第28話 再びロディア
ロディアに戻ってきました。
イヒニアの森に入る前、草原にいた角ウサギを仕留め、メリアに解体処理をしてもらっていた。
『これをどうされるので・・・』
特に食料に困っているわけでもないので、訳ありだと思ったようである。
『ロディアで世話になった人がおるのにゃ』
『その人へ・・・ですか』
『そうにゃ』
『聞いた話によると、ドワーフの方はこの肉が大好きらしいです。なんでも、お酒によくあうのだとか・・・』
『それは良かった。会うのはドワーフなのにゃ』
・・・
街壁の門番に冒険者カードを見せると、そのまま中に入った。特に変わった様子はない。
『なにも言われませんでしたね』
『そうにゃった』
どうやらネオはダレン伯爵のことをすっかり忘れていたらしい。
(危なかったにゃ。もっと慎重にしないとにゃ)
『宿に行く前に寄りたいところがあるのにゃ』
・・・
『またきたのにゃ!!』
そういいながらネオが1軒の店に入っていく。メリアも後に続いた。
店の奥から身長120㎝くらいの少女のような女性が出てきた。ドワーフのミラである。
『おお!!ネオじゃないか。無事だったんだね』
『無事にだったのにゃ』
ミラはネオの後ろにいる少女に気づくと
『連れがいるのかい?』
とメリアの方を向いて話しかけた。
『メリアと申します』
ミラに店の奥に案内され、店の客用に用意された椅子に座らされるネオとメリア。そこに、コップを持ったミラが現れた。
『さっき届いた牛乳だよ。一杯お飲み』
ミラが差し出すコップを2人は受け取り、一気に飲み干す。葡萄など、果物があまり得意でないネオにとってはありがたかった。
『おいしいにゃ』
『村の家畜が元気だったころ以来です・・・』
メリアがなつかしさのあまりつぶやいたところ・・・
『ひょっとしてラオカ村の生き残りかい!!』
ミラが驚いたようにいう
『はい。でもどうして・・・』
メリアは困惑しながらミラを見ると、
『あんたらが、たまに角ウサギをロディアに売りに来ていただろ。うちらはあの肉が大好きなのさ。だが、最近さっぱり来ないからちょっと聞いたら、村ごとなくなったっていうから、気になってたんだよ。他に角ウサギの肉が手に入る方法もないし・・・』
どうやら角ウサギの肉がほしかったらしい・・。
『角ウサギなら、冒険者に依頼して狩りをさせればよいのにゃ・・・』
『無理です』
『無理だよ』
ネオの発言は、メリアとミラに否定されてしまった。
『にゃんで?』
『角ウサギは、冒険者の能力ではとらえられないです。矢も避けますし・・・村で仕掛けた罠にかかった分しか手に入らないのです』
どうやら、レベル1では角ウサギを矢で狙っても仕留めることが出来ないらしい。
『ネオさんが普通じゃないのです』
ダレンに行く途中でネオが角ウサギを簡単に捕まえてしまったのは、かなり異常なレベルだったらしい・・・。
(にゃるほど。それであの時、あんなに驚いていたのにゃ)
今更にして納得するネオであった。
『ちょうど・・・そのいいので・・・にゃ』
ネオは昔貰った袋から出すふりをして、アイテムボックスから角ウサギを取り出した。
『これはお土産なのにゃ』
ミラに先ほどメリアが解体処理した角ウサギを渡す。
『角ウサギ・・・じゃないか。どうやって?』
ミラは驚いてネオを見た。そういいながらも、大事そうに角ウサギ肉を店の奥に持っていった。
・・・
『・・・ということがあったのにゃ』
ネオはミラに今までの出来事を話した。シメ山の秘密については、ダンジョンができたことしか話していないが・・・。
『3人が来ないのはそのせいだったんだね・・・』
ミラはオスター、シルバット、ロイドが来なくなった理由を知らなかったらしい・・・。
『ひどい話だね。あの村との取引は辞めるわ』
どうやら、ミラは近隣の村との取引もしているらしい。
『今日は挨拶に来てくれたのかい?』
『にゃ、メリアに新しい防具を用意してほしいにゃ』
そういいながらネオはメリアの方を向く。ダレンで買ったメリアの防具はかなり傷んでいたので、買い替える必要があった。
『えっ?!』
『ほほう~』
驚くメリアと、何やら意味ありげな反応のミラである。
『ちなみに予算はどれくらいなのかい?』
『金貨10枚にゃ!!』
その声に驚くメリア。
『ちょっと待ってな・・・』
・・・
『この子は魔法耐性がないみたいだから、簡単な魔法耐性を持たせたのがよいと思うよ』
そう言って持ってきたのは、見た目はネオが持っている防具にそっくりながら、魔法よけとでもいうのか、魔力をはじく加工のされた革製の防具であった。ネオがその防具に魔力を通そうとすると、抵抗を感じたので効果があるのは間違いない。
『ただ、そんなに大した効果は無いからね。いくらかダメージが弱まるくらいだよ』
そういうと、有無を言わさずミラはメリアに試着させる。試着したミラは
『動きやすいです。でも、こんないいものをいただいてしまって・・・』
『構わないのにゃ』
その後、ミラがメリアを連れて奥に行く
『ネオはちょっとそこでまってな!!』
『はいにゃ』
ミラに凄まれ、思わず返事をしてしまったネオであった。
しばらくして、大きな袋を抱えたメリアと共にミラが戻ってきた。
『ま、ネオも男みたいだから仕方ないわな』
『はい。ありがとうございます』
ミラとメリアが意味深な会話をしている。
(何の話か解らんにゃけど、なんとく聞かない方がよい気がするのにゃ)
・・・
結局、荷物はネオのアイテムボックスに収納して、“女神亭”に向かった。他の宿を知らなかったからである。
『“冒険者の宿 女神亭”ですか・・・』
メリアは入り口の看板を読んでいた。
『ここしか知らないのにゃ』
ネオはそういって中に入る。
『いらっしゃい』
そこには見覚えのある、背は高いがいかにも軟弱という感じの中年男がいた。
『2人にゃ。部屋は別々にゃ』
ネオは銀貨6枚を払うと、部屋の鍵を受け取った。
・・・
部屋に入ってしばらくすると、部屋の入り口を叩く音がした
『メリアです』
ネオは慌てて、入り口を開け、メリアを中に入れる。
『荷物かにゃ?』
『はい』
アイテムボックスからメリアの荷物を取り出すし、その場で渡そうとすると、
『ミラさんに、ネオさんと一緒に旅をするなら、その覚悟がいると言われました』
『にゃ?』
何かとても言いにくそうにしているメリアが、意を決したように、
『一生ついていきます!!捨てないください』
メリアの表情は必至であった。
(ミラが変なことをいったにゃ・・・)
ネオから見ればメリアはまだ子供であった。それに、この世界では人外の身体能力(レベル11)である。10歳の女の子が一人で生きていけるほど、この世界は甘くはないと思っている。メリアが大人になるまでは、面倒を見るつもりであった。
『心配しなくてもいいにゃ』
そういうと、2人で1階の食堂に向かった。
ダレンでの出来事は、ロディアの住民にはほとんど知られていないです。馬車で2日の距離なので、いずれ伝わるのでしょうが・・・。
次回は2時間以内にちょっと追投稿の予定です。




