第26話 脱出
東門を出ていった後、ダンジョン(シメ山)に来たネオは、メリアを連れ、ダンジョンを見張っていた冒険者に見つからないように、草原を抜けた後、業務用エレベータに乗り込んだ。
『こんなものがあったんですね』
メリアはただ、驚くばかり・・・。
ネオは、熊本いたころのある記憶がよみがえっていた。
(確か波高がなにかブツブツ言っていたにゃ・・・)
それは、波高が機体掃除をしているのを見つけ、また“あじの干物”を貰えないかと近づいたときのことだった。
『討伐基地の食事は旨かったなあ・・・』
波高が呟いていた言葉ある。
(ひょっとして、この施設にも何か飯があるかもにゃ)
・・・
業務用エレベータを降りた後、ネオ
周囲を探した。すると、
“食堂入り口”
と書かれた扉を発見したのであった。
『あったにゃ!!』
そういうと、メリアを引っ張って中に入る。
入った途端、天井の照明が入った。
『なんですかこれ?』
メリアが驚いて声をあげる。
『ここは食堂だにゃ』
『しょくどう・・・食事が出来るということですか?』
『たぶんにゃ』
目の前のテーブルには、今日のメニューと書かれたサンプル映像が出ている。
ネオが触ろうとしてもすり抜けてしまう・・・。
『にゃんだ?』
よく見ると、反対側に受け取り口と書かれた窓口のようなところがあり、
ボタンが1つあった。その脇には
”人数分だけ押して受け取り口でお待ちください”
と書かれていた。
ネオはボタンを2回押したところ、奥で何かが動き出す音が聞こえた。
???
受け取り口と書かれたところには
“完成まであと3分”
という謎の表示がされている。
3分後、出てきたのは、何かの肉の炒め物と味噌汁、白米を炊いたもの(ごはん)であった。ご丁寧に箸、フォーク、スプーンが付いている。
『にゃんと!!』
『食事!!』
まさか本当に出てくるとネオも思っていなかったらしい。メリアは唖然としている。どうやら理解の範疇を超えてしまったらしい・・・。
『まっ 食べてみようにゃ』
そういうと、たくさんあるテーブルの1つ出てきた食事を持っていき、席についた。
・・・
さらにいろいろ調べた結果、
“仮眠所”
なる施設を見つけた。中に入ると、ベットとシャワーがある部屋が5部屋あった。
『今日はここに泊まることにするにゃ』
『はい』
・・・
ネオとメリアは、エレベータに乗り、ダンジョンコントロール室に移動していた。
先日、バルバス達を監視していたモニタの前に行くと、モニタは新たな試験者の存在を表示していた。どうやら、伯爵の兵らしい。ここに潜んでいるとみて、捜索しているらしいが・・・。1階のゴブリンにやられて、次々に消えていく。
試験者No.1:オールクリア
試験者No.2:条件不適格
試験者No.3:条件不適格
試験者No.4:条件不適格
試験者No.5:条件不適格
試験者No.6:条件不適格
試験者No.7:1階死亡判定排除
試験者No.8:1階死亡判定排除
試験者No.9:1階死亡判定排除
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どうやらゴブリンを倒しきれず、力尽きてダンジョンの外に出されているらしい。
業務用エレベータに気が付いている様子はない。
『でだにゃ。今後どうするかだにゃ』
『はい』
『ここは、南西管制所という施設らしにゃ。その中に南西訓練施設というダンジョンがあるらしいにゃ』
『なんせいかんせいじょ?』
メリアは理解不能という感じである。
『元いた世界には飛行機という乗り物があったにゃ。おそらくそのための施設にゃ』
『ひこうき?』
『新人の神様は、ダンジョンを動かしてほしいと言っていたはずにゃ』
『では目的は達成・・・』
『されていないと思うにゃ』
『えっ?』
ネオの予想外の発言に驚くメリア。既に、“前の世界”だの、“新人の神様”だの言われても驚かなくなっていたのだが・・・。
『この大陸に、おそらく4ヶ所以上、似たような施設あるのではないかにゃと思うのにゃ』
『ということは・・・』
『残りも見つけて稼働させないといけないと思うのにゃ』
『それに・・・』
口ごもったネオに顔を近づけるメリア。その目は不安と好奇心が入り混じっていた。
