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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第14章 後日談・・・
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第161話 大きい飛行機

もう1話書いてしまいました。


=このお話はフィクションです。全て架空のものです。現実の世界とは何も関係ありません=

5か国の首脳がクラトに集まった。持ち回りで行われる首脳会談である。プリンセスシャールカ号でイパラの空港に降り立ったシャールカは、20機はいるだろう、BE36の駐機している姿を見ていた。

(この大きさでは輸送量が限界だな)

BE36で積載できる量には限りがある。かなりの高頻度で飛行しているが、それでも空港には沢山の輸送待ちの荷物があった。


(これでは、人の交流に飛行機を使えない)

そう、BE36は大陸の物資を運ぶのに精一杯で、人を乗せて運ぶ・・・旅客機になっていなかったのであった。


・・・


アストラル(南東伯)様。今回こそ、シャールカ様に進言してください』

エリザベート(参謀)クラトの王宮で、アストラル(南東伯)に進言・・・いや恫喝していたのであった。


(そんなこと言われてもなあ・・・今より大きい飛行機を作ってもらえなんて・・・)

アストラル(南東伯)には無謀な話にしか聞こえていなかった。


『シャールカ様が到着されました』

侍女がそう言ってアストラル(南東伯)に伝えてきた。シャールカ様が到着されたら伝えるように指示したのはアストラル(南東伯)である。

(さて・・・どうなることやら)

アストラル(南東伯)は他人事のように思いながら、5か国首脳会議に臨むのであった。


・・・


『今日は、各国に集まっていただき、このアストラル(南東伯)、皆さまに改めて御礼申し上げます』

シャールカ、アルガソード(アントラニア王国国王)グルバード(インゴニア国王)、(先日交代したばかりの)ロディア国大統領を前にアストラル(南東伯)は話始めた。

『ゴンドア大陸は飛行機による輸送により、大きく発展しております』

アストラル(南東伯)の言葉にシャールカを始め皆が頷いた。

『ですが、いまの飛行機では輸送量が足りません。機体数をこれ以上増やすと、飛行機が多すぎです。そこで、人が70人、いや90人乗れるような飛行機。出来れば、今の5倍の速さで飛行する機体が欲しいです』

アストラル(南東伯)エリザベート(参謀)に暗記させられた内容を話し切ったのであった。


3人の首脳に驚きと、希望が入り混じった表情が見える。もっと早く、輸送量の多い飛行機が欲しかったのは同じだったのである。


アストラル(南東伯)よ。そんなものがあるとは聞いたことがないぞ』

シャールカはBE36以外の飛行機を知らなかったのである。


『はい。我が始祖の残した資料によると、イパラの地下にある建設ユニットには、飛行機の開発ユニットが併設されているそうです。その開発ユニットで計画されていたのが、GRJという飛行機だったそうです』

アストラル(南東伯)はそう言うと、大きな紙を広げた。そこには、2機の見たことがない飛行機が描かれていたのである


シャールカがその大きな紙の左端にある=仕様=と書かれた部分を読み始めた。

『全長33.4mと35.8m、最大速度829km、最大離陸重量 36,850kgだと・・・』

何れも、BE36とは比較にならないほどの仕様であった。


(でかい・・・でかすぎる。叔父は何を考えていたんだ)

シャールカは、その仕様に驚いていた。この飛行機にはプロペラはなく、ターボファンエンジンという技術で、推力を得ると書いてある。

(離陸滑走距離(最大離陸重量時)が1450mだと・・・あり得ん。そんな仕様の飛行機なぞあるわけがない)


アストラル(南東伯)よ。これは今のゴンドアでは作れないぞ』

シャールカは諭すように言った。

(いくら何でも無理だろう)


アストラル(南東伯)は、後ろに控えていたエリザベート(参謀)に合図を送る。すると、会議室の一角の扉が開き、各国首脳にとって見覚えのある人物が入っていた。


『もっと大きい飛行機も見たことがあるにゃ』

エリザベート(参謀)に頼まれて、クラトに来たネオであった。


『ネオ。それは本当なのか』

シャールカが驚きながらネオに向かって言った。


『本当だにゃ』

ネオは熊本空港にいたころ、小型機総合基地から見える滑走路を飛び立つ、エアラインが保有する旅客機を見ていたのである。


・・・


シャールカは各国首脳を引き連れて、イパラ要塞の地下にある建設ユニットに来ていた。出迎えのゴーレムを見つけると、連れてきたエリザベート(参謀)に先ほどの絵を広げさせ


『ここに、この飛行機を開発するユニットがあると聞いたのだが、本当か?』

いきなり質問するシャールカに


『はい。GRJ開発ユニットはございます』

ゴーレムは淡々と答えるのであった。


『BE36では輸送量が足りなくなってきていてな。このGRJという飛行機を作ってほしいのだ』

シャールカはゴーレムに言った。


ゴーレムは、BE36の生産ラインの方を指さし、

『BE36の生産ラインの更に先にGRJ開発ユニットはございます。ですが、必要な資材と、動力となる魔石が必要です』

そう言うと、ゴーレムは何処からともなく現れた巨大スクリーンに必要な物資を表示していく。


『こんなに必要なのか・・・』

『いくら何でも・・・』

『ありえない』

啞然としているシャールカに代わって、各国首脳たちが呟き始めた。そこには大量の金属と、それを加工する動力の魔石、ゴーレムを動かす魔石が見積もられていた。その量、約10tにも及ぶ見積もりに、


