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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第4章 アミアのダンジョン編
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第44話 密談

 ネオたちが、エルバート(ギルマス)と話し終わって、マレットさんが出来上がった冒険者カードを眺めていると、王宮に行ったはずのギルド職員が帰ってきた。何故か、王宮の馬車に乗って・・・。


『ギルマス!今から来るようにとの陛下のご命令だそうです』

ギルド職員の言葉に

『やっぱりな』

というエルバート(ギルマス)

『お前たちも来てくれ』


・・・


『・・・という訳で、湖畔に初心者用のダンジョンが発見されました』

かつて、エルバート(ギルマス)たちがレベルアップしたダンジョンの話は適当にぼかして、“ダイキチロウ”を見つけて戦闘になったこと。その後現れた魔方陣に飛ぼされ、そこから、たまたまあった船に乗って、流されて復活した湖に着いたこと。湖畔にあった廃屋を調べたら、ダンジョンの入り口で、1階しかないダンジョンをマレットさんがクリアしたらレベル3になった。


『その話は真か?』

アルガソード・フォン・アントラニア《アントラニア王国王》は、 ゲルド・ド・イスタール《アントラニア王国の宰相》から言われて、報告の内容が想像出来ていたにも関わらず、信じられないというのが本音であった。だが、宿のおかみでしかないマレットさんがダンジョンをクリアし、レベル3になったこと、そして、それが、冒険者ギルド発行のカードで照明されていることを聞いてただ驚いていた。


『これは、大変なことになりました』

 ゲルド(宰相)は冷静であった。このダンジョンを活用すれば、この国の兵士はほぼ、全員レベル3にはなるだろう。明らかに、他を圧倒出来るはずである。だが、その事実が知られれば、このダンジョンを狙って他国が干渉してくるのは確実であった。いくら何でも、他国全てを相手に国を防衛するのは困難に思えたである。


『まずは、冒険者の訓練施設ということにして、他国には内密にしましょう』

『うむ』

アルガソード(国王)は頷くしかできなかった。長く平和な時代が続いたので、他国を攻める気もなければ、発展することも期待していなかったからである。ただ、最近起きた、魔物の襲撃に対抗できればよいというのが本音であった。


エルバート(ギルマス)よ。とにかく、冒険者のレベルをあげよ。但し、他国に目立たぬように・・・な』

『かしこまりました。陛下』

本来、国王といえども、冒険者ギルドにこのような指示は出来ないのだが、エルバート(ギルマス)としても、混乱を避けるため、この国の一部の冒険者に斡旋してレベルアップした人材を揃えることを望んだのであった。


『廃屋になっていた“冒険者の宿 湖畔”の再建には、内密ながら王国が協力しよう。なのでな、近衛兵にもダンジョンを使わせてほしいのじゃ』

『兵士の姿では目立ちます』

アルガソード(国王)エルバート(ギルマス)は反論する。


『わかっておる。冒険者登録させて、こっそり少しづつ送り込むのじゃ』

『それならば・・・』

アルガソード(国王)エルバート(ギルマス)はその提案の呑むことにした。


『マレットと申したな。そなた、急ぎ、宿を再建するのだ。お前の先祖が経営していた宿であれば、お前が再建しても不審には思われまい』

『はい。再建します。祖父の願いでもありましたので・・・』

マレットさんは恐れ多いのか、平身低頭である。


『湖畔までの街道は、陛下の指示いうことで、至急、整備いたします』

ゲルド(宰相)はそういうと、部下を呼び、何やら指示を出している。


・・・


『陛下が新しくできた湖の湖畔に別荘を建てると言っているらしい・・・』

アミアの街ではそのような噂が流れていた。流した犯人はゲルド(宰相)である。廃道整備の口実にしたのであった。無論、アルガソード(国王)の了解をとってある。

同時に、悪酒をばらまいた、“ダイキチロウ”は討伐されたことが正式に王国から公示された。アミアの街の人にとって、酒が安心して飲めることの方が遥かに重要だったらしく、大事件であるはずの川と湖の件はあまり話題にならなくなった。


