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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第14章 後日談・・・
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第158話 舗装道路

何故か、ラオカ村にやってきたシャールカ・・・

『・・・やってしまった』

シャールカは、ラオカ村に来ていた。特に用事があった訳ではない。ただ、各国首脳の前で頭に血が上ってしまい、怒鳴ってしまったことを後悔していたのである。そして、そんな話をすることが出来るのは、ラオカ村にいる2人の人外・・・ネオとメリアしかいなかったのである。


『いきなりやって来たかと思ったら・・・そんなことですか』

メリアは呆れたふりをして言った。本当は心配なのだが、ここで引き下がってしまってはシャールカにとって良くないと直感したのであった。


『だがなあ・・・街道のゴーレムは本部にある生産ユニットにあったのだがなあ・・・1体/日しか作れないのだ』

1日で1体作ってしまうのは、1000年前でもかなり早い方なのだが、街道の長さを知っているシャールカにはため息しか出ないのであった。


『そんなの大したことではないです。1ヶ月分ごとにまとめて、少しずつ工事をすればいいのです』

メリアはあっけなく言った。実際には、その方法しかないわけなのだが・・・。


『建設ユニットでコピーしてもらって、数か所で作ればいいのにゃ』

本部の生産ユニットはコピーできるのを知っていたネオは、他人事のように言った。


『そうか・・・ありがとう。沢山魔石がいるのだ。協力してくれるな』

シャールカの口元が緩んだ。


(しまったにゃ・・・余計なことを行ってしまったにゃ)

ネオは自分が言った言葉に後悔していた。ダンジョン内討伐をしないといけないという話をシャールカにしたのち、アミアのダンジョンは公開され、多くの冒険者が挑んでいた。その結果、魔石はそれなりに産出されていたのだが・・・。


『街道ゴレームにはオークの魔石がいるのだ。ネオ、メリア、よろしくな』

そう、今や、オークはアミアのダンジョン3Fと、公開されていないマスターダンジョンの4Fくらいしかいないのである。レベル3の冒険者たちには、レベル5相当のオークは集団で掛からないと倒せない魔物であった。ダンジョンで出会ったらかなり苦戦するレベルなのである。レベル6の兵士達なら問題ないが、そんなに動員するわけにはいかなかった。


そして、シャールカは、最近のラオカ村に関して報告を受けていたのであった。というのも、ドワーフだけでは手が足りなくなったラオカ村の農場を応援するため、ロディア国から労働力の提供を受けることになった。それらの指導はロクがしてくれるので、ネオとメリアは、ラオカ村の自宅で暇をしていたのである。つまり、この大陸の最大戦力は暇をしていたのである。活用しない手はなかった。だが、素直に頼んでも、今更ダンジョンに籠ってはくれない・・・と踏んでいたシャールカは、自分が激怒してしまった事態をそのまま利用したのであった。


オークの魔石回収に行くことになったネオとメリアだったが、シャールカの考えの穴をメリアが見つけた。


『街道ゴーレムだけでは、地上の輸送は改善しません』

メリアが言い切った。


驚くかと思われたシャールカであったが、意外にも

『気が付いたか・・・』

と呟くだけだった。解っていたらしい・・・。


『にゃ?なんでにゃ?』

解らないでいるネオに


『結局、馬車が早く走れないと地上輸送は改善しないのです』

『つまり・・・街道を滑走路にするのかにゃ』

メリアの話を聞きながら、ようやく理由が解ったネオであった

(そうか・・・安全になっても、馬車が早くなるわけではないのにゃ。空港の滑走路のようにすれば、馬車も早いのにゃ)

街道が舗装され、馬車の車輪が発生させる抵抗が少なくなれば、馬車―は負担が減って早くなる。もしくは多くの者が積める。そうすれば、輸送が改善するのであるが、街道ゴーレムは、街道の保全(除草や轍をならす)しか出来ないのである。地上の輸送を改善するためには、街道の舗装が必要であった。


この世界の滑走路は、アスファルトではなく、全てコンクリート舗装であった。建設ユニットの仕様がそうなっていたからなようだが、石油がこの世界には無かったのである。BE36(飛行機)も魔石を原料にする燃料で動いているのである。

