲われようとしていた。今のネオの実力では10匹のゴブリンに対処するのは無理だった。とはいえ、背後は崖で、逃げることが出来ない状況・・・

(このままではやられてしまう・・・)

その時、咄嗟に頭に浮かんだものを試してみる。迫ってくるゴブリンに向けて手をかざし、

『ホーリーボール』

次の瞬間、ネオの手から謎の光が発せられた。いや、正確には光の玉がゴブリンめがけて飛んでいった。

(???)

光の玉はゴブリンに当たると、10匹のゴブリンは消えてしまった。蒸発したといった方がよい。光の玉はその先の森の一部を破壊して消えた。

(今のが攻撃魔法・・・?)

ネオは状況が理解しきれていなかった。


・・・


しばらくして、ネオは我に返る。正確には、様子を見に来た村人たちに起こされたのだ。

『崖の下にゴブリンの巣があったんだな』

村人のつぶやく声で我に返った。

村人は崖を降りて、3人とゴブリンが転落していた現場に行ってきたようだ。


『3人は既に死んでいたよ』

村人にそう言われたネオは、崖を飛び降りていた。どういう訳か、飛び跳ねるように崖を降りて行けた。

そしてオスター、シルバット、ロイドの亡骸を見て、彼らの死を確信した。3人とも、既に人間としてありえない形状になってしまい、一面血が広がっていた。既に言葉も出ないが、3人の亡骸を1体づつ崖の上まで運び上げた後、村人の協力を得て3人を埋葬した。正確には、泣き叫ぶネオを見かねた村人が、3人の所持品から金目のもの(現金)を回収し、埋葬することをネオに提案したのだった。ネオは、人間が死後、遺体をどうしているのか知らなかったので、村人に言われるまま、村人の協力を得て、3人を埋葬したのだった。


・・・


『・・・3人のことは残念だろうが、あんたは生き残ったのじゃ。冒険者としての務めを果たさなければならないのじゃよ』

ネオは、村人たちに、長老の家に連れてこられていた。目の前には3人が持っていたお金が置いてある。

『これは、3人が持っていた所持金だ。生き残ったあなたが持っていきなさい。装備品は転落時に破損しておりこれしか回収できなかったとのことじゃ』

長老はそういうと3つの袋をネオに渡した。


『こんな時に悪いが、状況を儂に教えてほしいのじゃ』

長老の求めに、ネオは

崖に出来ていた人工的な道のこと。それをシルバットがファイアーボールで破壊したこと。その直後、背後からゴブリンに襲われ、3人がゴブリン共々転落したことを説明した。

 長老はネオの話を聞くと、1枚の紙を渡した。

『これはを冒険者ギルドに持っていきなさい。結果として、ゴブリンが井戸に来れないようにしてくれたので、依頼達成とみなす』

ネオがよく見ると、それは依頼票であった。そして、依頼達成時サイン欄に“トシミツ”とサインがされていた。


・・・


ネオはロディアの冒険者ギルドにいた。村人を付き添いに付けると言ってくれた長老の申し出を断り、一人で帰ってきたのだった。どうやら、夜、歩いていたらしく、ギルドについたのは朝だった。

 ネオは、依頼票を受付カウンターに提出した。受け取ったカウンターの女性から、

『他の3人は?』

『死んでしまったにゃ』

とだけいうと、その場で泣き出してしまった。


・・・


 ネオが気が付くと、そこは、応接室のようなところであった。先ほどカウンターにいた女性と見慣れぬ男がネオを覗き込んでいた。


『ネオ。何があったか話してくれ』

男は言った。

『・・・ということですにゃ』

ネオは、村で起きたことを全て話した。


『わかった。村には職員を派遣して確かめさせる。今日は依頼完了の報酬支払は、確認後になる』

ネオはうなずいた。

ネオは冒険者ギルドを出ていった。それをカウンターの女性が心配そうに見ていた・・・。


・・・


ネオは“冒険者の宿 女神亭”に来ていた。他に行くところを知らなかったからである。

中に入ると、いつもの中年男がいた

『今日は1人かい?』

ネオはうなずいて、銀貨3枚を出した。

1人部屋に入ると、あまりの狭さに息苦しさを感じる。

(いつもと違うんだにゃ・・・)

ベットに倒れこむように入ると、疲労からか、そのままネオは眠ってしまった。


ウォーターマウンテン・・・変な地名ですね(大した意味はありません)。

次回は20日の予定です。

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