第67話 日誌
ネオは、シャールカが持っていた本を開いてみた。メリアも覗いてみるが、メリアには読めない、古代文明の言葉で書かれていた。
1020年 12月1日
正午になったとき、ドニアの街から大きな音と共に巨大な土埃が発生した。担当職員たちとその様子を見ていたが、ドニアの街からの連絡で、瘴気発生装置の研究をしていた関係者が、稼働させた装置を使って作った豚をベースしたオークと熊をベースにしたオーガという魔物が暴れているらしい。ドニアの空港への着陸を禁止する処置をとった。
1020年12月2日
朝、出勤すると、緊急連絡が入った。オーガの暴走が止まらない。生き残ったものは今から避難するとのことだった。直後、2機の機体が管制承認を得ずに離陸していた。彼らと交信した担当者曰く、
1機は、ヨシハルという男でパラストアに向かい、もう1機はトシオという男が南西に向かって飛行していったという。彼らが飛び立った直後、ドニアの街から大きな爆発音のような音がしたかと思うと、筒状の飛翔体がパラストア方面に飛んで行った。ドニアの空港とは朝から連絡が取れなくなっており、事の詳細を確認することは出来なかった。
その後、警備からの連絡により、強力な魔物が接近しており、緊急避難する必要があるとのことで、数名の職員を残し、施設から退去させた。
1020年12月3日
仮眠室で起きたところで書いている。既に、周囲は魔物に囲まれており、地上に降りることは出来ないとのこと。今から、脱出用の機体で離陸する。この日誌をいつか読むものが現れる日が来ることを願い。ここにおいていく。
ネオは、メリアが解るように朗読した。
『つまり、ドニアの街にあった研究所で開発した瘴気発生装置で作られたのが、オークやオーガなのですか?』
『そのようだにゃ』
ネオの顔も険しいものになっていた。
『翌日には魔物が溢れて街が壊滅。一部の人は飛行機で脱出した・・・』
『らしいにゃ』
メリアの顔も強張っている。
『更に翌日には、魔物に囲まれて、残った人たちも脱出した・・・』
『と書いてあるにゃ』
メリアは日誌に書いてあることを理解出来ていた。
『そこに書いてある、ヨシハルとトシオというのは、恐らく、瘴気発生装置研究チームの2人だ・・・珍しい名だから間違いない』
泣きじゃくっていたシャールカが突然話し出した。
『恐らく、研究成果である瘴気発生装置を積んでいたはずだ』
『そんなことは書いてないにゃ』
シャールカの言葉に、ネオが反論すると、
『あいつらはそういう輩だ!』
どうやら、シャールカはこの2名を知っているらしい。
『この2機はいずれも行方不明になっている。1機はパラストアの西で、もう1機は南西管制所の手前100km付近で・・・その後、発生した魔物の発生個所と合致するのだ!!』
シャールカは右手に作った拳を震わせていた。
『ということはにゃ・・・』
ネオは周囲の魔物を調べ始めた。地上との距離が離れているので解りにくいが、どうやら、この森には、レベル10くらいの魔物がウロウロしていた。
『この森には、オーガより強い魔物が沢山いるにゃ』
そして、ここから東側に少しいったところ・・・ドニアという街だったらしい遺跡から、得体のしれない力が吹き出していた。
『遺跡のあたりから、妙な魔力みたいにゃのが吹き出しているにゃ』
その言葉に、シャールカは跳ねるように立ち上がった。
『なんだって!!』
シャールカが叫ぶ。
『それって、放置しておくと・・・』
メリアが恐る恐るいうと
『魔物が溢れるかもにゃ』
ネオが言った。
次回は1/11の予定です




