第136話 サツマイモ、大豆の収穫と討伐作戦会議
1話だけ書いてみました
ネオは、何とかシャールカにラオカ空港まで送ってもらう事に成功し、ラオカ村に帰って来た。
『にゃんと!』
そして、広い範囲に広がるサツマイモの葉に驚いていた。
『大豆も育ってますよ』
大豆は薄い緑色をした豆が出来ていた。
『確か枯れるまで待つのだったにゃ・・・でもこのまま茹でても旨そうだにゃ』
大豆をみながらネオが呟くと、
『確かに美味いっすよ』
ネオが振り向くと、ドワーフのロクであった。
『実は、サツマイモの葉が予想以上に広い範囲に伸びたので、大豆の一部を抜くしかなくなっちまったんです。勿体ないから、豆の部分を集めて茹でて、塩をちょっと振って食べてみたら・・・こいつ酒に最高にあうんっすよ』
どうやら、仕方なく青い状態で収穫した大豆を酒の肴にしたらしい。
『そうか・・・美味いだにゃ』
ネオが答えると
『ダメです。種を少しでも沢山収穫しないといけません』
いつの間にか現れたメリアが、大豆に手を伸ばそうとしていた手を掴んでいった。
その様子にドワーフ3人が残念そうにしている。
(これはかなり美味いようだにゃ)
『今日は、角ウサギを狩ってますので、それを食べましょう』
メリアが狩りをしていたらしい。レベル20なので、簡単に狩れるはずである。
さっき、残念そうにしていたドワーフ3人は、人が変わったように嬉しそうである。
『姐さん最高っす!』
ロクの声にリクとレクも頷いている。いつの間にか、メリアは、姐さんになっていたらしい・・・
(一番年下なのににゃ)
『さあ、夕方までジャガイモも収穫しますよ』
ドワーフ3人は作業に戻っていった。
・・・
ドワーフ3人と一緒の夕食後、メリアと2人になったネオは、メリアに話しかけた。
『イパラとデコルの空港は出来たのにゃ。だがにゃ。面倒なことが判ったのにゃ』
『面倒?』
『そうにゃ。どうやらローラシア山脈の東側はヒャッケラキアの巣が出来てしまっているらしいのにゃ。そしてにゃ、デコルの西にあったヒャッケラキアの巣をやっつけてみたら、ヒャッケラキアの女王がいたのにゃ』
ネオの説明に嫌そうな顔をするメリア・・・そうメリアはヒャッケラキアが嫌いなのであった。
『やはり討伐しないと・・・』
諦めたようにメリアが呟く。
『シャールカに頼まれてしまったのにゃ』
『やっぱり・・・』
ネオもメリアも話ながら気持ちが落ち込んでいくのを感じていた。それくらい嫌だったのである。
『更ににゃ。ヒャッケラキアの女王をホーリーウインドで攻撃したら、爆発したのにゃ』
『まさか・・・瘴気発生装置?』
メリアが驚愕の顔でネオを見た。
『かもしれにゃいのだ・・・けどにゃ。あのヒャッケラキアの女王からは、瘴気が湧いて出る感じはしなかったのにゃ』
ネオがここで首を傾げた。
『もしかして、稼働していない?』
メリアが可能性を呟いた。
『わからにゃい・・・だが、早めに殲滅しないといけにゃいと思うのにゃ』
ネオの言葉に今度はメリアが首を傾げた。
『確か、インゴニア王国でケンタウロスに会いましたよね』
『会ったにゃ』
『何故か、金を集めていましたよね・・・鉱山での採掘も?』
『そうだったにゃ・・・てまさか!』
ネオをようやく異常さに気が付いたらしい。
(誰か黒幕がいるのかにゃ?)
『何者かがヒャッケラキアを増やしているかにゃ?』
『ヒャッケラキアだけでなく、何者かが魔物を使って何か企んでいるのでは?』
ネオの言葉に、メリアが被せるように言った。
((危険だ(にゃ)))
2人の気持ちが揃った。
『シャールカに収穫を見に来てもらう口実で、今後のことを相談しましょう・・・』
何せ、この世界のレベル20は3人しかいない。ゴーレム警備兵でも確保しなければ、厳しい戦いになることが予想できた。
『ワイバーンに協力してもらおうと思うのにゃ』
『ゴーレム兵次第ですね・・・でも話をした方がいいでしょうね』
メリアもワイバーンに相談することは賛成らしい。
『では、シャールカをラオカ村に招待することにするのにゃ』
翌日、ラオカ空港に行ったネオは、ゴンド航空局の職員にシャールカへの伝言を頼むのだった。
・・・
『呼ばれたので来たぞ』
伝言を頼んだ翌日、シャールカは、3人の護衛を乗せて、ラオカ村にやって来た。勿論、プリンセスシャールカ号に乗ってラオカ空港まで飛んできたのである。
『早いにゃ』
『早いですね』
ネオとメリアは想定内だったのか、あっさりと返事をしたが
『シャールカ様!』
『・・・』
『・・・』
ドワーフ3人は、突然のシャールカ参上に驚き、土下座せんばかりの姿勢になっていた。
『私に構わないで、収穫をしないとメリアに怒られるぞ』
シャールカが揶揄い気味に言うと
『シャールカも作業してください』
『シャールカもするのにゃ』
メリアとネオに凄まれるシャールカであった。
『いや・・・護衛のいる手前・・・』
言い訳を使用とするシャールカを左右に捕まえ、畑に連行するネオとメリアであった。
(あれでいいのか?)
