第66話 南東管制所
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『早いにゃ』
ワーバーンは意外にも早かった。そのせいで、風があまりにも冷たい・・・。つまり、寒すぎるのだ。
『ちょっと風よけを作るにゃ』
ネオはそういうと、メリアとシャールカの手を握った。
『おい!』
シャールカが驚いて何か言おうとしたとき、
『シールド』
を周囲に発動した。手を繋いているのでメリアとシャールカにもシールドが付いた。
『これで大丈夫にゃ』
『助かりました』
『助かったけどよ・・・』
メリアはほっとし、シャールカは何か言いたそうである。
『では、もっと早くいくとしよう』
ワーバーンは更に速度を上げていった。
・・・
『このあたりからがオスニア国だにゃ』
『そうです』
ネオの言葉にメリアが答えた。
『人間たちは、そんな名前で呼んでいるらしいな』
ワイバーンも多少、人間のことを知っているらしい。
『大陸の東には砂漠があったはずだが・・・』
シャールカは記憶を頼りに東側を見ている。
『あれが砂漠だにゃ』
東側に砂漠があった。何故か、その海岸近くまで続いている。
『砂漠というより、砂丘かにゃ?』
ネオは、波高が、海岸にある砂丘が云々と話していたことを思い出したのであった。きっと、そんなところを飛んでいたのだろうか・・・。
『何か違うのですか?』
メリアがネオの方に顔を向けた。
『知らないにゃ』
砂漠が終わると平原が帯状に存在した。どうやら、街道が海岸まで続いているらしい。
『あればトウダの街・・・』
シャールカが何かつぶやいている。おそらく1000年前もあったのだろう。だが、今も同じかは解らない。
『なんだ・・・あの森は?』
シャールカが、平原の先にある森に驚いていた。
『昔はなかったのかにゃ?』
シャールカの様子から察したネオが質問すると、
『ああ・・・。この大陸の南東に森はなかった』
シャールカが答えた。
『目的地は、あの森の中心付近だぞ』
ワイバーンが答えた。
『えっ!そんなばかな・・・』
シャールカは信じられないと言わんばかりである。
『ドニアの街は・・・』
『ドニア?』
ネオとメリアは、今の地図には無い地名に首を傾げた。
『目的地のであるクバ山の東に遺跡があるぞ』
ワーバーンは過去にも来たことがあるらしい。
『恐らくそれがドニア・・・研究街市ドニアだ』
シャールカは思わず叫んでいた。
『おい。遺跡といっても、あそこは瓦礫の山しかないぞ』
ワーバーンは冷静であった。
『あいつら・・・』
シャールカが何かぶつぶつ言っていた。
・・・
『なっ、そっくりであろう』
ワイバーンは今の人々がクバ山と呼ぶ、南東管制所に降り立っていた。こちらも、標高2500m地点である。そして、ネオたちに前には、他の2つの管制所とそっくりな建物があった。
『確かにそっくりだにゃ』
『区別がつかないくらい・・・』
ネオとメリアはワーバーンに同意している。
『当り前だ。4つの管制所は元々同時期に同じ仕様で作られたのだから・・・』
事情を知っているらしいシャールカの反応はちょっと違った。さらに、到着直前に東側に見えた廃墟にショックを受けていたらしい。
『1000年も経てば、街は無事ではにゃと思うがにゃ』
ネオがいうと、
『あの街は、特殊な研究をさせるために作った街だ。自動で補修する仕組みまで備えた街だ。』
『それって、人がいなくても維持されるような・・・ということですか?』
シャールカの言葉に、メリアが反応した。
『そうだ・・・魔物がパラストラに溢れる一か月前に、異常事態を知らせる連絡があったらしいのだが・・・』
1000年前でも、1ヶ月あれば、何か情報がありそうだが・・・。ネオとメリアがそのことを聞こうとしたとき、
『私は、パラストラに魔物が溢れる前日までダンジョンにいたのでな・・・。何が起きていたのか知らないのだ』
どうやら、アミアのダンジョンに入り浸っていたらしい。当時のダンジョンがどんな仕様であったは解らないが・・・。
(バトルジャンキーだったのかにゃ?)
(バトルジャンキーだったようね)
ネオとメリアはシャールカ日頃の様子から、当時の状況を想像していた。
・・・
『我の役目はここまでなのでな、家に帰っておるからな』
そういうと、ワイバーンは西に向かって飛んで行ってしまった。
『行っちゃいましたね』
『まあ、いいにゃ』
そういうと、ネオをメリアは建物に入っていこうとする。
『待ってくれ!』
シャールカは、慌てて2人の後を追った。
・・・
内部の作りも、そっくりであった。
早速、最上階へ、エレベータで上がっていく3人。
着いた先は、これまたそっくりに出来ている、南東管制所であった。ここにも中央に机があり、一冊のファイルとメモが置かれていた。
=このメモを見たものへ=
この施設は、大陸の南東空域を監視するための施設である。と同時にこの下にある、訓練用ダンジョンの運営管理施設でもある。
ドニアの街に何かあったらしい。街が何故か破壊されていくのを見た。連絡によると強力な魔物が暴れているらしい。我々にも避難指示があった。
北東管制所長
そして、他の2つの管制所とは異なることが1つあった。
『この部屋、機能停止してないですね』
『稼働させたままだったらしいな』
メリアとシャールカが、周囲を確認していったが、この管制所は、稼働させたまま避難したらしい。
『ということはにゃ・・・』
螺旋階段を使ってダンジョンコントロール室に入ると、中央の机に一冊の本とメモらしき紙があった。よく見ると、
“所長命令により緊急避難する。ダンジョンにいる人は強制退去させた”
と走り書きがされていた。
どうやら、こちらも停止はしなかったらしい。
どうやら、1000年前の利用者がいたらしい。表示されている画面を確認していくと、数人が強制退去させられていた。
(ここですることがにゃ・・・でも、ワイバーンで連れてこさせたのには理由があるはずにゃのだ)
ネオは、新人の神様がわざわざここに連れてこさせた理由があると考えていた。
・・・
念のため、“仮眠所”を確認しに行った。ここにもベットとシャワーがある部屋が5部屋あったのだが、1つだげ、他と異なるものがあった。
『この本は、何かにゃ?』
一番奥の部屋のベットに忘れ物のように置いてあった1冊の本があった。シャールカが中を見ると、一瞬、驚いた後、真剣に読み始めた。あまりの真剣さにネオとメリアは声を掛けることが出来なかった。
シャールカに声をかけても反応しなくなってしまったので、ネオとメリアは食堂に移動し、夕食をとりながら待っていると、目を真っ赤にしたシャールカがやってきた。
『どうしたのにゃ』
その様子に驚いて声を掛けるネオに対して、シャールカはネオの前の席に座り、
『魔物が発生した理由が判った』
シャールカはそういうと、その場で泣き崩れた。
テーブルは、先ほどの本が置かれていた。
次回は9時の予定です




