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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第14章 後日談・・・
189/189

第165話 新型システムと事故

もう1話書いてしまいました。


このお話は、あくまでフィクションです。

『シャールカ様!!』

今日もセバスチャンの叫び声がサマランド王宮に響いた。

この声を避けるようにシャールカがサマランド王宮を出て、司令ゴーレムからの連絡を受け、シャールカの元に派遣された回転翼機(ヘリコプター)に乗り込むシャールカは


(司令ゴーレムからの報告とは珍しいな・・・一体何があったのだろう)


司令ゴーレムから報告したい物があるので、基地まで来てほしいとの連絡を受けていたのだった。


・・・


『基地まで来ていただき、ありがとうございます』

基地に着陸した回転翼機(ヘリコプター)から降りたシャールカを司令ゴーレムが出迎えていた。


『報告したい物があるというので来たが・・・』

シャールカが不審な物を見る目で司令ゴーレムに話掛けると、慌てたように言葉を遮り、


『基地にある開発ユニットを見ていただければわかります』

そう言って、シャールカを基地内部にある開発ユニットにエスコートする司令ゴーレムであった。


・・・


『何だあれは?』

基地の最奥ある開発ユニットには、小型の箱が置かれていた。そして、その箱からは、ケーブルのようなものが数本出ていて、先端には何かセンサーのようなものが付いていた。


『これはSWIRセンサーとそれを使った飛行機の制御ユニットです』

司令ゴーレムはそう言うと胸を反らした。


『私は、開発ユニット自体を知らなかったのだが・・・』

シャールカが虚ろな目で司令ゴーレムを眺める。

『先王様のご命令で、完成するまで誰にも話さないように指示をうけていましたので・・・』

何故か、語尾が尻つぼみの司令ゴーレムであった。


(乗っ取られたにも関わらず、開発ユニットの指示はそのまま継続されていたと・・・)

シャールカは司令ゴーレムが何か隠しているのではないかとしか思えなかった。


『ゴンドア王国のシャールカとして問う。他に先王からの指示で秘匿しているものはあるか?』

シャールカは滅多に使わない、ゴンドア王国の継承者として、司令ゴーレムに問いただした。


『他にはございません』

司令ゴーレムは、シャールカの反応を予想していたのか、淡々と答えた。


(まあ・・・そういうことにしておこう)

シャールカはとりあえず、これ以上の追求を諦めた。


『で、この制御ユニットは何が出来るのだ』

シャールカの言葉にほっとしたのか、司令ゴーレムは肩の力を抜くような動作をした後、


『BE36の機体にこれを組みこむことで、悪天候・・・視程0mでも離発着できるようになります』

司令ゴーレムの言葉に首を捻るシャールカ

(視程0mでも着陸出来るだと?あり得ない・・・・)


『このエス、ダブリュ、アイ、アールセンサーによって、雲の姿を取り除いた画像を得ることが出来、その映像から、この制御ユニットが自動で飛行機を着陸させることが出来ます。無論、離陸も可能です』

『それが本当なら、パイロットゴーレムはお役御免だな』

司令ゴーレムの説明に思わず返したシャールカに


『いいえ。この制御ユニットは空港の5マイル圏内に入らないと動作しません。つまり、空港周辺しか使えないのです』

『それは何故?』

司令ゴーレムの説明に質問するシャールカ


『はい。各空港の地形情報を制御ユニットに記憶させて、映像と照合しているので、上空では使えないのです』

どうやら、離着陸専用の支援装置であるらしい。


『で、わざわざ私をここに呼んだのは・・・』

言い掛けたシャールカの言葉を司令ゴーレムは遮るように


『どうか、このシステムを組み込んだ新型機A350の製造許可を頂けないでしょうか』

司令ゴーレムは深々と頭を下げた。


(ひょっとして、父が仕込んでいたのか?)

司令ゴーレムを見ながらシャールカは思っていた。


・・・


新しい制御ユニットを組み込んだBE36・・・A350の初号機が完成し、試験的に貨物輸送に使うことにした。人を乗せるのはなんとなく不安を感じたシャールカが、貨物輸送に用途を限定したからであった。


・・・


『こんな視界が悪いときに飛んでいる飛行機があるのにゃ』

『そうですねえ・・・滑走路が見えないはずですよね・・・』

A350は、霧で視程がほとんどないような日でも通常どおり離発着をして貨物を運んでいた。ネオをメリアは、不思議そうにその様子(正確には飛行機の出す音のする空)を見ていたのだった。


・・・


A350の運用開始から1ヶ月後・・・

農作業をしていたネオとメリアは、ラオカ空港から聞こえてきた物凄い衝撃音を聞いて、慌てて空港に目を向けると滑走路から火柱が上がっているのが確認出来た。

(事故だにゃ)

