第41話 アミアダンジョン4・5F
ダンジョンも大詰め・・・。
トカゲ剣1を持ったまま、メリアが4Fへと降りていく。ネオは後を追うようについていった。
『まあ・・・』
4Fは広い空間であった。メリアはその光景に思わず声を上げていたが・・・。
(手抜きかにゃ)
ネオには、新人の神様が面倒になって手を抜いたようにしか見えなかった。
・・・
よく見ると、草原のような空間の真ん中に何かがいた。
『あれがこのフロアのボスでしょうか』
メリアが草原の真ん中を指さした状態で、ネオに顔を向けてきた。
『目を逸らせたら危ないにゃ』
ネオはそういった瞬間、何かが飛んできた。ネオは、メリアを抱えて右に跳んだ。ネオとメリアの後方で何か爆発する音がする。振り返ると、先ほど降りてきた階段が破壊されて、瓦礫に埋もれていた。
『あいつを倒さないと、3Fに戻れないということだにゃ』
『ホーリーウインド』
ネオは草原の中央に向かって風の刃を放ってみた。すると、突然、跳び上がり、全長3mはあろうかという翼を広げて見せた。
『鳥の魔物かにゃ?』
『あんな大きな翼をどこに仕舞っていたんですかね?』
よく見ると、一件、人間のように見えるが、手の代わりに大きな翼が付いている。150㎝くらいしか身長がないので、どうやって、あんな大きい翼が出てきたのか謎である。
鳥のようなものは、翼を広げたままネオとメリアの近くに着陸すると、
『私はハルピュイアクイーンよ!!』
といって、胸をそらせて見せた。
(((喋った・・・!!)))
魔物がしゃべっても、今更なのだが・・・。残念ながら、そらせて見せた胸部は子供のようにしか見えなかった。
『子供かにゃ?』
ネオの一言に、顔を真っ赤にした鳥の魔物は
『隣の女よりは大きいわ!!』
といって翼を羽ばたかせた。突風のような風がネオとメリアを襲う、ネオはメリアを抱えて跳び上がり、
『ホーリーアロー』
『ホーリーアロー』
『ホーリーアロー』
・
・
・
ひたすら矢を打ちまくった結果、鳥の魔物の翼はボロボロになった。
『私の美しい翼を・・・。許さん!!』
すると、どういう訳か、翼は変形し、刀のような形状に変わった。
『でかい刀だにゃ』
『後は、私が・・・』
メリアはトカゲ剣1を右手に、背中に背負っていたショートソードを左手に持つと、鳥の魔物?に突撃していった。
『なんと、小癪な・・・』
鳥の魔物?はそういうと、メリアに翼を変形させた刃を水平に切りつけてきた。どうやら、メリアを上下に切り裂こうというらしい。メリアは跳び上がり、難なく刃を躱すと、右手のトカゲ剣1で鳥の魔物の胸を貫いた。
『なんで・・・そんなに強いのよ!!』
痙攣をおこしながら、鳥の魔物?は何か言っている。
『私はハルピュイアクイーン・・・』
『あっけなかったですね』
メリアは既に終わった気になっている。
『クイーンにゃのに、部下はいないのかにゃ?』
ネオは、断末魔の鳥の魔物?を眺めながら聞いた。
『これから・・・』
鳥の魔物?の顔が僅かに緩んだ。
『危ないにゃ!!』
そういうと、メリアを抱えて飛び跳ねた。直後に、鳥の魔物は謎の爆発を起こして消えた。
ネオは少し離れたところに着地して、メリアの様子を見ると、両手に剣を持ったまま、呆然としている。まさか、自爆するとは思っていなかったらしい・・・。
『あいつは魔法が使えたからにゃ。最後に魔法で自爆して道連れにしようとしたのにゃ』
そういうと、ネオはそっとメリアを地上に降ろした。
『怖い・・・』
メリアはそういうと、その場にしゃがみこんだ。
・・・
どうにかメリアを回復させたネオは、落ちていた魔石を回収すると周囲を調べ始めた。
『どこかに下の階への階段があるはずにゃ』
