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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第2章 ダレン編
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第23話 報告書

『昨日ちゃんと食べれなかったから、今日こそは・・・』

そんなことを言いながら、宿が用意してくれたサンドイッチ(朝食)を食べ始める。もっともサンドイッチといっても、パンに無理やりナイフで切れ目を入れて野菜と肉を詰めたものである。


『なんか嫌な予感がしたから、持っていけるものにしたんだけれど・・・』

足元で、不穏なことを言っているのは、ギルドの受付嬢の妹でもあるこの宿の娘であるコレットちゃんである。


『ありがとう。そうならないことを願って・・・』

メリアが言っている途中で、宿の扉が豪快に開いた。


なんと、その犯人はカルロス(ギルドマスター)であった。

『すぐにギルドに来てくれ。調査隊が昼にも着くらしい』

((ええ~))

メリアと声が揃った・・・。


・・・


そんな会話をしている隙に、コレットちゃんが、素早くサンドイッチを紙に包んで渡してくれた。おかげて、移動中の馬車の中で食べることが出来ている。


『なんでそんなに早く着くんですかにゃ』

サンドイッチを食べながら聞くと、

『兵たちで陣を作って野営したらしい。草原のど真ん中で仮眠したそうだ。』

『途中のキャンプ地まで迎えに行った連中が慌てて連絡してきたんだ。なんで、今日の昼までには、報告を完成させる必要があるって訳だ』

カルロス(ギルドマスター)はそういってがっくりと肩を落とした。


・・・


ギルドに着くと、職員が既に待機していた。眼に隈が出来ている。さては徹夜だったか・・・。早速2階の応接室に連れていかれた。


『ダンジョンはどうだったか教えてくれ。ここにいる連中は、ギルドの中でも信用できる連中だ。問題ない』

カルロスはそういうと、椅子に座った。


『・・・という感じです』

要約すると

・1Fがゴブリン、2Fはスライムとコボルト、3Fはゴブリンとコボルトだった。

・3Fにダンジョンのボスがいて、ゴブリン、スライム、コボルトが横一列に並んでいる状態からの戦闘になる。

・このダンジョンは魔物を倒しても魔石が出ない

といったところである。初回特典関係は面倒なので、全て省略した。


『ということは、ダンジョンレベルアップはメリアがショートソードで達成したというのか?』

カルロスが驚いている。メリアはダレンで冒険者登録しているから、ほぼ、戦闘経験なないことも、スキルを持っていないこともギルドは知っていたからだ。ただの10歳の女の子なのである。


『譲ちゃん。カードを見せてくれ』

カルロスの要求にメリアがカードを渡す。すぐ後ろにいた職員が、カードの内容をチェックし始める。


『信じられない・・・』

カードをチェックしていた職員が、呆然としている。しびれを切らしたカルロスが覗き込むと

『有り得ない・・・なんでレベルが6になっているんだよ!!』

カルロスが叫んでいた。


『1Fでは、150匹ものゴブリンと戦闘をしたからにゃ~』

『何、どうしてそんなに体力があったんだ』

カルロスの疑問に納得してしまった。

(確かにおかしい・・・)

3時間以上、探索と戦闘の繰り返し・・・いや戦闘の繰り返しだった。普通の10歳の女の子が出来ることじゃない。大人でもきついはずだ。


『これはとんでもないダンジョンかもしれないな』

カルロスが呟いた。

もしかしたら、疲労しにくくする何かがされているのかもしれない。たった1日でレベル1がレベル6になってしまったなんだから・・・。


『ちょっと譲ちゃん、軽くジャンプしてくれ』

カルロスのリクエストにメリアがジャンプした途端、

『キャー』

なんとジャンプしたメリア本人があまりの高さに驚いて悲鳴を上げたのだった。

たまたま、屋根裏まで吹き抜けになっていたため、天井に衝突する事態は避けれたが・・・。


結局、どう報告するかは、カルロスと伯爵に任せることになった。


・・・


『質問に答えてもらうため、ネオとメリアは同席してもらうことになったそうです』

カルロスからの伝言を受けたギルド職員が伝えてきた。

(予想通りだにゃ)

直ちに伯爵の館に来るようにとの連絡であった。

ギルドで待機していた(させられていた)ので、すぐに馬車に乗せられ、伯爵の館に到着した。


・・・


馬車が伯爵の館前に泊まると、執事らしきものが待機していた。燕尾服を着た初老の男性である。

『お待ちしておりました。ダレン伯爵がお待ちです』

そういうと、俺とメリアを先導するように歩き始めた。

案内された部屋には、テーブルの右側にカルロスと見覚えのあるギルドの女性職員が座っていた。左側にはいかにも文官という感じの30歳くらいに見える男が座っている。そして、正面には、ひげをピンと横に伸ばした、老人・・・ダレン伯爵と思われる老人が座っていた。

