第65.5話 インゴニア王宮(その3)
王宮では、大臣たちを集めた会議を行っていた。
『ローベス、ダンジョンはどうなった』
グルバード・ド・インゴニア《インゴニア国王》は、ローベス・ド・デコルニア《宰相》に問いただした。
『はい。魔物が出てきた事実はありません』
ローベスは汗を拭きながら答えた。
『あれから、中に入ったものはいないのか?』
グルバードは、すぐ近くにあるダンジョンのことが気になるらしい。
『今は、アントラニア王国に向かわせた兵士の帰還を待っております』
インゴニア王国では、兵士のレベルを上げるため、近衛兵から数名を選抜し、冒険者にして送り込んだのである。グシケがネオから聞いたことが本当であれば、インゴニア王国の兵士もレベルが上がるはずである。そうすれば、デコルに現れたダンジョンの攻略も出来ると考えたのである。実際には、レベル3の状態で3Fに行っても間違いなく、死亡確定なのだが・・・。
『謎の飛行物体の件はどうなった』
グルバードは思い出したようにいった。すっかりダンジョンの件とセットになって記憶されてしまっているグルバードであった。
『はい。その後の発見はありません。』
(面倒なことになってしまった・・・)
ローベスは汗を拭きながら思っていた。
『南西の森に現れた魔物はどうなった』
『はい。森にいたケンタウロスが出てきたものらしいです。ナミアの村とデコルの村が襲われており、何故か金を集めようとしていたようです』
『何故、金を?』
『わかりません』
グルバードの問いに答えるローベス。
ローベスの汗は一向に泊まらなかった。
『いずれも、冒険者によって討伐されております』
『その冒険者は今、どこにいる?』
(・・・)
しばしの沈黙が室内に広がった。
『どこにいると聞いているのだ!』
『その後、ノロッペでシーサーペントを討伐しており、その後、カシミロでの活動が確認されております』
『カシミロで何かあったのか』
『はい。カシミロの近くにエバ山という山があります。実はこの山が、古代遺跡のダンジョンであったことが判明しました』
ローベスは汗を拭きながら必死に説明していた。
『なに!!』
グルバードは驚いた。
『冒険者の捜索によって発見され、カシミロ侯爵家の騎士隊長が入った結果、レベル6になったそうです。』
『なんと!!直ちに、カシミロにわか国の兵士を送り込み、ダンジョン攻略をさせるだ!!』
すっかりボルテージの上がったグルバードに、
『ところが、それは、初回特典というものがあったからだそうで、他のものが入ってもだれもクリアできなかったそうです』
ローベスのその報告をきいたグルバードは、玉座から滑り落ちた。
『何か方法はないのか』
『はい、アントラニア王国で、レベル3になればクリアできるのではないかと・・・』
『それでは、アントラニア王国で鍛えたほうが早いではないか』
アントラニア王国にある湖畔のダンジョンではレベル3までしか上がれないことを未だに知らないのであった。
『それと・・・』
『まだあるのか』
『はい。カシミロの隣にあった古代遺跡ですが、1000年前のカシミの街であることが判明しました』
『そうか・・・』
グルバードはカシミの街に掛かっていた呪いのことは知らなかったので、それ以上聞きただすこともしなかった。
『では、レベル20の冒険者は、カシミロにいるのだな』
グルバードは思い出したようにローベスに問うと、
『それが、カシミで行方不明になっていた冒険者30名を救出した後の消息が分りません』
『どういうことだ』
『カシミロ侯爵が探したそうなのですが、どこにもいないそうです』
『探せ!何としてでも見つけて、デコルに迎えろ!』
グルバードはそういうと席を立って出ていってしまった。
次回から新しい章になります。
次回は1/10の予定です。




