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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第6章 オスニア国編
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第76話 イパラ要塞

『川があるにゃ』

ネオたちは目の前にある川に驚いていた。街道は吊り橋でその先にある中州(島)に繋がっていた。橋の入り口には兵士が立っており、チェックを受けてから通行している。


『イーストパラストア要塞・・・』

シャールカが呟いた。


『とっ・・通っていいぞ』

ネオたちは、冒険者カードを見せると、一瞬驚いた兵士たちであったが、簡単に許可が出た。クラトに行くには、ここを通らないと川が渡れないらしい・・・正確には、かなり大回りすることになる。ほぼ行けないのと同じである。


『つり橋は初めてだにゃ』

そう言いながら、何故か楽しそうに歩いていくネオ。シャールカとメリアが慌てて後を追う。その光景を兵士たちは見送った。

(A級冒険者3名って・・・何かあっても敵う訳ねえだろう)

兵士たちは自覚していないものの、わずかに震えていた。


・・・


『変わった街だにゃ』

中洲に入ると中州を囲むように高さ5mの壁がそびえている。驚くべきは、その壁は兵士が中を通行できるようになっていて、外部からの攻撃に応戦出来るようになっていた。そして、壁で囲まれた土地は面積の半分が畑であり、残りに兵舎が並んでいる。中央には数件の商店と鍛冶職人の工房・・・他は畑の耕作をするのであろう農家が数件と宿が1軒あるだけだった。


『ここは、イーストパラストア要塞だったところだ』

シャールカが話始める。


『にゃに・・ようさい?』

『古代遺跡なのですか?』

ネオはただ驚き、メリアは古代文明の遺跡だと感心している。


『これを作ったのは私の叔父だ。そして様子を見る限り、今も現役の要塞だ』

シャールカのいうことが本当であれば、1000年前に作られた要塞で、今も現役の要塞である。


『この要塞が残っているということは、この要塞に立て籠もった人々は魔物の襲撃から助かったのだろう』

シャールカが感慨深げに眺めていた。


『今日はここに泊まろうにゃ』

シャールカの様子を見たネオは、1軒あった宿に入っていってしまった。


・・・


『珍しいねえ・・・あまりここには泊まりたがらないんだよ』

宿の受付をしてくれたおばさんが何か言っている。ちなみに、1人銀貨5枚とちょっと高めである。1人部屋を3つ確保したネオはシャールカとメリアを宿の中に連れて行った。


『せっかくだから、この要塞について教えてほしいにゃ』

ネオはシャールカを見ながら言った。


・・・


3人とも、ネオの部屋に集まったので、部屋の中は少々窮屈である。シャールカとメリアはベットに座り、ネオは1つある椅子に座っている。


『そんな楽しい話はないぞ』

そういいながらシャールカは話し出した・・・。


・・・


=シャールカの話=

『叔父様。川の流れを変えてまで、こんな要塞を作ってどうするのですか?』

シャールカは国王である父に言われて、叔父である王弟の様子に見に来ていた。最近開発された、大きな翼が回転する乗りヘリコプターに乗ってパラストアからやってきたのであった。


『シャールカよ。大きくなったな』

王弟である南東伯はシャールカの問いをはぐらかすように言った。

彼は領都であるクラトの東に要塞を作っていた。川を引き込み、その中州を島にした要塞は高さ5mの壁に囲まれていた。要塞には3か所ある跳ね橋を渡らなければならなかった。当時、特に敵対するものもいなかったので、このような要塞の必要性が理解できなかったのである。刺すような目線に耐えかねた南東伯は


『シャールカよ。今からいう話は、兄以外には言わないでくれ』

穏やかだった顔が急に引き締まったのに、シャールカは思わず生唾を飲み込んだ。


『わかった』

辛うじてシャールカが答えると、


『ドニアで開発中の瘴気発生装置の研究が怖いのだ』

『怖い?』

シャールカは首を傾げた。南東伯の兵士はほぼ全員レベル6であり、よほどのことがない限り魔物が襲ってきても対処出来るはずだったからだ。


『あいつらの研究は危険だ。もし、あの装置が暴走すれば、魔物が大陸中に溢れるだろう・・・』

南東伯は悲しそうに言った。


『そんなことはあり得ないのは?レベル6の兵士たちがいれば大丈夫でしょう』

シャールカは叔父を見つめながら答えた。


『いや。もしあの装置がヒャッケラキアの大量増殖をさせてしまえば、この大陸は滅びるぞ』

最近、軍が開発したヒャッケラキアと、ドニアで研究中の瘴気発生装置が組み合わさった時の想定をしているのは明らかだった。


『叔父様。いくら軍でも、ヒャッケラキアを大量発生させたりはしないでしょうに・・・』

南東伯はシャールカの言葉を遮り、


『北西エリアで不穏な動きがある。その対処に使おうとしたらどうかな?』

大陸の北西地区・・・この大陸の穀倉地帯と言われるこのエリアは、食料が豊であった。そのため、他の地域に食料を提供するような立場になっており、北西部では分離独立を目論む動きがあると言われていた。更に、王家では、その情報発信元が軍部の一部であることも掴んでいた。


『大丈夫よ。父はちゃんとわかってるから・・・』

シャールカが言うと、南東伯は悲しそうに頷いた。


・・・


『ヒャッケラキアにパラストアが襲われる半年前のことだ』

シャールカには明らかに後悔の念が感じられた。


『あのとき、叔父の忠告をもっと真剣に聞いていれば・・・』

シャールカの頬に川が出来ていた。



『すまないにゃ。思い出したくないことを言わせてしまったのにゃ』

ネオはそんなシャールカにひたすら謝っていた。


(瘴気発生装置によって魔物が大量発生しても、瘴気発生装置の範囲を超えて増えることは出来なかったようだ。おそらく、何等かの理由で瘴気発生装置の威力が低下して魔物がいる領域が減ったのもと思われるが・・・。それが何故だかは解らない・・・。あいつ何かしたのかにゃ)

ネオは手で顔を洗った。その時、わずかに廊下で音がしたが、それに気が付くものはいなかった。

次回は2/5の予定です。

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