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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第6章 オスニア国編
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第77話 クラト

宿の朝食は、パンとスープであった。

『宿に泊まると、民の食事を何とかしないといけないという気持ちになる・・・』

シャールカが何か言っている。心は優しい王女様らしい・・・。レベル20の冒険者という点が、そういう気持ちを消してしまうが・・・。


・・・


宿を出たのちは、西側のつり橋を渡ってクラトに向かう。他の人と同じ速さで歩いても1日で着いてしまう距離ではあるが、ちょっと走って昼ちょっと前には街壁の見えるところまで来た。


『なあ・・・何か沢山兵士がいないか?』

シャールカが指さした街道の街壁付近には、誰かの到着を待っているらしい兵士が多数いた。

『にゃにか偉い人でも来るのかにゃ?』

ネオが言うと、

『偉い人は、街の中にいるはずではないのですか?どう見ても、こちらから来る人を誰か待っているみたいですけど・・・』


・・・


ネオたちが街壁の近くまでくると、明らかに様子のおかしい光景が広がっていた。

『どうして兵士が街道の両脇に並んでいるのにゃ?』

ネオは思わず、メリアにそう言ってしまったが、答えは直後に現れた。なんと、超豪華仕様の馬車が現れ、ネオたちの手前で道を塞ぐように止まった。


『待ち伏せにゃ』

ネオたちが警戒すると、馬車の中から若い男が現れた。男は、兵士たちを静止したのち、ゆっくりこちらに向かい、シャールカの前に跪いた。


『私は、南西伯をしているアストラル・ド・ゴンドアと申します。クラトにようこそ。シャールカ様』

アストラル(南東伯)の言葉に、シャールカは顔を引きつらせる。ネオとメリアは驚いていた。

『当家には始祖の代より受け継いでいる言葉がございます。それは、何時かシャールカ様が再びこの大陸に降臨され、魔物から我々を救ってくださるというものです。その方法は存じませんが、目の前におられるのは、間違いなく我が始祖の姪にして、王女様であられるシャールカ様です』

彼はそういって、1本の短剣を差し出した。思わず受け取ったシャールカは、短剣の柄についた宝石が光っていることに気が付いた。


『これは・・・!!』

シャールカが言いかけたとこで、アストラル(南東伯)は後を引き取った。


『これは、始祖から伝わる、ゴンドア王家の血筋にのみ反応する短剣です。柄の宝石が光っているのは、シャールカ様がゴンドア王家である証』

アストラル(南東伯)はシャールカを見てほほ笑んだ。


『確かに、これはお父様が叔父様に下賜した短剣です。1000年もよく無事で・・・』

シャールカも隠しきれないと見たのか、アストラル(南東伯)に答えている。


・・・


結局、超豪華な馬車にシャールカは乗せられてしまった。ネオとメリアがあっけにとられていると、周りの兵士が違う馬車に案内してきたので、言われるままに乗り込むことになった。

『どうなっちゃうのでしょうか?』

メリアがネオに聞いてくる。

『にゃんとかなるやろ』


・・・


ネオとメリアは王宮の客間に通され、待機となった。そして・・・

シャールカは、侍女たちにドレスを着させられ、言われるままに謁見の間に来ていた。

しばらく待っていると、何故か後方の扉が開く。正装したアストラル(南東伯)であった。そして、玉座に座ることなくシャールカの前に跪き、


『お目にかかれて光栄に存じます』

と臣下の礼をとったのである。


『ちょっと、別室で話たいのだけれども・・・』

シャールカは跪いているアストラル(南東伯)を無理やり立ち上がらせた。

驚くアストラル(南東伯)。その顔は恐怖の顔であった。見た目と違い、圧倒的な力になすすべなく立ち上がらされたことが信じられなかった。

(これが伝説の力なのか・・・)


