第40話 アミアダンジョン3F
3F
『にゃんか怪しい作りだにゃ』
ネオが怪しいことを言い出したので
『何かあるのですか?』
メリアが確認すると、
『右壁に沿って移動する方法を見破ったような作りに見えるのにゃ』
『???』
メリアはよくわかっていない。
『分岐しているのが左側しかないのにゃ』
ネオに言われるまま、ダンジョンの先方をよく見ると、まっすぐの通路に、左側に分岐があるのが見える。
『この階は左壁に沿って移動するにゃ』
そういうと、最初の分岐を左に曲がっていった。とりあえずメリアもついていく。
とぐろを巻くようにひたすら通路が続いた先にいたのは、1匹のオークであった。何故か、手に剣を持っている。
『剣を持ったオークだにゃ』
『倒してきます』
メリアはそういうと、ショートソードを抜き、オークに向かっていった。オークも気が付いて、メリアに向かって剣を構えている。
(レベル差で勝てるにゃろ)
ネオはメリアの様子を眺めていた。
オークに突進していくメリア。そのメリアめがけて、オークは剣を振り回す。が、メリアはそれを避けて跳び上がり、ショートソードをオークの頭に叩きつけた。
(にゃんとも豪快な方法で・・・)
ネオが感心するやら、呆れるやらしているうちに、オークは魔石を残して消えていった。メリアが他に何かないか調べている。しばらくして魔石をもってネオのところに戻ってきた。
『終わりました』
そう言って魔石を渡す。受け取ったネオは、魔石をアイテムボックスにしまうと、
『強くなったにゃ』
一言言った。
『まだまだです』
メリアはそういうとダンジョンを戻り始める・・・。
『次に行きましょう。この階には5匹のオークがいるはずですから・・・』
少し先を歩いていったメリアの後ろに、何の前触れもなくオークが3匹現れた。3匹とも武器は持ってなく、体格もさっきのオークよりやや小さいが、それでもオークである。メリアが背後から不意打ちされた形になった。オークの攻撃をまともに受ければメリアでも無事ではない。ネオは、アイテムボックスから剣(爬虫類型人型生物が持っていた剣)を取り出し、メリアを襲おうとしていた3匹を胴体のところで切り倒した。
メリアも気配を感じたのだろう。慌てて前に跳ねたが、ネオが3匹のオークを上下に分離させていなかったら、危ないタイミングであった。
(なんとか間に合ったにゃ)
『油断はいけないにゃ』
オークの先にメリアがいたので、アロー系の魔法を使う訳にもいかず、慌てて剣を取り出したネオも油断していたとか思えないのだが・・・。
・・・
更に、左壁に沿って移動していくと、行き止まりのところが、少し広くなっており、そこにも、剣を持ったオークが待ち構えていた。メリアを視界にとらえたのか、オークは突然、メリアに向かって走り出す。もちろん、剣は構えた状態でであった。
ネオは、周辺に他の魔物がいないか確認する。メリアは、ショートソードを構えて迎え撃つ姿勢である。それを見たオークは、一気に攻め掛からんと剣を頭から振り下ろした。
メリアは、振り下ろされた剣を右に避け、オークが勢い余ってメリアに背中を向けたところで袈裟懸けにした。
『あっけない・・・』
何やらメリアが呟いている。幸い、周囲はネオが警戒しているせいか、他の魔物は現れず、オークは魔石を残して消えていった。
ダンジョンを戻りつつ、左壁に沿って移動していくと、しばらくして、先ほどと同様、行き止まりのところに剣を持ったオークがいたので、同様にメリアが倒してしまった。こうなると、戦闘というより、作業といった方がいいかもしれない・・・。
再び、左壁に沿って移動していくと、前方にゴブリンが数匹いる。メリアに任せていいのだが、あまりに暇だったネオは、
『ホーリーウインド』
を放ち、ゴブリンを瞬殺してしまった。魔石を回収しようと近づいたメリアが
『死体があります』
といって、床にある布に巻かれたものを指さした。
ネオも近寄って、巻かれていた布を外してみると、メリアの言う通り、冒険者らしきものの死体であった。
『2Fで見たのと同じだにゃ』
『はい』
死体は、腐乱することなく、まるでさっき死んだように横たわっていた。不思議なことに、外傷らしきものはない。
『2Fの死体もそうだったが、外傷がないにゃ』
『もしかしたら、悪酒?』