『シャールカさんにゃ・・・生産ユニットにセメントはないのかにゃ』

ネオがシャールカに言った。


『せめんと?』

首を捻りながら、タブレットを覗き込むシャールカ。ネオは確信を持っていた。

(これだけ、あちこちにコンクリートが使われているのにゃ。絶対あるはずにゃ)

今まで、建設ユニットが作って来た建造物を見ていたネオは、コンクリートで作られていく構造物や滑走路を見ていたのである。熊本にいたころ、母猫に連れられて行った先は、コンクリート製の大きな建物の中だったのである。そして、コンクリートを使ってものが作られていく様を実際に見たこともあったネオは、建設ユニットが使っていた、乾くと固まる石がコンクリートであること見抜いていたのである。


『あったぞ・・・』

シャールカは、セメント生産ユニットの存在を見つけたのである。

(材料は、石灰と粘土か・・・確かローラシア山脈の西側にそんな地層があったはずだ)


そして、シャールカは思い出す。

(バルディカの秘密基地・・・あそこは石灰と粘土の地層だ)


『セメントは、バルディカの秘密基地だったところに設置すれば生産出来るぞ・・・だが、これはなにに使うのだ?』

シャールカはセメントが何に使われるのか解らなかったのである。


『セメントはにゃ。砂と水を加えてよく混ぜるとコンクリートになるのにゃ』

『???』

『???』

話を聞いていたシャールカとメリアは、まだ理解できなかった。


『コンクリートが乾くと、ああなるのにゃ』

ネオはラオカ空港の滑走路を指さしたのである。


『ええ~!』

シャールカとメリアの声が揃った。


・・・


数日後、シャールカに無理やりセメント生産ユニットをバルディカの秘密基地にあったところに設置させ、そこで作らせたセメントをラオカ空港に持ってこさせた。セメントの粉を見て、シャールカは


『本当にこんなものが砂と水を混ぜるとああなるのか』

シャールカは滑走路を見ながら言った。


土魔法でセメントを混ぜるための溝を作ったネオは、セメントの袋を開けていく。次に砂を放り込み、最後に水を池から持って生きて入れてかき混ぜ始めた。最初は疑いの目で見ていたシャールカとメリアが次第に驚きの顔に変わっていく。なんと、泥のようになったのである。そしてネオは、ラオカ空港の道路幅を拡張するように地面に敷きつめていった。最後に長い角材を持ち出して、片方をメリアに持たせ、平らにならしていったのである。


『これで乾くまで待つのにゃ』


・・・


3日後、ネオが敷き詰めたコンクリートは固まり、平らな石になっていた。コンクリート舗装の完成である。再び様子を見にやって来たシャールカは、


『本当に平たい石になっている・・・』

コンクリート舗装を理解したのだった。


『これを街道作っていけば、馬車は早くなるはずにゃ。にゃははは・・・』

ネオは髭を触りながらにやけたのだった。


・・・


ネオが実演して見せたコンクリート舗装は、サマランドとサマランド空港の間で実験的に施工されていた。一部は石畳での舗装済んでいたところもあったが、石畳みと比較しても悪くない(むしろもっと良い)結果になったのである。シャールカはセメントを、ヘリコプターで輸送し、サマランドからラオカまでの街道にコンクリート舗装を行わさせた。兵士を大動員して実施した結果、セメントを確保するのに3ヶ月を要したものの、半年後には、サマランドとラオカ空港の間街道がコンクリート舗装になったのである。途中にあった、ダレンの街が狂喜したのは言うまでもない。


『馬車が早い!』

『馬が疲れてねえ』

人々が驚きながら、街道を使い始めた。雨が降っても歩きやすい道になった街道は、ダレンの海産物を積んだ馬車が駆け抜けていくようになった。


『アジの干物がダレンから届くようになったのにゃ』

ダレンからラオカ空港経由で干物などの海産物が輸出され始めた。特に、アミアやサマランドでは好評なのだが、ダレンからは、街道を馬車で走らせた方が安く、大量に運べる状態になったこともあり、飛行機の需要がひっ迫することはなかったのである。ネオは、ラオカ空港でアジの干物を買い付けることが出来るようになったため、ご機嫌であった。


『シャールカにコンクリート舗装を教えてよかったのにゃ』

石油のない世界ですが、石灰はあったようです。

馬車って、舗装してある道なら、舗装していない道に1.5倍くらいで走るらしい・・・(昔、どっかで聞いたような・・・)。


次は・・・?

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