よく見ると、草原に、謎の魔方陣のようなものがある、元からあったのか、は謎であるが・・・。
『ここは最後にゃ』
そういうと、草原を探索する。さっきは、際限なく広がっているように見えた草原は、四方を壁に囲まれた巨大な部屋になっていた。
(さっきの魔物のせいにゃ)
しかし、いくら探しても何もない。
『この魔方陣の中に入るのにゃ』
そういうと、メリア連れて魔方陣の中に入ってみた。
『にゃ!!』
『あっ!!』
魔方陣から謎の光が出て、ネオとメリアを囲んでいく、思わず驚いて声を上げたネオとメリアであったが、次の瞬間、突然景色が変わった。
まるで、モグラの巣のような、地中の空間が広がっていた。そして何より問題だったのは、
『土竜!!』
『土竜にゃ』
そう、以前、ダンジョンの10Fにいたのとほぼ同じ土竜であった。
『ここも、こいつがボスかにゃ』
『そうみたいですね』
土竜は、魔物ネオとメリアを認識したらしく、突進してきた。慌ててネオとメリアは、左右に跳び退く。
『ホーリーアース』
向きを変えて、ネオに再び突進してきた土竜の前に壁を作る。が、土竜は、その壁を破壊して突進してきた。
『にゃんてバカ力!!』
驚いているネオとは別に、メリアは、土竜の顔めがけて跳ぶと、両手に持っていた剣を左右の目に突き刺した。土竜の突進が止まる。さすがにダメージが大きかったらしい・・・。
『剣を!!』
メリアの言葉に慌ててアイテムボックスからネトカゲ剣2を取り出したネオは、それをメリアに投げる。メリアは剣に向かって跳び跳ねると、トカゲ剣2を空中に受け取り、そのまま土竜の首に切りつけた。どう考えても、剣の大きさに対して、土竜の首が大きいのだが、トカゲ剣2は、土竜の首を切断してしまった。どうやら、ホーリーウインドのような魔力の刃が出ていたらしい・・・。魔法が使えないメリアがどうしてそんなことが出来たのかは謎である。
・・・
土竜はしばらくすると、魔石を残しで消えてしまった。と同時に見覚えのある像が出現した・・・そう、新人の神様の形をした像が現れたのである。
『魔石を回収するのにゃ』
ネオは魔石の近くにいたメリアにそういうと、像に近づいていった。
予想通り、ネオは光に包まれた
『ネオは今回ろくに仕事をしていないからレベルアップは無しじゃ』
『そんにゃ・・・』
ネオがふとメリアを見ると、メリアも光に包まれていた。
(あれ、今までと違う展開にゃ・・・)
『譲ちゃんは頑張ったので経験値をレベルに変換してやろう。譲ちゃんはレベル15になったぞ・・・ハハハ。では、嬢ちゃんにダンジョンの鍵を進呈する。』
『俺のはにゃいのか?』
『付き添いにはやらん』
ネオとメリアは光に包まれた・・・。
・・・
気が付くと、ネオとメリアはダンジョンの1Fに移動していた。
(いつの間に・・・)
『言い忘れておった。明日、模様替えをするからの・・・ハハハ』
そういうと、その後、新人の神様の声は聞こえてこなくなった。
『開かなかった扉の鍵なのでは?』
メリアはいつの間にか持たされていた鍵を呆然と見ている。土竜との闘いに使った剣はメリアの脇に3本、並んで置いてあった。
『明日、模様替えをされると面倒にゃ。今から行くにゃ』
ネオはそういうと、トカゲ剣2をアイテムボックスに回収し、残り2本をメリアに持たせた。
・・・
『開きましたね』
『開いたにゃ』
ダイキチロウが逃げ込んだ扉は、メリアが持っていた鍵で開いた。警戒しながら中に入ってみると、そこには小太りの男が、剣を持って待ち構えていた。
『お前がダイキチロウかにゃ』
『そうだ。来るな。近寄ると殺す。俺は、ゴブリンも倒せるんだぞ』
どうやら、この男がダイキチロウで間違いないらしい・・・。だが、何か様子がおかしい。