『よく来た。座ってくれ』

何故か、俺とメリアの席が、伯爵と対面になるように用意されていた。


『話はカルロス(ギルドマスター)から大体聞いた。改めて聞く、本当に1日でレベル6まで上がったのか?』

伯爵は体面を保つためであろう平静を装っていたが、言葉からは動揺が隠せていない。

『間違いないのにゃ』

『間違いないです』

俺とメリアがそれぞれ答える。


『信じられん・・・悪いが模擬戦を兵士としてほしい』

文官が口を開いた。


『これ、クラウス』

伯爵が文官を止めた。この文官はクラウスというらしい・・・。


『メリア。出来るかにゃ?』

『はい。たぶん。でも力加減が解らないです』

メリアの返事を聞いてから、

『とういう条件でも良ければOKだにゃ』

ネオ以外の全員が驚いてネオを見た。


『ま、何かあったら俺が何とかするにゃ』


・・・


伯爵の館にある兵士の訓練所に連れてこられた。伯爵、カルロス、ギルドの女性職員とクラウスと名乗った文官までもついてきている。訓練所には一人の男が立っていた。


『拙者はゴエモンと申す。ここで兵士の剣を指導しておる』

どうやら、伯爵家お抱えの剣士らしい・・・。この世界には珍しく、黒髪の長髪であった。


『悪いが時間がないので、早速始めてくれ』

伯爵は調査隊の到着が気になるらしい。


メリアは用意された木剣を構えた。ゴエモンも同じ木剣のようだ。


ゴエモンはメリアに襲い掛かる。袈裟懸けしようという感じである。が、メリアは難なく避けて見せた。

『なっ!!』

ゴエモンから声が漏れる。振り返ってもう一度狙うが、メリアにはかすりもしない。

『バカな・・』

ゴエモンから焦りが見える。今度は突きの姿勢で突っ込んできた。メリアが避けると、狙いすませたように剣を振った。驚いたメリアであったが、右に躱すと、持っていた木剣で軽くゴエモンを叩いた。

『ギャー』

ゴエモンの悲鳴が響いた。とりあえず命に別状はなさそうだが、一人にで起き上がれず、兵士に抱えられて消えていった。


『凄すぎる・・・』

伯爵が呟いた。


・・・


元の部屋に戻った後、伯爵が口を開いた

『正直に言うしかなかろう・・・そして、とりあえず兵士を1人。試しにダンジョンに入れてみようと思う』

結局、伯爵の館で待機することになった。


・・・


 昼過ぎに、兵士30名に護衛された豪華な馬車が伯爵の館に到着した。俺とメリアは訓練所で待機しているので、壁の隙間からのぞき見しただけだがにゃ。

『面倒だにゃ』

『こんなに強くなってしまうなんて・・・』

メリアは自分の力が理解しきれていないらしい

(こんな施設があったということはにゃ・・・ダンジョンにいたような魔物が溢れていたのかもしれないにゃ・・・古代文明は、魔物の襲撃に耐えられなかったのかも・・・にゃ)

ネオは異世界に召喚されたときの新人の神様とのやり取りを思い出していた。新人の神様は、明らかに、訓練用施設(ダンジョン)を稼働させようとしていた。ひょっとして、この世界の魔物って・・・。


『メリアはいるか』

伯爵の声がした。俺とメリアが振り向くと、伯爵の隣に、豪華な服を着た20代と思われる男が立っていた。


『はい』

メリアが慌てて返事をした。


『こちらの方と模擬戦をするように』

((ええ~))

その場にいた皆の声が揃った。


『私は、ロディア国近衛軍のバルバス=バサーカという。近衛軍の隊長をしている』

豪華な服を着た男がいきなり名乗った。周囲にいる兵の様子がおかしい・・・

『国一番の強者と言われるバサーカ家の当主・・・』

『剣義の大会3連勝中の強者・・・』

周囲の兵士が、物騒なことをつぶやいている。

(とんでもない大物が来てしまったらしい・・・にゃ)


・・・


勝負はあっけなく終わった。メリアはバルバスの攻撃を躱して、木剣の面の部分で背中を叩いただけで終わった。

『信じられない・・・私が10歳の少女に負けるなんて・・・』

どうやら、伯爵の報告を聞いても信じられず、今に至っているらしい・・。


・・・


『私をダンジョンに連れて行け』

バルバスが騒いている。

(自分で確かめないと気が済まない脳筋らしい・・・にゃ)

結局、明日、バルバスはダンジョンに入ることになった。念のため、兵士が3名同行するらしい。

『俺らはついていかなくてもよいのかにゃ』

宿に戻る途中でカルロスに聞くと、

『それはプライドが許さないのだろう』

(にゃるほど・・・でも、大丈夫かにゃ)

次回は9/4の予定です

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