表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第14章 後日談・・・
187/189

第163.5話 台風が来た

つい書いてしまいました。

台風が沖縄で暴れているようです。沖縄の方は大変でしょうが、頑張ってください。沖縄以外の方も進路に注意しましょう・・。


今回はオスニア国 視点です。

『陛下!!大変でございます』

クラトの王宮にエリザベート(参謀)の声が響いた。


『どうした。シャールカ様でも現れたか?』

アストラル(国王)は、執務室でこの国の東にある港町、トウダの開発をどうするか思案していた。他の大陸との交流がないゴンドアでは、港町から出る船は大陸のどこかに行くだけである。以前は、バルディカ帝国の麦を運ぶなどの需要があったのだが、飛行機が安く、早く運んでしまうので船で運ぶ必要が全くなくなってしまい、貨物船はゴンドア大陸からほぼ壊滅していた。この港では、マグロ―という名の大型魚(魔物ではない)が取れるのだが、これすら、加工食品(干したもの)にされたのちは、コンテナに積み込まれ、ドニアの飛行場から空輸されるようになっていたのである。


『トウダの街から東の海に大きな雲が現れ、雲の下と海面の間は、水が壁のように流れているとの報告が入りました』

トウダの街では東の海上に発見された異常な雲に驚いて、慌てて、ドニア経由でBE36にのり、イパラの空港から馬に乗ってきた使者からの報告だった。


『何だって?!』

(まさか魔物じゃないよな・・・)

アストラル(国王)は、また災害かと嫌な気持ちがよぎった。バルディカ帝国が崩壊、シャールカ様がやらかすゴンドアの遺産を使った施策に振り回されながら、ようやく、落ちつたところだったからである。そして、この世界には異常に発達した積乱雲は発生しない(そう新人の神様が細工した)。ゆえに、結果として誰も見たことが無かったのである。


『使者の話だと、ゆっくりトウダの街に近づいているらしいのです』

エリザベート(参謀)が使者から聞き出した情報を伝えると、


『シャールカ様に使者を送れ。東の海上で異常が発生しているので助けてほしいと言ってこい!』

アストラル(国王)は指示を出すと、


『その必要はない!』

『ないにゃ』

誰もいないはずの執務室の奥から声がした。

その声に驚いてアストラルとエリザベートが振り向くと、そこには、シャールカとネオがにやけながら立っていたのである。


((ええっ~!!!どうやって現れた!!!))

アストラルとエリザベートが心の中で絶叫しているのを無視するようにして、


『本部ユニットに会った転送陣をここに遠隔設置する実験をしていたのにゃ』

『ちょうど私のタブレットにゴンドアの東で異常な雲が発生したとのメッセージが出たからな。調度いいと思って、ネオに実験の許可を出したのだ』

本部ユニットでは、転送陣を任意の場所に設置する装置が見つかり、シャールカがネオを呼び出し、実験しようとしていたところだったのである。


『だからって、オスニア国王宮の執務室でなくでもよいのでは?』

エリザベートが辛うじて反論すると、


『急ぎ確認が必要だろう・・・オスニア国での事件だがら、南東伯(アストラル)に一言いったほうが良いと思っただけだ』

『・・・そういう事にゃ』

シャールカにあっけなく言い返されでしまった。何故かシャールカの隣で、ネオが渋い顔をしていた。


・・・


『・・・何で私たちまでここにいるのですか?』

プリンセスシャールカ号は、オスニア国を東に飛行していた。転送陣を使ってアストラルとエリザベートを含め4人で本部ユニットに戻り、サマランドの空港からプリンセスシャールカ号をネオのアイテムボックスに回収。ドニアの飛行場に転移してネオのアイテムボックスからプリンセスシャールカ号を取り出し、離陸して東の海上を目指しているところである。有無を言わさず連れてこられたアストラルとエリザベートは後部座席でおっかなびっくり外を見ていたのである。


『お前たちの国だ。当然だろう』

操縦しながらシャールカが答える。

((・・・))

アストラルとエリザベートは沈黙するしかなかった。


『見えてきたにゃ』

トウダの街上空を経由してから東に向かったのでドニアからまっすぐ飛行したわけではないのだが、60分としないうちに、見たことがないほど高い雲の山(積乱雲)である。海面付近は滝のように降る雨が海面から雲まで真っ白い壁のように見える。