『はい。直ちに・・・』

アストラル(南東伯)は周囲の兵士たちに直ちに会議室を用意するように伝えたのだった。


・・・


『ネオ様、メリア様、シャールカ様とアストラル(南東伯)様がお待ちですので、こちらにおいでください』

執事のような恰好をした男にそう言われ、首を縦に振りながら後をついていくネオとメリアが着いた先は、シャールカがアストラル(南東伯)に激怒しているところであった。


『今の私は冒険者なの。あんな出迎えをされ、謁見の間に連れていかれるのは迷惑でしかないのよ!!』

何故か、いつもと違い、言葉が女性らしくなっている。迫力はいつものままだが・・・。アストラル(南東伯)は返す言葉もないらしく、ただ言われるまま小さくなっていた。


アストラル(南東伯)様の立場もあるから、それくらいにしておくのにゃ』

ネオがシャールカに言うと、ようやくおとなしくなった。


会議室には、アストラル(南東伯)、シャールカ、メリア、そしてネオの4人だけにしたところで、


『どうして、私がシャールカだと判った』

シャールカがアストラル(南東伯)に改めて問いただすと

『昨日、イパラにお泊りになりましたよね。あの宿は宿泊者に問題がないか監視がついています。今日の朝、イパラから緊急で報告がありました』

昨夜の話を全て聞かれてしまっていたらしい・・・。シャールカの顔は真っ赤になってしまった。


しばらくの沈黙の後、

『私は、しばらく冒険者として魔物から世界を救う旅をする。よいな!』

アストラル(南東伯)は黙って頭を下げた。


『それは承知いたしました。ですが、何故、そのような・・・』

アストラル(南東伯)はシャールカの行動が理解できないらしかった。


『それは、私がゴンドアの王家としての責任を果たさなければならないからだ!』

アストラル(南東伯)の話を遮り、シャールカは叫んだ。


『それにな、今度は上手くいくと思うのだ』

そういうと、シャールカはニヤニヤしながらネオを見た。

(嫌な予感がするにゃ・・・)

『そこにいるネオは、神様がこの世界を救うために寄越したものなのだ!』

そう言って、ネオを指さすシャールカ。完全にどや顔である。

((あちゃ~!!))

ネオとメリアが同じ心の叫びをあげた。


・・・


『・・・・ということなのにゃ』

他言無用という約束をさせて、ネオは、この世界に来てからのことをアストラル(南東伯)に説明した。

『つまり、兵士たちのレベルを上げて魔物に備える必要があるのですね』

『そうにゃ』


アントラニア王国にあるダンジョン、そこでレベル3になった後、管制所下にある訓練用ダンジョンに入れば、クリア出来てレベル6になれる。そうすれば、オーク程度には対抗できることを理解したアストラル(南東伯)であった。更に、アミアのダンジョンに入れば、レベル15程度にはなれるので、そうすれば、ヒャッケラキアにも集団であれば対抗できるレベルになれるのであった。さらに、デコルのダンジョン3Fのヒャッケラキアを倒せれば、レベル20まで成長することが出来る。そうすれば、ヒャッケラキアの群れも叩くことが出来るということを理解させたのであった。


『シャールカ様は、実際、レベル20になられていますし・・・シャールカ様のお供の方が言われるのですから、間違いないのでしょう』

『こら、ネオは私の共ではない。神の使いだ』

アストラル(南東伯)はシャールカに小突かれている。レベル20がレベル1を小突いているので、アストラル(南東伯)は相当痛いに違いない。

『では、我々は、アントラニア王国に連絡をとり、湖畔のダンジョンでのレベルアップが出来るように交渉するようにします。で・・・ご相談なのですが、南東の訓練施設を我々の騎士がクリア出来ないものでしょうか・・・』

アストラル(南東伯)は、アントラニア王国の施設がすぐに使えるとは思えなかったので、南東の訓練施設をクリア出来ればと考えたのだが、


『無理だにゃ』

『無理だと思います』

ネオとメリアに否定され、アストラル(南東伯)はがっくりと肩を下げた。


『レベル1の人間があの施設に行ってもクリアは無理にゃ』

『ダレンで確認済みです』

ネオとメリアは、ダレンのダンジョンで確認していたので、その事実をそのまま伝えた。


『私の記憶でも、初級ダンジョンはパラストアの湖畔のみだったはずだ』

シャールカの言葉が止めを刺した。


・・・


クラトでは、シャールカのことは知れ渡ってしまっているので、隠しようがなく、ネオたちは、そのまま王宮の客間に泊まることになった。冒険者ギルドに寄る約束があったので、ネオたちは、王宮の馬車で冒険者ギルドを訪問することになった。魔石の入った大袋を騎士に護衛させながら・・・。


当然のことながら、ネオたちは冒険者ギルドにいた全ての人から注目されることになった。

『魔石の換金をしたいだけなのにゃ』

ネオは、魔石の換金を依頼した結果、金貨400枚を受け取り、急いで王宮に戻る結果となった。

『こりゃ。街も歩けにゃいな』

『そうですね』


・・・


その夜

密かに王宮を出る1台の馬車があった。乗合馬車である。何故かこの馬車は、街壁をフリーパスで追加すると、そのまま街道を西に消えていった。

『夜中に脱出する羽目になったにゃ』

一般人はネオたちが王宮にいるのか、いないのか、確認するすべはない。それを利用して、なにも公式の発表をせず、ネオたちは馬車で西に向かうことにしたのであった。


『朝ににゃったら適当なところで降ろしてもらうにゃ』

次回は9時の予定です。

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