ネオは空港に向って走り出した。メリアも慌てて後を追った。2人が滑走路に着いたときは、衝突したのであろう、2機の飛行機が丸焦げになっていたのであった。



・・・


『原因はなんだ!』

滑走路が使えないので、回転翼機(ヘリコプター)に乗ってラオカ空港に着いたシャールカは叫んだ。


シャールカの目の前には、2体の丸焦げになった機体に乗務していたパイロットゴーレムが連れてこられていた。その脇にいたラオカ空港の管制システムを担当していた職員が


『A350が着陸しようとしていた約40秒前に、地上で出発待ちをしていた機体が滑走に侵入しました。そして、そして、A350がその機体の上に重なるようにぶつかったのです』

A350はぶつかった後、そのまま着地したようで、滑走路の少し先にある。

(こんな状況でもパイロットゴーレムは無事なのか)

見た目、損傷もなさそうなパイロットゴーレムを見て、シャールカは首を傾げた。


『すいません。管制システムから、1番目だと言われて、つい滑走路に入ってしまいました』

パイロットゴーレムの1体が呟くようにいった。


(原因は管制の指示を聞き間違いしたことか・・・ん?)

パイロットゴーレムの言葉を聞きながら考え込むシャールカ。


『A350のパイロットは滑走路を見ていなかったのか?』

シャールカは飛行訓練センターで習ったことを思い出していた。


着陸時は、可能な限り直前まで滑走路に障害物がないか確認すること


そう飛行訓練センターでは習った。鳥などが飛んでくる可能性を考えたものである。40秒も前に滑走路に侵入したのであれば、着陸しようとしていたA350から見えたはずである。


シャールカが、もう1体のパイロットゴーレムを睨みつけた。その姿に躯体を僅かに振動させるパイロットゴーレムたち・・・どうやらシャールカに睨まれるのはゴーレムでも怖いらしい。


『あの・・・A350の着陸システムを起動させているので、私はなにもすることがなく・・・』

言い訳を始めたパイロットゴーレムの言葉を遮るように


『ばっかもん!滑走路の状態確認するようにプログラムされているだろうが!!』

怒りを爆発させたシャールカであった。


『それと、管制システムの担当者は、滑走路の状態を監視しているルールであったはずだ!誤侵入が見えた時点でゴーアランドさせることができたはずだ!!』

シャールカは、そう叫んで、管制システムの担当者を睨んだ。


『も・・・申し訳ございません。あまりに単調なので・・・その・・・あまり見てませんでした』

管制システムの担当者の言葉に右手を額にあててのけ反るシャールカ

(飛行訓練センターでの教育内容が守られていない・・・何故だ)


『A350のシステムを起動したあとは、パイロットは何もしないのか?』

シャールカはA350を操縦していたパイロットゴーレムに問いただす。


『はい。A350では、着陸する体制になったところで制御システムを起動させた後は何もしません』

パイロットゴーレムの答えに顔を真っ赤にしたシャールカは

『滑走路の確認は省略するな!!』


・・・


『シャールカにゃ。落ち着くにゃ』

ネオは怒り狂っているシャールカを必死になだめていた。その様子を心配そうに見ているメリア。


『これが落ち着いていられるか!』

シャールカは叫びながらも、冷静になり始めていた。


(A350という制御ユニットを過信した結果、滑走路の状態を見て確認する作業を省略してしまったということか・・・管制システムの担当者と問題を起こしたパイロットゴーレムは罷免・・・いや、それでは解決にならない。罰するのではなく、ちゃんと問いただして対策をしなくては・・・)


『今回問題を起こした管制システムの担当者とパイロットゴーレムには、何故、指示されていた確認を怠ってしまったのか、正直に答えること。そうすれば処罰はしない』


関係者を前に叫んだシャールカは、タブレット端末を取り出すと司令ゴーレムを呼び出し


『今回の事故の原因を調べ、A350の制御ユニットを必要に応じて改修しろ』


と指示を出した。


・・・


 司令ゴーレムの指揮の元、調査の結果、A350制御ユニットには、鳥などが滑走路にいないかを確認する機能があったのだが、滑走路にいる他の飛行機を確認して回避する仕組みが抜けていたことが判明した。A350制御ユニットは改修された後、全ての機体が改修されたユニットに交換された。また、管制システムの担当者の滑走路視認作業は単調過ぎて、注意力が散漫になるため、専用の監視ゴーレムが設置されることになった。飛行訓練センターのマニュアルも改訂され、A350制御ユニットを使用して離発着をする場合でも、パイロットは、滑走路、及び周囲の監視をする義務がある旨が追記された。


このお話は、あくまでフィクションです(重要なので2度書きました)。

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