『あれは、台風だにゃ』

ネオが言った。隣でシャールカも頷いている。そう、2人には、飛行訓練センターでインストールされた飛行機の知識があったからである。何故か、インストールされた知識には、“航空気象”という項目が含まれており、その中で、飛行機が近づいてはいけないものとして、台風の知識があったのである。


『たいふう・・・ですか?』

アストラルは頭に?マークを躍らせながら言った。


『そうにゃ。あれはな、周辺に比べると気圧が低いのにゃ。だから周囲にあるものを巻き込んで暴れるのにゃ』


『台風だと解ったから、一旦、ドニアの飛行場に戻ろう』

シャールカはドニアの飛行場に向け変針させた。


・・・


その後、もう1度様子を見に行ったところ、10km/hくらいでトウダの街に向かって移動していることが判明した。

『念のために聞くが、トウダの街の周辺に大きな街はないよな』

シャールカがアストラルに睨みつけた・・・ように見えた。

(うっ!)

思わず声が出てしまったアストラルに代わって、


『はい、周辺の村たちも出来るだけ西に避難しはじめているようで、街はトウダだけです』

エリザベートが代わりに答えた。


シャールカは、その様子にため息をついた後、

『わかった。私とネオは今からトウダの街に移動する。お前たちはクラトに戻り、避難の支援をしていろ!』

そう言うとシャールカは、マド―に繋がっている街道を走り出した。慌ててネオが後を追う。

『ドニアの飛行場にあるBE36も避難させといてにゃ』

ネオはそう言い残して、シャールカを追ったのである。


・・・


ドニアには管制がない。なので、空港職員も最低限しか配置されていなかった。

『BE36はイパラの空港へ移動せよ。職員は南東管制所に避難するように』

万一ドニアに台風が来た場合に備え、指示を出すアストラルであった。


『私たちもイパラに戻りましょう』

離陸準備が出来た8056(BE36)の前で手招きをするエリザベートであった。


・・・


クラトの王宮に戻ったアストラルは、ゴンドア航空局職員の報告を受けていた。

『南東管制所からの報告によると、台風は、トウダの街付近に上陸。そのまま西北に進み。砂漠の途中で消滅した模様・・・』

ゴンドア航空局職員の報告に

『消えたか・・・』

ほっとするアストラルは

『トウダの街がどうなったか情報はないか』

とゴンドア航空局職員に問いた。


『はい。シャールカ様のダブレットから連絡があり、ネオ様のシールドを街全体に張ったので、街の中では被害が無かったそうです』

ゴンドア航空局職員は淡々と答えた。


『シールドをそんな広範囲に長時間維持できるものなのですか・・・』

エリザベートが呟くように言った。


『恐らくですが、シャールカ様はネオ様に魔力ポージョンを飲ませながら、無理やり維持されていたのではないかと・・・』

ゴンドア航空局職員は自信なさそうに言った。


『どうしてそう思うのかな?』

少し余裕の出ていたアストラルは、ゴンドア航空局職員に言った。


『はい。魔力ポージョンを追加でサマランドに送っておくように指示が出ましたので・・・』

実は、本部ユニットでは、魔力ポージョンを作る装置が見つかり、試験的に飛行訓練センターに運び込まれていたのである。材料が、飛行訓練センターの周辺で手に入るからなのだが・・・。ゴンドア空港職員は、魔力ポージョンの生産について、シャールカがゴンドア航空局職員以外に話していないことを知らなかった・・・いたシャールカから言われたはずなのだが、忘れていたのである。


『魔力ポージョンって、どこかに保管してあるの?』

アストラルは、にやけながら言った。気が付いたのか、慌てて口を押えるゴンドア航空局職員を見ながら、

(これは良いことを聞いた)

アストラルは、台風のことも忘れてにやけていた。

実際の世界にも”シールド”で台風が防げたらいいのに・・・。

JA4169の台風避難が心配な作者なのでした。


ちなみに、シャールカとネオがオスニア国王宮の執務室に現れたとき、ネオは渋い顔をしていたのは、ネオが本部ユニットでシャールカに(オスニア王宮に転移するように)言ったことだったのだのです。ですが、シャールカの考えだったことにされてしまったのので・・・ちょっと拗ねてました。


2023/8/4 台風の移動速度を30km/h⇒10km/hに変更しました。また、台風に向かうプリンセスシャールカ号の飛行時間を30分→60分に変更しました。

(さすがにちょっと無理があったので・・・)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