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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第14章 後日談・・・
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第157話 空港建設の陳情

もう1話書いてみましたが・・・ネタ切れ感が・・・。

『シャールカ様!』

今日もサマランドの王宮にセバスチャンの声が響いた。


『聞こえているぞ』

答えるシャールカもすっかり慣れてしまっている。


『シャールカ様宛に陳情の書類が来ております』

そう言って、セバスチャンはシャールカの執務室にある机に書類の山を置いた。結構な量の山である。


『全部陳情なのか・・・』

驚くシャールカに


『はい。これは、空港設置の陳情書でございます』

セバスチャンは当然と言わんばかりに答えた。

『他の陳情書は、整理出来次第、別途持ってまいります』


どうやら、他の陳情書は、整理してから持ってくるらしい。


(こんなに見てられない・・・というか、これ以上空港を作る気なぞないのに)

シャールカは心の中で叫んでいた。


『セバスチャン。ゴンドアの地図に、陳情書を持ってきた街の場所を記載したものを作成せよ。書類は国ごとに別けよ』

地図を見て陳情してきた街の位置を確認するという言い訳で、

(地図を見ながら断る理由を探すか・・・)

シャールカは、セバスチャンに仕事を返すのであった。


・・・


数日後・・・

『シャールカ様!』

恒例のセバスチャンの声が響いたあと、大きな地図を持ったセバスチャンが現れた。


『全て記載してきましたぞ』

セバスチャンは、そう言いながら、壁いっぱいの大きさの地図を広げる。そこには、ゴンドア大陸に現在存在する街や村が記載されていた。

(よくもまあ・・・こんな地図を作ったのか)

シャールカはその地図を見ながら気が付いた。


『セバスチャン。陳情のあった街はどれだ』

地図には、陳情のあった街の印と思われるものが無かったのである。


『ここに記載されている、全ての街や村からです』

セバスチャンはそう言って地図の脇に立った。クラトにロディアにダレン・・・サマランドの隣村の名前まであった。

(全部の集落に空港を作れというのか・・・)

シャールカは怒りを通り越して呆れていた。


『セバスチャン・・・お前の常識からみてこれだけ空港を作ることは必要か?』

シャールカは、この地図を持ってきたセバスチャンに目を細くして見ながら言った。


『ラオカにイパラは言うまでもなく、ターミナルがないドニアやカシミの飛行場でも、周辺の街に産業が出来、急速な勢いで発展しております。自分たちの街や村に空港が出来れば、発展するのは間違いないと・・・』

陳情者の気持ちを代弁したつもりであったセバスチャンであったが、


『セバスチャン!』

話の途中で、シャールカが怒鳴った。セバスチャンが雷にでも打たれたかの如く硬直する。


『本気で言っているのか?』

シャールカはあきれ果てていた。

(空港が出来れば、どこでも発展すると民が勘違いし始めただと・・・)

民を腹いっぱい食べることができるようにするために、飛行機による産物の輸送を広げていった結果、食料の流通は急速に増加し、結果として増産した食料を大陸中に届けることに成功しつつあった。いや、麦の増産、シャガイモやトウモロコシの生産によって、酪農の飼料までもが生産できるようになり、シャールカの目的である

”民が腹いっぱい食べられる世界を作る”

は、ほぼ達成されていたのである。だが、豊になった民は、更なる繁栄を求め始めた。そして、空港が出来たことで、急速に発展するその周辺を見て、


“おらが街にも空港を”

となってしまったのである。この世界では、つい数年前まで、魔物に街が壊滅させられてしまうほど、大陸に魔物がいたのである。当然、皆の記憶には

道をあるけば魔物にあたる

という意識が住み着いてしまっていた。つまり、地上を移動するのは危険なことと理解されてしまったのである。他に方法がなかったときは、それでも馬車に荷物を積んで大陸中を移動したわけであるが、飛行機は、

短時間

魔物に襲われる心配がない

輸送手段を理解されてしまったのである。おまけに、往復金貨2枚という、コスト計算を無視した価格設定が飛行機による輸送を期待する理由になってしまったのである。空港、機体は勿論、ゴーレムによる整備、空港の運営・・・パイロットまでゴーレムで・・・。全てゴンドアの建設ユニット製で民の負担はゼロだったのである。


『乗合馬車の代わりに飛行機をという陳情も・・・』

セバスチャンが言い始めた言葉を遮るように、


『そんなに用意できるか!』

シャールカが叫んだ。


(飛行場はこれ以上増やさない!)

シャールカは心に決めたのだった。


もっと、地上を安全に移動出来るようにしなければいけないと思うシャールカであった。


・・・


それから、3ヶ月後、5か国の首脳がアミアに集まった。持ち回りで行われる首脳会談である。プリンセスシャールカ号でパラストラの空港に降り立ったシャールカは、20機はいるだろう、BE36の駐機している姿を見て、ゴンドアも繁栄に舵を切ったと確信したのだったのだが・・・。


アミアの王宮で始まった会議で

『シャールカ様、もっと機体の数を増やしてください』

『シャールカ様、もっと空港を拡張してください』

『空港のない街の不満が高まっています。なんとかしてください』

各国首脳は、シャールカに陳情を始めたのである。


ついに、シャールカは

『お前たち!自分たちで国を発展させようという気がないのか!』

ついに怒鳴ってしまったのであった。


顔を真っ赤にして怒るシャールカを見て、各国首脳はシャールカとい人物が何者であったかを思い出したのであった。

(このままでは国が滅ぼされる・・・)

強力なゴーレム兵を多数もち、この世界の最大戦力であるネオとメリアを味方につけるという、圧倒的な軍事力を持っていることを思い出したのであった。


『各国の主要街道は、ゴンドアの街道整備ゴーレムを配置することとする。これにより、街道の整備と安全を向上させる。各国は協力するように!』

シャールカの言葉に、返事も出来ず、ただ頷く各国の首脳たち・・・


シャールカがゴンドア大陸全土に命令を下した最初の出来事であった。

“おらが街にも空港を”

そんな自治体が日本にもありましたねえ~。そんなところに限って、新幹線を引けとか、駅を作れとか言うんですよ。どことか言いませんけど。


飛行機の輸送には限界があります。そして、ゴンドア大陸の主としての自覚に目覚めていくシャールカ・・・。この先にあるのは繁栄なのか、それとも・・・。

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