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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
序章 転移?
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第5話 初仕事

冒険者の始まり、始まり・・・。

『朝だぞ。起きろ!!』 

日の出と共に、オスターにネオはたたき起こされた。何せ、昨日まで12時間/日は寝ていたのだから、眠くてしょうがない。


『こんなに早く起きるのかにゃ?』

『なに言ってるんだ。遅いくらいだ』

急いて食堂に行くと、3人は既に朝食のパンを食べていた。慌てて、パンを受けとりネオは食べ始めた。昨日と同じ黒パンは、少々硬かったが、元々ネオは猫だったこともあり、特に気にはしなかった。ロイドが持ってきてくれた水を一気に飲んでパンを流し込むと、


『さあ、ギルドに行こう』

オスターの一言で皆が席を立った。


・・・


 冒険者ギルドは、昨日と違って込み合っていた。

『新しい依頼は、朝に張り出されることが多いからな』

オスターは人の多さに戸惑っているネオに声をかけた。

カウンターの脇にある依頼ボードには多くの冒険者と思われる人がいた。どうやら早い者勝ちらしい・・・。

(だから早起きしないといけないのか・・・)

 依頼は、薬草の採取、近隣の農村からの魔物退治依頼など・・・。中には、落し物の捜索や下水道の清掃なんてものまである。

 しばらくして、オスカーが1軒の依頼を持ってきた。

『よもぎ草の依頼があった。500枚とちょっと多いが、4人ならどうにかなるだろう・・・』

シルバットとロイドは浮かない顔をしている。


『もう少し、骨のある依頼がいいんだがなあ~』

シルバットはそういうとうつむいた。

『ゴブリン討伐とかないの?』

ロイドも物足りないと言わんばかりである。

依頼の難易度が解らないネオは黙っていたが

『途中で、見つけてやっつけたら・・・』

と言いかけたところで、

『討伐依頼の方が、実入りがいいんだよ』

シルバットに一喝されてしまった。


『ネオにとって今日が初日だから、安全なものがいいと思うんだ』


オスターの言葉に、シルバットは自分の右親指の爪を噛みながら

『いつものことだろ!!』

といったきり横を向いてしまった。


・・・


『オスターは、安全な依頼ばかりとってくるのです。それが、シルバットさんには不満らしいのです』

ロイドが歩きながらネオにささやいた。ネオから見ると、ロイドもシルバットと同じく、不満らしい。


『よもぎ草は、イヒアチの森のあたりに多く生えているので、そこに向かうことにする』

オスターはそういいながら先を進んでいく。シルバットとロイドが後についていくという構図らしい・・・。ネオはシルバットとロイドのすぐ後ろについていった。


『よもぎ草ってどんな草にゃ?』

ネオはロイドに尋ねると、

『森についたら、実際に見せるよ。そして、同じ草の葉を集めてもらえばいい』

と周囲を警戒しながら。ロイドは答えた。

『ポージョンの材料の1つらしいけど、詳しく知らないな』

シルバットが話に入ってきた。


・・・


門番に挨拶して外に出たのち、昨日歩いた道を森に向かって歩いていく。昨日歩いたばかりなので、あまり気にしないでいたら、

『どこから魔物が来るか解らないから、警戒しないとだめですよ』

ロイドに注意されてしまった。そんなことを言っているうちに何かを踏みつけた感触があって慌てて足元を見ると、スライムを踏みつけていたらしい。魔石だけ拾って回収すると

『ビギナーズラックだな』

シルバットに笑われてしまった。

(気を付けなければ・・・)

 その後、森に着くまで、ゴブリンに3回(計6匹)遭遇したが、オスターの剣とシルバットの杖で殴って倒していた。実力的にはゴブリンは問題ないらしい・・・。


『昨日みたいに、ちょっと道から外れてみれば、たくさん見つかるはずだけどね』

オスターの説明に頷くネオであった。


・・・

 

森についたオスター達は早速、“よもぎ草”を集めだした。


『ネオさん。これですよ。これと同じ草の葉を集めてください』

ロイドがネオに見せた葉は、どう見ても、日本にもあった“よもぎ”にそっくりであった。ネオは食べたことはなかったが・・・。500枚のよもぎ草は1時間もしないうちに集まった。

集め終わって、休憩する4人。ネオがのどが渇いたので、近くの川に行って水を飲み始めた。

『おい。水筒はないのか?』

その姿を見たオスターは驚いていた。

『すいとう?そんなものは持ってないにゃ』


ネオの回答を聞いて3人はネオに生温かい目をした。

((装備からから準備させないとまずい・・・))

3人は同じ思いでいた。


この後、ゴブリンやコボルトを探して倒していた。ネオは回復魔法しか使えなかったため、コボルトに切りつけられたロイドの切り傷を1回直すことしかできなかった。

(実際には近寄ってきたスライムを何匹が倒していたので、戦果なしではなかったが・・・)


『そろそろ帰ろう』

オスターの一言で、皆はゴブリン探しをやめた。シルバットとロイドは角ウサギも仕留めていたので、すぐに解体を始めた。


『解体できないと売れないからな』

そういうと街に帰る途中で出てきたゴブリンとスライムを倒しながら街に戻った。街壁のネオも3人にならって門番にギルドのカードを見せると

『さっそく発行してもらったな』

と声かけられた。

『はいにゃ』

ネオは返事をして3人の後を追った。


・・・


『合計で小金貨2枚ですね』

ギルドのカウンターに、“よもぎ草”500枚と、今日倒した魔物の魔石(4人分)を全て出した結果である。角ウサギの肉は市場に持っていくので、ここでは換金しないそうだ。

オスターは渡された銀貨20枚を5枚づつ渡していく。

『同じだけもらってよいのかにゃ?』

ネオがオスターに聞くと、

『俺たちは、みんなで山分けが原則なんだ』

といって、ネオに銀貨5枚を受け取らせる。


『今日の宿代を払うと、2枚しか残らないからな』

シルバットは半ばあきらめたようにいう。

『肉は、捕った人の収入にすることにしてるんですよ』

そういいながら角ウサギを見せる。

(なるほど・・・)

これから市場に行くというので、ネオも連れて行ってもらった。


・・・


『いらいっしゃい!!』

『今日は野菜が安いよ!!』

市場に入ると、威勢の良い声があちこちから聞こえる。

『俺たちの用はあっちな』

シルバットが指さしたところは肉の買取コーナーらしく、冒険者と思われる人が数名見受けられた。


シルバットが角ウサギをカウンターに出すと

『角ウサギだね』

といって、カウンターのおじさんが重さを計った。

『特に状態も問題ないな』

そういうと、何か紙に書いてシルバットに渡す。

続いて、ロイドも同じように角ウサギを出して紙を貰っていた。


『この紙を会計に出して換金してもらうんです』

ロイドはネオに紙を見せた。それには、

角ウサギ 1匹 1㎏

と記載されていた。

買取カウンターから少し歩いたところに会計を書かれた看板のある一角があった。元の世界にあった“パチンコ屋の換金所”のようなところであった。シルバットが先ほどの紙を渡すと、代わりに銀貨1枚差し出された。シルバットはそれを何も言わずに受け取った。ロイドも続いて同じように紙と銀貨を交換していた。


『毎日、こんな感じなんだよ』

市場から宿に向かう道すがら、ロイドはネオにささやいた。

(宿代を除いたらほとんど残らないにゃ)


はじめは貧乏です。

次回は18日の予定です。

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