『いくら何でもこんなに魔石は存在しない』

シャールカも呟いたのであった。


『魔石は、1tずつ用意していただければ大丈夫です。それと、これは神様の許可が必要になります』

『神様の許可?』

ゴーレムの説明に首を傾げるシャールカに


『この世界の神様にご指導していただき設計・開発した後、試作機を作ります。出来た試作機を神様が神界で審査をしていただき、合格できれば生産可能となります』

淡々と答えるゴーレムに


『お前の話だと、ネオが“新人の神様”と言っているものに指導してもらい、設計開発すると聞こえるのだが・・・』

シャールカが呟くように言うと


『その通りでございます』

ゴーレムが即答した。

(あいつにそんなこと出来るのかにゃ)

シャールカに同行していたネオは、新人の神様を思い出しながら思っていた。


『ネオ!これでも儂は、シカゴ神様条約の締結メンバーなのじゃ』

突然、光出したかと思うと、ネオやシャールカにとって見覚えのある男?“新人の神様”が現れたのである。


『にゃんだそれ』

ネオが新人の神様に言い返す。シャールカ以外の各国首脳は何が起きているか理解できなくなっていた。


『神の世界・・・神界における飛行機の安全基準を定めたルールがあるのだ。それに合格する飛行機であれば、許可がでる仕組みなのじゃ』

新人の神様はそう言って胸を張った。自信があると言わんばかりである。


『で、その安全基準をちゃんと説明できるのだろうにゃ?』

ネオは目を細めて言った。


『だ・・大丈夫・・なはずだ。私もメンバーだし・・・』

新人の神様の様子がおかしいこと気が付いたネオは


『何か隠しているにゃ』

そう言って新人の神様を指さした。


『そ・・・そんなことはない』

何故かうろたえながら答える新人の神様。

(へました奴を懲罰すると言ったら、誰も教えてくれなくなったんだよな・・・でもそれまでの内容は知っているし・・・)

実はメンバーと言いながら最新の情報を知らない“新人の神様”であった。


・・・


その場で行われた、各国首脳の協議により、必要な資材を各国が提供することで合意した。ただ、魔石があまりに多かったので、魔石に関しては1tずつ提供していくことで合意。“新人の神様”は定期的にGRJ開発ユニットに来てもらって、指導していただくことになった。


・・・


 ゴンドア中から資材と魔石が集められた。当然、街道用ゴーレムの生産もストップである。何とか1tの魔石と必要な金属を集めることが出来、それらはイパラ要塞地下のGRJ開発ユニットに送られたのである。


『良いか。このことは民には内緒だ』

5か国会議の席で発した、シャールカの言葉に各国首脳は頷くのであった。


そして、ネオ達は、ダンジョンでの魔石回収に明け暮れる日々を送っていた。

『一体いつまで、魔石回収すればいいのにゃ!』

終わりの見えない魔石回収にネオが叫ぶのであった。


・・・


7年後、試作機が完成した。

完成した機体を飛ばすため、イパラの空港は大改修され、滑走路は2740m、幅45mに拡張されたのである。事情を知らない人達たちからすると明らかにおかしい大きさに変更された滑走路を見て

(シャールカ様は気がふれたのか)

口には出せないものの、ゴンドア・・・特にイパラ周辺の人たちに思われていたのである。


夜中に、こっそりイパラの空港に転移された試作機は、轟音を出しながら漆黒の闇を離陸した。それを見ているシャールカと各国首脳たちは手を叩く。

BE36を2機随伴させ、大陸の外にある海上にて、航空機の基本動作である降下・上昇・旋回等を行い1時間27分後、無事着陸したのであった。


(ようやくここまできたな・・・)

7年の苦労が報われた瞬間だった・・・はずであった。


・・・


新人の神様は、試作機をシカゴ神様条約に基づくFAA審査の領域に持ってきていた。

(無事飛べたし・・・大丈夫なはず)


新人の神様が持ち込んだ試作機を調べ始める他の神様たち・・・その結果、


『この飛行機は不合格です』

なんと、満場一致で不合格になったのである。持ち込んだ本神(?)は審査に加われないからでの結果ではあるのだが・・・


『何故なのじゃ!』

予想外の結果に頭に血が昇る“新人の神様”


『君、今の基準ではこの構造では許可出来ない。ここの構造とか危険すぎだ』

圧力隔壁が破損した際、操舵システムが壊滅する構造になっていたのを指摘されたのである。

『そんな・・・』

新人の神様の呟きは誰にも聞きとられることがなかった。


『では、この飛行機に関する記録は全て破棄される』

GRJ開発計画は、ゴンドア大陸に住む全ての人から消去されたのであった。

(何年も魔石回収したはずだがにゃ・・・何故だったのかにゃ?)

=このお話はフィクションです。全て架空のものです。現実の世界とは何も関係ありません=

(重要なので2度書きました)

似たようなニュース(話)を見た、聞いたと思うのは錯覚です。

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