第45話 新装備
湖畔の宿ですることもなくなり、明日からは本格的に湖畔の宿の再建工事が始まる旨の連絡を受けたネオは、
『メリア。そろそろ、ここから出ていこうにゃ』
『そうですね』
と、湖畔から出ていく予定にしていた。ギルドや王様に言うと面倒なことになりそうだったので、マレットさんにその旨を伝えると、その夜、宿の一家3名とネオとメリアの5名によるささやかなお別れ会が開かれた。
『本当に行っちまうんかい』
マレットさんはちょっと残念そうである。一方、コレットちゃんは
『その人の生き方ですから・・・』
と引き留める様子はない。この宿は、王国の庇護のもと冒険者や兵士の訓練に使われるので、未来は約束されている。
『先日、陛下がね。私を王子と婚約させたいとか言ってた』
どこまで本当なのかどころか、そんな王子がいるのかすら疑問だが、この一家は重要な国家機密を握っているということもあり、王国としても特別待遇らしい。実際に陛下にも謁見しているということだ。
『まだ、やることがあるみたいにゃので』
ネオはそういいながら、納得していなかった。
(確か、村近くのダンジョンでメリアのレベルアップをしたとき、アミアで新装備が云々いっていたはず・・・)
『どうしたのですか?』
黙ってしまったネオにメリアが問いかけてきた。
『にゃんにもない』
・・・
『お世話になりました』
『いろいろありがとうございました』
『お幸せに!!』
メリアの挨拶に、マレットさんとコレットちゃんが答えている。コレットちゃんの言葉には、何か意味深な感じ含まれている気もする。
『ばいばいにゃ』
ネオはそういうと、早朝の晴れた空の元、街道を歩き始めた。メリアが慌てて後を追う。
宿から見えなくなるまで移動すると
『もう一度ダンジョンに行くのにゃ』
『えっ?』
突然のネオの話に驚くメリア。
『何か残っている気がするのにゃ』
途中から街道を外れ、アミアのダンジョン入り口に来ると、周囲を見渡し、誰もいないことを確認して中に入る。
・・・
『にゃんと!』
『うそ・・・』
ネオをメリアが入った先は、いきなり広い草原になっていた。
『模様替えレベルではないにゃ』
遠くに何やら建物が見えるので、そこに向かって歩いていくと、
『うっとうしいにゃ』
『面倒です』
うじゃうじゃとゴブリンが出てきて襲い掛かってきた。レベル16のネオとレベル15のメリアの敵ではないものの、隠れるところもない草原なので、とにかく倒していかないといけない。300匹ほど倒したところで、ようやくゴブリンは出てこなくなった。
『とりあえず魔石を回収してと・・・』
建物に近づいてみると、
『なんか見覚えがあるにゃ』
『これはダイキチロウがいた部屋ですね』
『ということは・・・』
メリアが持っていた鍵を使うと、入り口の扉が開いた。
『もう、ダイキチロウはいないはずにゃ』
それでも慎重に中に入ると、そこには何故か新人の神様の像があった。
ネオが近づくと、像が光出した。
『ちゃんと模様替えの後に来たな。待っていたんだぞ。もうちょっと早く来んか!』
何故か、いきなり怒った声がしてきた。
『にゃ?そんなの知らんにゃ』
思わずネオが答えると、それに反応したのか無視したのか、
『せっかく来たので、今後のための装備をやろう』
そういうと、像から謎の光がネオとメリアを包み込む・・・。
『にゃにゃ!!』
『えっ!!』
驚く二人を無視するかのように光が二人を包んでいく。
『私も、湖畔のダンジョンのことはすっかり忘れていたのだ。N6276GPの神との賭けに負けたことも・・・』
『ダメにゃん!』
ネオが抗議するも、新人の神様は話を続け、
『結果として、今出てくる魔物に対抗できる目途は経ったが・・・』
『なら、もう大丈夫ですね』
メリアが確認するように言うと、
『これから、更に強力な魔物が出てくるはずなので、その対処が必要になる。今のままだと南西管制所も危ない・・・』
『どういうことニャ?』
『前回の魔物による文明崩壊後、魔物もパワーアップしたようなのだ』
『???』
『にゃんと!』
ネオは理解できる範疇であったが、メリアには理解できる範囲を超えていたらしい。
『残りの3ヶ所の訓練施設を再稼働し、湖畔のダンジョンでレベルを上げた者たちを送り込む必要がある』
『そんなの国王にでもいってほしいのにゃ』
『この大陸は複数の国に別れており、対立している国家もある。多分西北は稼働しても使えないだろうが・・・』
『どういうことにゃ?』
『とにかく・・・この先、魔物はパワーアップする。お前は北東訓練施設を再稼働してほしい』
『どこにあるにゃ?』
『南西訓練施設で地図を見ただろうが!!』
『そうにゃった』
『まずは北に向かい、デコルに行け!よいな、デコルだぞ』
そういうと、2人を包んでいた光は消えていた。と同時に新人の神様の像は消えてしまった。
『見た目は変わらんが、大幅に防具を強化したから安心せい。途中にあるダンジョンに必ず寄るんだぞ!!』
・・・
気が付くと、ダンジョンに入り口に移動していた。
『あれは何だったのでしょうか?』
メリアはまだ理解できていないらしい。
『あれが新人の神様にゃ。いい加減な神様にゃのだ!間違って俺を・・・』
ネオがこの世界に来た時の話を使用したとき、どこからともなく、水の塊がネオを襲った。
『あんにゃろ~』
ネオは新人の神様の仕業だと信じて疑わなかった。
・・・
アミアの街の東側を抜け、街道に戻ったネオとメリアは、そのまま北を目指した。
『そういえば、防具を強化したようなことを言ってたにゃ』
『言ってました』
見た目が変わらないので、良くわからない上、試す相手もいないのでどうしようもない。ただ、ネオには不思議な力が身についていた。
『なんか、魔力のようなものを感じるにゃ』
ネオは何故か、周囲の魔力分布が解るようになっていた。その結果、魔物が近づくのが見えなくても解るようになった。また、個々の魔力も比較できる。
『頭に魔物レーダーがついたみたいにゃ』
『すごいじゃないですか!』
メリアは感心しているが、どうしてこんな能力が身に着いたのかわからないネオは混乱していた。
・・・
『N6276GPの神様、今回は私の勝ちですね』
『N2122HDの神よ、初めて勝ったからといって浮かれているんじゃない』
『勝ちは勝ちですよ』
『酒をとられたわい』
『約束通り、ネオの能力をあげましたから・・・』
『早々、幸運が続く訳がないだろうが・・・』
ネオとメリアを見つめる謎の2つ姿があった。
次回は1時間後の予定です。