『誰も、船のことを言ってきませんでしたね』

メリアがネオにささやいた。

『いろいろあり過ぎて忘れてしまったのにゃ』

そういうと、ネオはニャと笑った。


・・・


翌日、アミアにある“冒険者の宿 湖畔”で朝食をとっているネオとメリアのところに、ガタイの大きい男が現れた。エルバート(ギルマス)である。


『さて、俺としては、お前達にまだいろいろ聞かなければならないことがある』

そういうと、ネオとメリアがいる食堂のテーブルに椅子を持ってきて、座ってしまった。


・・・


 ネオとメリアは冒険者ギルドの2階に連れてこられていた。ほぼ、強制である。

『まず、元からあったダンジョンがどうなっているかだが・・・』

言いかけたエルバートだったが、突然やめてしまう。


『その前に、湖畔のダンジョンをちゃんと調べる方が先だな』

『そうだにゃ』

『そうだと思います』

エルバートの発言に異議の無かったネオとメリアも同意する。結局、アミアにある冒険者の内、口の堅そうな数名をまず送り込んで様子をみることになった。


『何が起こるかわからんから、お前たちも一緒にいてくれ』

エルバートの懇願とも脅しともとれるその依頼により、ネオとメリアはしばらく、湖畔のダンジョンに詰めることになった。口実は、“冒険者の宿 湖畔”の手伝いである。


・・・


翌日、数名の冒険者と共にネオとメリアは湖畔に向かった。廃道の整備は始まっていたが、まだ馬車が通れる状態ではなく、徒歩である。そして、何故かマレットさんが同行している。


『着いたら、手伝ってもらうわよ!』

マレットさんが張り切っているが、冒険者たちは疲労気味である。レベル3になったマレットさんの方が、冒険者より身体能力が上がってしまっているからである。


マレットさんの夫とコレットちゃんは、再建する宿に必要なものの準備と、今の宿を商人ギルドに委託するための準備に奔走している。陛下の命令と協力があるので、準備は実に順調である。こっそり、王国から資金も貰えているということも影響している。再建される宿には、冒険者ギルドの職員も常駐する予定で、ダンジョンの状況次第ではギルド支部の設置も考えているらしい。


・・・


 湖畔に着いた後、まずは、建物の清掃、補修を行い、最低限暮らせる状態を確保した。宿としての設備はまだ揃っていないが、野宿よりはマシである。冒険者にとって問題は無いようである。この宿に設置されていた簡易水道ともいうべきものは、ちゃんと機能していた。湖畔から水を吸い上げ、ろ過しているらしい・・・。宿に残されていた日記からは、湖が消滅して水が出なくなったと書いてあったからである。


『でもさ、この水道、便利だけど仕組みがさっぱりわからないんだよ』

マレットさんは調べても、その水道がどこに繋がっているのかすら判らなかったことにちょっと不満そうである。


『とりあえず使えるからいいのにゃ』

『ネオさんが飲んでも大丈夫だったですし・・・』

ネオの適当な発言に、メリアは意味深なことも言っていたが・・・。


・・・


翌日から、冒険者をダンジョンに投入した。出てくるはずの小屋は清掃したので、埃まみれになることはない。半日もしないうちに、冒険者たちは小屋から戻ってきた。

『すげー。レベル3になったっす』

『私もレベル3です』

『俺もレベル3だよ』


どうやら、1回目のクリアでは、レベル3になるのが普通らしい。


彼らは、昼食後、もう一度挑戦しに行った。


夕方、彼らは小屋から戻ってきたが、イマイチ元気がない。


『レベルが上がらなかった』

2回目は全員が

『レベルアップ対象外です』

といわれたらしい。ダンジョンのつくりに変化はなく、出てくる魔物もゴブリンのみで、変化がなかったらしい。


・・・


後日、冒険者ギルドから連絡があった。

『ギルドの古い資料によると・・・』

連絡しに来た職員の話を要約すると

・冒険者ギルド入会希望者は、アミアで手続き後、湖畔の宿に行ってこのダンジョンに入っていた(義務ではなかったらしいが、ほぼ全員がしていたらしい)

・何回挑んでもよいらしいが、初回クリア後はレベルが上がらない


『入会サービス用ダンジョンってことだにゃ』

『そのようですね』

ネオとメリアは冷めた様子で職員の話を聞いている。このダンジョンをクリアすれば、多少、強化されるが、それを超えるためには、他に行かなければならない。


ネオとメリアは、まだ使われていない宿の一室を借りて、話をしていた。

『でも、ここをクリアした冒険者がシメ山に行けば・・・』

『クリアできる可能性はあるにゃ』


つまり、

①湖畔のダンジョン (レベル1→レベル3)

②シメ山のダンジョン (レベル3→レベル6)

を達成できれば、アミアのダンジョンでレベル10の土竜を倒せる・・・わけないか。

どうやら、今のままでは、アミアのダンジョンに挑戦できる前のもう1ステップ必要なようである。


『でも、レベル6なら魔物に対抗できるにゃ』

『そうですね』

ネオとメリアは、この世界の人々が魔物に対抗できそうな気がしていた。


『でも、うまくいくでしょうか?』

『ロディア国とアントラニア王国は仲がいいそうにゃ。多分、大丈夫にゃ』

ようやく目途が立ったのか・・・?

でも、ネオの使命は、大陸を魔物から守ることなので・・・。そんなことは知らないアントラニア王国の人達は、ネオに手の内を教えてしまったことをこの先後悔することになります。

次回は12/11の予定です

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