第74話 誰も引き受けてくれない依頼
短いです
『・・・ということで、砂漠中央に何があるのか調べてほしいという訳だ』
アントンは、ネオたち3人を冒険者ギルドの会議室に案内すると、依頼の内容を3人に説明した。
『調査だけなら、他の冒険者に依頼すればよいのでは?』
シャールカが疑問を口にした。砂漠にあるものの調査にしては、ネオたちを狙いすましたような方法での依頼になるはずがない。
『何か隠しているにゃろ』
ネオは目を細くしてアントン見ていた。
『あっ・・・いや・・・その・・・』
アントンが挙動不審になっている。
『正確に言わないと、クラトのギルドで談判することになりますからね!』
メリアが刺すように言葉を投げる。アントンは観念したのか、
『わかった。誰もこの依頼を受けてくれない理由を話す・・・』
アントンは地図を出してきた。砂漠周辺の地図である。
『ヘイマナの村はここ。そう言って、地図の下の方を指さした。砂漠にはサンドワームがいる。こいつは体長10cmくらいの芋虫みたいな奴だ。だが、焼いても煮ても旨い。日持ちしないので、せいぜいクラトぐらいにしか販売できないのだが、これがここに冒険者ギルドの出張所がある理由だ』
『それを採取する冒険者がいるってことだ』
シャールカが口を挟む
『そうだ。だが、サンドワームは、サンドスパイダーの好物でもあるんだ』
『さんどすぱいだー?』
メリアが首を傾げる。ネオも聞いたことがない名前である。
『ああ。砂漠の中に住む蜘蛛みたいな魔物だ。小さいが魔石も持っている』
『強いのかにゃ?』
ネオが確認すると、
『いや。コボルトくらいの強さしかない。油断しなければ問題ないが、火関係にはめっぽう強いので火属性の魔法は止めた方がいい』
(コボルトくらいということは、せいぜいレベル2くらいだにゃ)
『なので、冒険者たちは、数人でチームを作ってサンドワームの採取をしているんだ。だが、砂漠の中心付近に行くとゴーレムが出没する』
『ゴーレム?』
『ゴーレム?』
『ゴーレム?』
ネオ、メリア、シャールカが同時に反応する。
『ああ。そうだ。砂漠に現れるゴーレムなので、サンドゴーレムと俺たちは呼んでいる』
アントンは言葉に詰まったのか、しばらく沈黙した後、
『ある日、サンドワームの採取に夢中になった5人組が砂漠の中心付近まで行ったらしい。その結果、ゴーレムに襲われ5人のメンバーの内、4人は死亡。1名はここまで逃げ帰ってきたが、全身ボロボロで翌日死んだ。』
『そいつらを見つけるのが調査の目的かにゃ?』
ネオが、目を細めたままアントンを見る。
『いや。砂漠は翌日になれば、死体も砂に埋もれてしまう。探すのは不可能だろう』
『では、なにを調査するのですか?』
シャールカが問いただした。
『逃げ帰ってきた奴から聞いた話によると、砂漠の中央部に、石製の建築物があったそうだ。様子を見ようと近づいたら、その建築物からゴーレムが出てきたといっていた』
(飛行訓練センターにあったような防衛システムかもにゃ)
ネオは飛行訓練センターにいた防衛システムのゴーレムを思い出していた。脇を見ると、メリアも何か物思いふけっているようなので、恐らく同じことを考えていると思われた。
『数とかは解らにゃいのか?』
ネオがいうと、
『10体くらいいたらしいが、正確には解らないらしいのだ』
ふと見ると、シャールカが何か思い出したように突然、背を反らせた。
『ひょっとすると、研究所の実験施設かも知れない・・・』
シャールカが何かつぶやいている。
『それって・・・』
メリアが言いかけて言葉に詰まる。
『ヤバイやつにゃ。きっとにゃ』
ネオが後の言葉を引き取った。
『頼む。砂漠の中央にあるらしい施設を調べてほしいんだ。もう死人は出したくない・・・』
アントンが頭を下げた。
(案外、やさしいんだにゃ)
『引き受けたにゃ。但し、ヤバかったら破壊してくるからにゃ』
ネオはそういうと、席を立った。メリアとシャールカも後を追う。
『終わったら、また来るからにゃ』
ネオはそういって冒険者ギルドの建物から出ていくのだった。
・・・
3人で村の北東に広がる砂漠に向かった。この砂漠は、何故かあまり暑くない。おそらく、そのまま海岸に繋がっているので、砂丘の大きいもののようだった。
『シャールカ。にゃんの施設だと思うにゃ』
ネオは話し出す。
『ほぼ間違いなく、ドニアの研究所の連中が作った物でしょう』
『見られたくないものということでしょうか』
シャールカの意見にメリアが反応する。
『瘴気発生装置とかじゃなきゃいいがにゃ』
そういいながら、砂漠の中心を目指していった。
早くも出てきた瘴気発生装置・・・の予感。
次回は1/22の予定です。