メリアが何か言っているが、死体を持ち帰るわけにもいかないので、冒険者カードのみ回収する。その時、背中をちょっと見たネオは、
『これは・・・』
なんと、背中の防具には刃物で切られたような破断面があったのである。にも拘わらず、死体には傷一つない。理由は解らないが、死後、外傷は修復されていたとしか思えなかった。
これ以上は、確認のしようもないので、回収した冒険者カードをアイテムボックスに仕舞ったのち、左壁に沿って移動していく・・・。
『ダンジョンは謎が多いにゃあ~』
『どうして、外傷が修復されるのでしょう・・・』
ネオとメリアは冒険者の死体の謎が理解できないでいた。
・・・
その後、行き止まりの先に剣を持ったオークを見つけ、メリアの一撃で仕留めた後、更に左壁に沿って移動していく・・・。2Fから降りてきたときに見えた長い直線が終わった後から、コボルトが数匹単位で現れ始めた。ネオとメリアを見ると、襲い掛かってくる。
『面倒だにゃ』
ネオはそういいながら
『ホーリーウインド』
で全て瞬殺していった。メリアは魔石の回収をしながら、先に進んでいく。すると、広いホールのようなところに出た。
(またかにゃ・・・)
そこには、冒険者としか思えない死体が床にあった。
『手に何か持ってます』
メリアが死体の手の部分を指し示す。よく見ると、本のようなものを持っていた。
ネオが本に触れると、ネオの体に何かが流れ込んでくような感覚が走った。
(何だこりゃ)
本を開いてみると、何かびっしり書いてあるが、ネオには読むことが出来なかった。
(前もどこかであったようにゃ・・・)
それでも、何か読める部分がないか、ページを全部めくってみたが、何もわかる部分はなかった。最後のページを見たのち本を閉じると・・・。
(にゃ!何か魔法を習得しているにゃ)
だが、何の魔法なのかよくわからない。
(ホーリートランス・・・なんだこの魔法は・・・どこに使うのかさっぱりわからんにゃ)
しばらく、身動きしないネオを心配したメリアが
『大丈夫ですか?』
といってきたので、ネオは我に返った。
『大丈夫にゃ。何か魔法を習得したようにゃのだが、どこで、何に使うのか解らないのにゃ』
『・・・はあ?』
メリアはネオの説明が理解できず、生返事をしていた。
『それよりも、この部屋の隅で、こんなものを見つけました』
そう言ってメリアが見せたのは、タグ(札)のついた鍵であった。タグには
“4F入り口への鍵”とある。
『おお。よく見つけたにゃ』
(これで、あと1匹オークを倒せば3Fもクリアのはずにゃ)
ネオとメリアは、冒険者の死体から冒険者カードを回収すると、この死体にも外傷がないことを確認し、再び左壁に沿って移動していった。
・・・
角を曲がるたびに現れる、ゴブリンやコボルトを倒しながら進んでいくと、前方に、剣を構えたオークがいるのを発見した。オークの背後には扉があることから、4Fへの入り口だと思われた。
『多分、あれが5匹目のオークだにゃ』
『だと思います』
ネオの言葉にメリアは答えると、ショートソードを抜いてオークに向かっていった。
少しは強いのかと思ったが、オークは持っていた剣を使うことなく、メリアによって胴体を2つに分割されていた。
(あっけないにゃ)
そうネオが思っている間に、オークは魔石を残して消えてしまった。
『はい。魔石です』
そう言ってメリアから魔石を受け取り、アイテムボックスに仕舞う。代わりに、さっきメリアが見つけた鍵を渡し、
『メリアがやってみるといいにゃ』
とネオはいった。メリアは頷いた後、扉の鍵穴に鍵を差し込んだ途端、
『やっぱりにゃ』
扉と鍵は消滅してしまった。
『2Fと同じですね』
『だにゃ』
消失した扉の先には4Fに降りる階段があった。だが、よく見ると、その手前に何やら立派な剣ある。それは、2Fでエリマキトカゲ剣士と共に消失したはずの、トカゲ剣1~3であった。どうやら、3Fまでクリアした時点でくれるということらしい・・・。
ショートソードよりは良さそうだったので、3つともいただくことにした。
『3つともメリアのものだからにゃ。収納場所がにゃいから預かっておくにゃ』
『では1本ください』
そういうとメリアは、今まで使っていたショートソードを背中に回し、トカゲ剣1を装備した。
次回は11/23の予定です。