護衛の3人はどうしていいのか解らず、立ち尽くしていたのである。
・・・
夕方、メリアの家で夕食となった。空港脇の池からニジマスを捕まえてきて、収穫したジャガイモを茹でる。アイテムボックスに入れていたオークと角ウサギも取り出して焼き、かなり豪華な食事になった。
塩焼きのニジマスを美味しそうに食べるシャールカに、護衛たちの喉が鳴った。
『お前たち、今日は一緒に食え!命令だ!』
シャールカの一言を待っていたかのように、護衛たちもニジマスに齧り付いた。
((美味い!))
サマランドではまだ食べることが出来ないニジマスは、護衛たちにも好評であった。
・・・
夕食後、酒を飲んで寝てしまったドワーフ3人を彼らの家に運んだあと
『ローラシア山脈の東側にいるヒャッケラキアの件だがにゃ・・・』
本題の話を始めたのだった。
『インゴニア王国の南西部にいたケンタウロスが怪しいのにゃ』
『ケンタウロス?』
シャールカはすっかりケンタウロスのことを忘れていた。
『ケンタウロスは、魔物なのに金目当てに村を襲い、鉱山で村人を使役してました。どう考えてもおかしいです』
メリアが補足した。
『ああ・・・以前言っていた奴か』
ようやく思い出したシャールカであった。
『どれくらいの強さなのだ?』
『恐らくオーガくらいだにゃ』
シャールカの問いに答えるネオ。
『アントラニア王国で発生したヒャッケラキアに追われて、インゴニア王国の南西部に現れたと思っていたのですけど、それでは説明がつかない部分があるのです』
メリアは、金に執着するケンタウロスの異常さを指摘していた。
『では、何者かがいる?』
シャールカは首を傾げた。
『もしかしたら、ヒャッケラキアより面倒かもしれにゃいかも・・・』
『最悪、ヒャッケラキアを増殖しているかもしれないです』
ネオとメリアはシャールカに言った。
『それは・・・不味いな』
シャールカもようやく事態を理解し始めた。
『ラオカ空港にいる警備コーレムが使えないかにゃ』
ネオとメリアが、マスターダンジョンの警備用に、レベル20のゴーレムが居ることを知っていたのである。
『あれは、私の言う事しか聞かないから無理だ』
マスターダンジョンのゴーレムは、シャールカからマスターダンジョンを守り、ダンジョンから出てくる魔物を倒すように指示されている。だが、遠征にゴーレムを連れていくのであれば、細かい指示を都度与える必要があり、それは、シャールカの言う事しか聞かないゴーレムには不可能であった。
『私は、パラストア・・・じゃなかったアミアを守る必要がありそうだしな』
ローラシア山脈の東側の魔物たちを攻撃すれば、アミアや、その南の開拓地が襲われる可能性は高い。シャールカはその警備に必要だった。
『ゴーレムの生産は建設ユニットに依頼するが、アミアと開拓地の防衛に使うくらいだろう・・・』
『開拓地の西に壁を作るのにゃ』
肥料(腐葉土)を確保するため、特に何も壁を用意してはいなかったのであるが、防衛用の壁を設置することをネオは提案したのである。
『そうだな・・・門を数か所作って、魔物の侵入をゴーレムたちに防がせることにしよう。私はアミアに駐在するか・・・いざとなったらゴーレムをパラストア空港、又は飛行訓練センターに送ってもらい、指揮を執ることにしよう』
シャールカは、民を魔物から守ることに専念する気らしい。
『わかったにゃ。メリアと俺はワイバーンに協力を頼みに行って、そのままローラシア山脈の東側を北上して討伐していくのにゃ』
その言葉にメリアも頷いた。
(ヒャッケラキアは嫌いだけれども・・・仕方がない)
メリアは諦めていた。
『ラオカ村の畑が・・・』
メリアの言葉に
『・・・』
『・・・』
ネオもシャールカも言葉が出ない。せっかく開拓した畑が、長期間留守にしたことで元の草原に戻ってしまうのは、避けられそうになかったのである・・・。
重苦しい雰囲気が漂っていたとき、メリアの家に訪問者があった。慌ててメリアが出ていくと
『ミラさん!』
なんと、そこには、数人のドワーフを連れたミラが来ていたのである。
『夜分すまない。こいつらを助けてくれないか』
ミラは後ろにいたドワーフたちを指さした。
大豆を青いうちに収穫して茹でると・・・枝豆です。
魔物が減り始め、ヒャッケラキアの危険は増える?
何故・・・。
次回は未定です。