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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第14章 後日談・・・
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第162話 大陸横断輸送計画

地上輸送の話がないのも不自然かと思い・・・。

『シャールカ様!』

今日も、サマランドの王宮にセバスチャンの声が響く・・・。


『今日は何だ?!』

恒例行事と化した出来事に、少々飽き気味に答えるシャールカ・・・。


『大陸内の輸送が間に合いません。各空港に輸送待ちの荷物が溢れています』

『解っている!!』

セバスチャンの訴えに思わず声が大きくなるシャールカ。大きな飛行機を計画したような気がしたが・・・ゴンドア大陸の物流は馬車とBE36では捌ききれなくなっていた。


・・・


『・・・という状態なのだ。何とかいい方法はないだろうか・・・』

プリンセスシャールカ号でラオカ空港に移動してきたシャールカは、そのまま、ラオカ村のネオとメリアのところに移動していたのである。


『BE36ほど早くなくてもよいから、大量に運べる方法が欲しいのだ』

ほぼ、一方的に話すシャールカにネオとメリアは困惑していたが、


『BE36を地上に走らせたら?』

メリアが言った。


『どういうこと?』

理解できていないシャールカに対して


『そう言えば、鉄道を熊本空港まで作る話があったにゃ』

ネオが思い出したのであった。

(波高たちが、空港まで鉄道を引くと言っていたのにゃ)


『てつどう・・・それは何だ!』

シャールカが思わず、ネオに詰め寄る。


『鉄道というのはにゃ。大きな馬車を何台か繋いだものを、レールという鉄の柱の上に車輪を乗せて走らせるものにゃ』

ネオは、鉄道を見たことが無かったので、その程度しか知らなかったのである。


『それを作ると、どうして輸送量が増えるのだ?』

シャールカは理解できなかったらしい。大きな馬車であれば、沢山作って走らせればよいと思ったからである。


『BE36のプロペラを回す原理を使って、大きな馬車の車輪を回すのにゃ』

思わず叫ぶように言ったネオの言葉に


『なるほど・・・メリアの言ったBE36を地上に走らす訳か・・・』

シャールカは勝手に納得したらしい。


・・・


シャールカはイパラの空港に移動し、イパラ要塞の地下から建設ユニットに来ていた。


『今日はお一人ですか?』

出迎えたゴーレムに


『そうだ。相談がある』

そう言って鉄道の話を始めたシャールカであった。


『・・・それは無理です』

ゴーレムが申し訳なさそうに答えた。


『何故だ。BE36から翼を除き、後ろに馬車を繋げばよい出ではないか!』

シャールカは、プロペラの推力で移動を考えていたのであった。


『プロペラの推力では、BE36を地上で走らせているくらいしか力が出ません。それでは、大した輸送はできません』

ゴーレムは冷静に答えていた。


・・・


『・・・とゴーレムに言い返されてしまってな』

シャールカは再び、ラオカ村のネオとメリアの所に来ていた。建設ユニットに出向いて話して来た内容を説明したのである。


『・・・そういえば・・・トラックがあればいいのではないかにゃ?』

『とらっく?』

『・・・トラック・・・ありましたね』

ネオが思い出したように言った言葉に、理解出来ないシャールカと、トラックというものを思い出したメリア。


『空港の建設ユニットが使っていた、ターミナルのユニットを運んでいた馬のない馬車ですよ』

サマランド空港建設現場で見た記憶を思い出したメリアに、


『お・・・思い出した。建設ユニットが持っていた、荷物を運ぶ馬なし巨大馬車のことだな!』

ようやく思い出したシャールカであった。


・・・


シャールカは、再び建設ユニットに出向き、トラックの話をすると、


『それは、本部にあるのでは?』

建設ユニットのゴーレムに指摘されて、慌ててタブレットで確認すると、

 トラック 建設用

 トラック 輸送用

というのが出てきた。


『おお、あった』

思わずシャールカが大声を上げる。が、地下の建設ユニットにはシャールカ以外、人間はいないので問題にはならなかった。


『詳しくは本部の司令に聞くのがよいかと思いますが、輸送用のトラックを走らせる道が必要です』

ゴーレムが何やら、通信を行いながら説明を始めた。どうやら、本部と通信できるようになったらしく、司令と情報共有がされたらしい。


『道?』

シャールカには意味が解らなかった。街道は整備済みと思っていたからである。


『シャールカ様。今、本部の司令とトラックについて情報共有を行いました。その結果、今の馬車と比較して約10倍の速度で走ることが出来るトラックは、今の街道を走らせることは出来ません』


馬車の速度は11~13km/h程度である。路面が悪くなれば、8km/hくらいまで遅くなる。トラックは、道さえ問題なければ、120km/h以上で走れるのだから、同じ道を走るのは現実的ではないのであった。


『つまり、専用の道を作る必要があるということか・・・』

思わず頭を抱えたシャールカに、


『確か、サマランドとラオカの間をコンクリート舗装されていたはずです。あれと同じように道を作って、トラック専用にすれば可能だと思われます』

ゴーレムは淡々と述べたのであった。


『さすがに・・・それは・・・』

無理して作ったコンクリート舗装の道は好評であったものの、あまりに建設の負担が大きく、その後は実施されていなかった。また、トラックの専用道に人や馬車が入ってこないように細工をする必要があり、地下にするか、高架にする必要を直感的に理解したシャールカなのであった。

(それに・・そんなものを作ったら・・・)


『今のゴンドアでは無理だ!』

シャールカは計画の断念を決定したのであった。

将来、ゴンドアにも高速道路が出来るかもしれません。ですが、直ぐには無理だとシャールカは判断しました。第二のバルディカを出さないためです。トラックを世に出せば、軍の移動も速やかになってしまいます。航空は全てシャールカが掌握しているので反乱に使われることは皆無ですが、トラックはコントロールで出来ない・・・各地方の軍事力Upを懸念しています。彼女の統治する世界では、地上を移動するものは馬車以上の進化をさせないつもりのようです。


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