『お前、悪酒を売っていたにゃ』
『悪酒?アミアに売りにいっていた酒のことか?』
『そうにゃ』
『あんな素晴らしいものを悪酒とはふざけるな。ロディアからはるばるやって見つけた、天国酒だ』
(???・・・こいつにゃに言っているのにゃ)
『トシミツの野郎、わしを蔑ろしおって・・・儂がいるから、ゴブリンから村が守られているというのに・・・腹が立ったから、トシミツの持っていた村の秘伝書を盗んでゴブリンが村に来れるようにして出てきたのじゃ』
なにやら、ダイキチロウが勝手になにかしゃべり始めた。
『トシミツの持っていた秘伝書に書いてあったこのダンジョンで天国酒を見つけたのだ。だが、扉に鍵が掛かっていて中に入れなかった。仕方なくアミアの街で飲んでいると、ガタイのいい男がいたので、そいつの財布を盗んでやると、何とここの鍵が入っていたんだよ。きっと神様の導きだったのだろう。そして、酒の湧く泉を見つけたのだ。この酒を飲むと、とっても幸せな気分になる。なので、これをアミアに売りに行って、金を儲け、このダンジョンに住むことにしたのじゃ。何が悪い!!』
『???』
メリアはダイキチロウの言っている意味が理解できなかった。彼自身も呑んでいるということは、既に、悪酒がないといられない体になっているのだろう・・・。だが、
『お前は許さん!!』
ネオはそういうと、
『ホーリーアロー』
明らかに過剰な、巨大な矢がダイキチロウの頭に突き刺さろうとしていた。
『えっ?』
メリアは咄嗟のことに驚いた。殺さずに確保するはずだっただがネオを止めることは出来なかった。
が、ダイキチロウはこの矢を避けてしまった。更に、この矢で開いてしまった穴から逃げ出すと、何故か悪酒の湧く泉の中に入っていった。
『あいつが阿保なことをしなければ、オスター達は死ななくて済んだはずなのにゃ!!』
ネオはそういうと、ダイキチロウの後を追った、ダイキチロウが開けた、悪酒の泉に入る扉から、ネオが入ると・・・。
『わしは、天国酒の力と融合したのだ。無敵じゃ・・・ハハハ』
悪酒が湧いていたと思われる泉には悪酒はなく、風船のように膨らんだダイキチロウの姿がそこにあった。よく見ると、泉とダイキチロウの脚が何故かつながっている。
『ヴォーターアロー』
ダイキチロウから謎の矢が飛んできた。慌てて避けると、背後の壁が溶けていく。
『にゃんと!』
次々にダイキチロウは矢を放つ。そのたびにネオは避けるが、どんどん周りが溶けていく・・・。しまいには、周辺の壁は全て溶けてしまった。
『ハハハ・・・わしの力は無敵だ!!』
(面倒だにゃ。近寄れないにゃ)
ネオは、ダイキチロウが連続で放つ矢を避けるのに手いっぱいで、反撃できずにいた。
その時、ダイキチロウを背後から襲うものがあった。
『ギャー!』
ダイキチロウは破けた風船のようにしぼんで床に落ちていた。もはや、生きている様子はない。
『仕方ないですね』
ダイキチロウが倒れた後ろにいたのは、メリアであった。周りの壁をダイキチロウが壊したので、背後に回り込んでいたのであった。
『助かったにゃ』
・・・
しばらく様子を見ていたが、泉は枯れてしまったのか悪酒は湧いてこなくなった。よく見ると泉の中央に魔方陣がある。ネオとメリアが覗き込むと、突然、魔方陣が光輝いた・・・。
『にゃ!』
『えっ!』
しばらくすると、光は収束していった。ネオとメリアにも特に変化はない。いつの間にか魔方陣は消えていた。だが・・・・。
『ここはどこにゃ~!』
周囲の景色が全く違っていたのであった。
ダンジョンは攻略して、結果としてダイキチロウは倒してしまいましたが・・・。
さて、どこにいってしまったのでしょう・・・。
次回は9時間後の予定です。




