第43.5話 ゲルド・ド・イスタールの報告(その2)
短いです
ゲルド・ド・イスタール《アントラニア王国の宰相》は、アルガソード・フォン・アントラニア《アントラニア王国王》に報告をしていた。
『ブジェからの報告によりますと、アミア橋の下に川が出来たそうです』
『???』
アルガソードはその報告を理解できなかった。
(確かに川があったようにも見えるがの・・・)
『突然、西から大量の水が流れてきたそうです。幸い、誰も川には居なかったそうで、ブジェの住民に被害はありませんでした』
『つまり、アミア橋の下に本物の川が出来たというのじゃな』
『仰せの通りです』
(何故、突然・・・わからん)
『さらに、アミア橋にいた住民の証言によると、2名が乗った1隻の船が、川の流れに乗って西から東に移動していったと・・・』
『まさか・・・』
アルガソードは、メストでオーガとオークを倒した冒険者を思い出していた。
『その船に乗っていた見た目が、先日、メストで魔物を倒した2名に酷似しているようです』
(やっぱり・・・)
『あ奴らは、どこにいるかわかるか?』
『翌日、ダンジョンがあるらしい森に現れたことが確認されています』
『ダンジョンは見つかったのか?』
『いいえ。いつの間にか、その2名はいなくなったそうです』
『ちゃんと探さんか!!』
思わずアルガソードは怒鳴ってしまった。
『近衛兵2名が後をつけたそうなのですが・・・』
『どうした?』
『帰ってこないのです』
『はっ?』
『もしかすると、ダンジョンに入ってしまったかもしれないです』
『行方不明者のいた周辺を探せ!!』
アルガソードは思わず叫んでしまった。人外の力を得ることが出来るダンジョンがあるかもしれないと考えると、あまりに重要であった。メストのように街が魔物に襲われるかわからないと思うと、どうしても得なければならない力に思えたからだった。
・・・
『・・・申し上げます』
兵士が慌ててやってきた。通常では入室するのは厳禁のはずであるが・・・。明らかに兵士の様子がおかしい。
『どうした?』
ゲルドは、兵士に尋ねた。
『はい。冒険者ギルドのエルバート殿が、至急、御目通りを願っているそうです。なんでも、ダンジョンに関することだとか』
『ほほう・・・。陛下、これは、話を聞いてみるのが良さそうですな』
ゲルドは顎に手をあてながら、何やら考え込むように言った。
『川の件とも関連があるとみているのだな』
『ほぼ、確実かと・・・でなければ、エルバートがダンジョンの件で話をしに来るわけがありません』
ゲルドは、過去にダンジョンのことをエルバートに詰問したのだが、彼は全く、ダンジョンのことは話さなかった。オケライのオルトラとアミアのエルバートの2人は人外の力があるので、強権発動することも出来なかったからだ。それが、急にダンジョンの件といってきたことから、何か重大な出来事があったとしか思えない。そして、大きな出来事として、アミア橋の下に川が出来たこと・・・タイミング的に無関係とは思えなかった。
『うむ、よかろう。この後の予定はキャンセルじゃ。至急、エルバートを呼んで来い』
『はい』
報告に来た兵士は、自分への指示を理解して、慌てて駆け出していく・・・。
次回は12/4の予定です。