『ここには滑走路がないにゃ!!』
ネオ確信していた。
(管制施設があるのだから、飛行機はあったはず・・・ならば、滑走路がどこかにあったはず・・・)
管制塔には滑走路があると信じているネオであった。
・・・
『ネオさんは、ここと同じようものが4ヶ所以上あると考えておられるのですね』
『そうにゃ』
『ということは・・・・』
何気なく部屋の中を見渡すメリア・・・
『あっ!!』
『どうしたにゃ』
メリアがある方向の壁を示す。
『地図があります』
『にゃんと!もしや・・・』
2人で地図に近寄ってみると、この大陸の地図があった。そして、地図には南西管制所を含む4つの管制所が記載され、その担当空域が示されていた。
『4ヶ所あるみたいですね』
『そうみたいにゃ』
『見たこともない文字です』
メリアが文字を見て不思議そうにしている。ネオは、地図に書いてある地名を適当に読んでいった。
『地名は知らないものがほとんどです。見たこともない街があることに・・・』
そういいながらメリアが首をひねる。彼女もそんなに高等教育を受けたわけではないので、詳しくはないのであるが、この地図にはバルディカ帝国すら載っていない・・・。
『古代文明があったころの地図にゃ』
『こだいぶんめい?』
『新人の神様が言っていたことが本当ならにゃ・・・』
ネオは大陸の四隅にある管制所の表示を眺めていた。
『残り3ヶ所にもいく必要があるにゃ』
『ここから一番近いのは北西管制所かにゃ?』
ネオは北西管制所の場所を指さす。
『ネオさん。北西にあるバルディカ帝国は、国力が強く、大陸の統一を目標にしている国家です』
『にゃ?』
『もし、バルディカ帝国が、私のような訓練に成功したら、この大陸を統一するために軍を動かすでしょう』
『それは困るにゃ』
新人の神様が言っていたことを考えれば、強い魔物に文明が対抗する必要があるとしか思えない・・・つまり、人同士で争っている場合ではないないはずなのだ。
『北西管制所は辞めた方がよいと思うのかにゃ?』
『はい。少なくとも、最後にした方がよいかと・・・』
南西管制所にある、南西訓練所はロディア国の人ではクリアできそうにない。その状態で、大陸で一番強国である(らしい)バルディカ帝国内の施設を先に再開させた場合、訓練を終えた兵士が大陸統一を掲げて他国を侵略する可能性は高い。
『北西は後回しにゃ』
『それと、ここに連れてきてくれたワイバーンさんを訪ねて、他の管制所を再開するというのは・・・』
『あいつは、新人の神様のことも知っているみたいなのにゃ。もう1度会って、相談するのもよいかもにゃ』
『お供します。どこまでも・・・』
メリア右手に作った拳を強く握りしめていた・・・。
・・・
仮眠室で休んだ、翌朝、ダンジョンコントロール室にもう1度来ていた。
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試験者No.117:1階死亡判定排除
試験者No.118:1階死亡判定排除
試験者No.119:1階死亡判定排除
試験者No.120:1F 2/150
試験者No.121:1F 1/150
どうやら、交代で挑んでいたらしい。伯爵の兵士は100名くらいのはずだから、本当に死んでしまう訳ではないようである。
食堂でもう1度食事を食べた(何故か、朝食メニューになっていた)後、業務用エレベータで地上に降りる。たぶん見つかっていないと思うが、出てきたところを見つかると面倒である。出来れば、このエレベータのことは隠しておきたい・・・。この世界の人に、キーロックが理解できるとは思えない。だが、力任せに破壊される可能性は否定できなかったからだ。
『最悪、見つかったら倒していくことになるにゃ』
『はい』
覚悟を決めて出てみたが・・・。そこには誰もいなかった。出来るだけ早く扉から離れる。慎重に周囲を見渡しながら、街道に出る。どうやら、見張りの兵や冒険者はいないらしい。皆ダンジョンの入り口にいるのかもしれない・・・。
『まずはワイバーンを探そうにゃ』
ワイバーンは、“ローラシシア山脈の南の端に家(巣)がある”といっていたことから、まずは、ロディア国の東にあるローラシシア山脈の南の端を目指すのだった。
次回は1時の予定です。




