第38話 アミアダンジョン1F
ダンジョンに入ります。
『ここだにゃ』
エルバートに教えてもらったダンジョンの入り口は、そこにあると思ってないと、到底たどり着けないところにあった。緩い斜面に、少し出っ張った岩、穴は下向きに空いていて周囲には草が生い茂っている。一見すると、岩ですら草で確認できないほどだ。
中に入ると、意外と広い平坦な道が続く。しばらくすると、天井と床、左右の壁が鏡面仕上げでもしたかのような磨き上げられた壁に変わった。
『ダンジョンらしいのにゃ』
今回も右手を軽く壁に触れながら進んでいく。
『あの、何で右手を壁に着けているんですか?』
メリアはネオの行動が不思議に見えたらしい。
『ダンジョンを回る方法の手段だにゃ』
『誰かに教えてもらったのですか?』
『いや・・・ないにゃ』
メリアにそう答えながら、ネオは何故か納得できない何かを感じていた。
(ひょっとして、新人の神様が何か俺に・・・)
考えても解らないので、ここで思考を断ち切って、ダンジョンに集中する。エルバートの情報だと、この階はゴブリンしかいないはずいではあるが・・・。
左に道が曲がったところで、前からゴブリンが3匹現れた。ふと気配を感じて後ろを振り向くと、いつの間にか後ろにもゴブリンが5匹いる。前と後ろ、それぞれ、1匹づつ剣を持っているやつがいる、どうやら、それぞれのリーダーらしい。
『メリア、前を頼むにゃ』
ネオはそういうと、後ろにいたゴブリンに
『ホーリーウインド』
を発した。三日月のような風の刃が広がりながら飛んでいく。5匹のゴブリンには過剰だったようで、5匹とも瞬殺であった。
『そっちはどうかにゃ』
ネオがメリアの方を振り向いたときは、既に3匹のゴブリンは3つの魔石になっていた。
『ここのダンジョンも、魔石しか残らないみたいだにゃ』
といいながら魔石を回収していく。
『いえ、ゴブリンが持っていた剣がそのまま消えません』
メリアがそう言いながら、ゴブリンが持っていた剣を指さした。
よく見ると、ネオが倒したゴブリンも剣が落ちている。歯がボロボロで使い物になりそうにない、いわゆる“なまくら”なので、回収もしないで放置することにした。
『貰っても役に立たないにゃ』
『ですね』
鉄くずとしてなら買い手もあるかもしれないが・・・やめておくことにした。
・・・
以来、時々現れるゴブリンをメリアがショートソードで倒したり、ネオが魔法で倒したりしながらひたすら進んでいくと、正面に扉が見えてきた。鍵が掛かっているのか、扉は空かない・・・。
『ここに鍵をさすのではないですか?』
メリアが扉に着いた、鍵穴のような穴を見つける。
『そうみたいだにゃ』
『鍵を探しましょう』
エルバートから聞いていたとおり、鍵を得る必要があるらしい。扉は一旦あきらめて、左側にダンジョンが続いていたので、すすんで行くと、
広い空間が見えてきた、その一番奥に、下に続く階段がある
『どうやらあれが2Fに行く階段みたいですね』
メリアも気が付いている。が、広い空間に入るところで、何かにぶつかった。
『痛いにゃ。見えない壁がある見たいにゃ』
『ホーリーボール』
『ホーリーアロー』
『ホーリーアース』
『ホーリーウインド』
立て続けに魔法を放ってみるが、結界は傷一つつかなかった。
『私がやってみます』
メリアはそういうと、ショートソードで切りかかったが、結界に傷をつけることも出来なかった。
『一旦戻ろうにゃ』
そういうと、ダンジョンを戻り始めた、すると、開かなかった扉の近くに、もう1つ扉があることに気が付いた。こちらも鍵が掛かっているようで開かなかったが、扉の先から何やら変な匂いがすることに気が付いた。
『酒の匂いだにゃ』
ネオもメリアも酒は飲まないが、宿などで、他の客が酒を飲んでいるのを幾度となく見ている。結果、酒の匂いは理解していたのだった。
『この先に酒があるのにゃ』
『鍵を探しましょう』
メリアにそう言われ、右手を壁伝いに進んで行くと、ゴブリンの集団が現れた。10匹ほどいて、9匹は剣を持っている。そして、真ん中に何故かローブを着たゴブリンがいた。
『ゴブリンシャーマンかにゃ?』
『だと思います』
近づいていくと、9匹のゴブリンが一斉に襲ってきた。更に、ローブを着たゴブリンから、ファイアーボールが飛んできた。
『ここは私が倒します』
メリアはそういうと、ファイアーボールを避けながら、ゴブリンをショートソードで倒していく。レベル11だけあって、全く問題なく2分としないうちに10匹は魔石になった。
(レベル1だったら厳しいだろうにゃ)
メリアが魔石を回収している姿を見て思うのだった。
・・・
その後、ダンション1Fを回っていったところ、同じようなゴブリンの集団があと2か所あり、いずれも、メリアによって討伐された。
『たしか、1階はゴブリン3体って言ってたにゃ』
『確かに言ってました』
『エルバートの話が正しければ、3体といっていてのは、ゴブリンシャーマンのことかもにゃ』
『階段のところに戻りましょう』
結界(?)に阻まれて、先ほど入れなかった広場、その先の2Fへの階段に向かって、戻っていくと、先ほどまでと違い、ゴブリンが全く出てこなくなった。
・・・
先ほど結果(?)に阻まれていた広場は、何事もなかったように入ることが出来た。
『やはり、ゴブリンシャーマン3体だったんですね』
『そうみたいだにゃ』
その時、背中に気配を感じたネオは振り返ると、さっき、どうやっても開かなかった扉が開いていて、小太りの男がこちらを見ている。
『ホーリーアロー』
次の瞬間、ネオは小太りの男に向かってホーリーアローを放ったが、男は部屋の中に隠れ、扉を閉めてしまった。一様、扉が開かないか試してみたが、外側(ダンジョン側)からは、鍵が無いと開かないらしい・・・。
『逃げられたにゃ』
恐らく、さっきの男が、”ダイキチロウ”だろう。仕留められなかったことを悔しがるネオであった。
『ダンジョンをクリアして鍵を確保しましょう』
メリアにそう言われ、背後を警戒しながらネオとメリアは2Fへと階段を降りていった。
次回は朝までにもう1話予定しています。




