第20話 ダレンでの初依頼
『あの宿の飯は旨かったにゃ』
ネオはご機嫌だった。冒険者ギルドに行く足取りも軽い。昨日、ネオにとって忘れられない“あじの干物”が出てきたのだ。実は、宿も高級なわけではないので、港で安い魚を仕入れて提供している。なので、地元の住人やこの街を拠点にする冒険者なら“あじの干物”が高級でないことは、誰でも知っていることなのだが・・・。
あまりに感動して喜んでいたら、おまけでもう1枚追加してくれたこともあって・・・。
『あの宿は最高だ!!すばらしい~!!』
とネオの思考は振り切れてしまっている。ネオにとって、“あじの干物”は最高級の食材なのである。
『あれなら、年に何回か食べていたけど・・・』
メリアの村でも、年に数回、ダレンに買い出しに行ったらしい。その時買い付けてきた“あじの干物”を食べていたのだった。なので、メリアにとっては角ウサギの肉の方がはるかにごちそうであった。普通の住人では、角ウサギを捕えるのは非常に困難で、運よく罠に掛かってくれたのを食べるくらいだったのである。あっという間に角ウサギを捕えてしまうネオは既にチートなのだが・・・ネオにその自覚はないのであった。
・・・
冒険者ギルドに入ると、昨日、宿の地図&紹介状を書いてくれた女性がいた。
『昨日はありがとうなのにゃ。あの宿は最高なのにゃ』
いきなり言われた受付の女性は
???
意味が理解できていなかった。朝、ネオを見つけ次第、呼ぶようにカルロスに言われていたことを思い出し、
『ネオ様。ギルマスからお話があるそうです。お時間はありますか?』
『あるにゃ』
”あじの干物”でハイテンションになっていたこともあってご機嫌で応じてしまった。
・・・
2階にある、昨日も入った部屋(多分、応接室)に案内されたネオとメリア。話を聞いてカルロスがやってきた。
『早速来てくれたね。ありがとう。実は大事な話があってだね・・・』
カルロスの説明をネオとメリアは延々と聞くことになった。
・・・
『・・・という訳で、シメ山を調査してほしい』
カルロスが言ったことを要約すると、
・シメ山で竜の存在が確認された
・シメ山は、ダレンのすぐ近くであり、竜がすぐ近所に生息することは脅威である
・何回か冒険者に調査を依頼したが、1人も帰ってこない
・ダレンにはC級以下の冒険者しか所属していないため、太刀打ちできない
ということであった。
『つまり、竜の正体を確認して、シメ山調査をしてくればいいのにゃ?』
『そうだ』
カルロスは頷いた。更に、
『現在、ダレンに所属する冒険者で最も上位は君“ネオ”君なのだよ』
『それは聞いててわかったにゃ。こっちもお願いがあるにゃ』
・・・
『わかったにゃ。その依頼を受けるから、もういいにゃろ』
カルロスに粘られ、仕方なく引き受けることになったネオ。その代わり、昨日、メリアに頼まれた、ラオカ村の人々を村の墓地に埋葬し直す件について、全面協力をする約束をカルロスにさせていた。
『では、ちょっと行ってくるにゃ』
メリアと共に冒険者ギルドを出ていった。
『ネオ様。ありがとうございます。早速話をしていただけるなんて・・・』
メリアはまたまた、涙目になっていた。
『メリア・・・一緒に冒険するんにゃから、普通に話そうにゃ』
『はい・・・ネオ様』
『さまは禁止にゃ!!』
『はい、ネオさん』
『・・・まあいいかにゃ』
そんなことを言いながら、東門から外に出ると、目の前にシメ山が見える。
『あれだにゃ』
『そうですね』
突然、ネオはメリアをお姫様抱っこすると、全速力で走り始めた。
『キャー!!』
メリアの悲鳴が東門周辺に響いた・・・。
次回は9/1予定です




