第135話 デコル空港開港
やっとデコルに空港が出来ます
『暇だにゃ~』
デコルの空港は、ゴーレムたちが、どんどん作っていった。ネオは、ヒャッケラキアが出てきたときの対応のため、建設現場に毎日来ていたが、ヒャッケラキアどころか魔物1匹出てこなかった。
(5mの壁を越えてくる魔物はいないのにゃ)
暇な毎日が過ぎていく・・・
・・・
『作業は完了しました』
建設リーダーのゴーレムは空港の完成をネオに報告してきた。
(ほんとうは俺じゃないのでは・・・)
ネオは思うところがあったのだが、何も言わずに、
『シャールカには連絡したかにゃ』
ダメ元で言ってみると
『建設ユニットから、シャールカ様のタブレットにメッセージが昨夜送られております』
ゴーレムリーダーは何等か建設ユニットと連絡がとれるらしい。
(ということはにゃ)
ネオは思ったとき、それは現れた。特別塗装のBE36・・・プリンセスシャールカ号である。
『あれが、降りてくるまで、ちょっと待ってにゃ』
ネオは空にいるプリンセスシャールカ号を指さした。
・・・
プリンセスシャールカ号が着陸し、予想通りシャールカが出てきた。降りてきたシャールカは、ゴーレムリーダーにところにやって来て、
『早速、完成検査をしようか』
と言ったのに対し、
『まだ完成検査前なので、着陸されるのは困るのです』
ゴーレムリーダーは想定されていない事態に判断が出来ないでいた。
『今、プリンセスシャールカ号は場外着陸をしたという理解でいいのにゃ』
ネオがゴーレムリーダーに助け舟を出した。ネオの言葉を受けて、ゴーレムリーダーの思考は無事、再開されたらしい。
・・・
空港は問題なく完成していた。仕様としては、サマランド空港から空域管制を除いたものになっていた。あくまで、空域管制は北東管制所で行うということらしい。川が近くになかったので、ラオカ空港やイパラ空港のような食堂はなく、広い予定空間のみになっていた。
(この空港に赴任する職員は可哀想だにゃ)
サマランドは職員にとって地元なので、空港に住む必要はなく、パラストアはすぐ隣がアミアの街なので、アミアに住めばよかったのである。が、デコルは街まで約20kmあった。歩いては半日で着かない距離である。職員は空港に住み込むことになる。住居は出来ているので問題ないが、売店も食堂もない空港は住むには厳しそうだった。
『ここの2Fはどうするのにゃ』
ネオはシャールカに聞いた。
『そうだなあ・・・インゴニアに考えさせようかな』
シャールカに特に考えはないらしい。
完成検査が終わったので、ネオは、送還の魔方陣を広げた。運ぶのが面倒なので、自ら、魔方陣に入ってもらおうという考えであった。そんなネオの気持ちをわかっているのかいないのか、送還すべきゴーレムと資材たちは勝手に魔方陣の上に集まって来た。
『皆、建設ありがとう。ゴンドアを代表して礼をいう』
シャールカの言葉に何故か反応して頭を下げるゴーレムたち
(きっとシャールカを主と思っているのにゃ)
ネオはその様子をじっと眺めていた。
シャールカが魔石をセットすると、30秒後、魔方陣ごとゴーレムと資材は消えたのである。
(すごい技術だにゃ)
ネオは感心するばかりであった。
・・・
送還が完了した直後、警備ゴーレムがやって来た。
『馬車が来ます』
警備ゴーレムの報告に
『出迎えてみよう。おかしな奴らだったら成敗すればいい』
そう言ってシャールカは正面入り口に向かって歩いていくのだった。
(しかたにゃい)
ネオはシャールカの後を追うようについていった。
・・・
馬車でやってきたのは、バード《インゴニア国王》とローベスであった。プリンセスシャールカ号が来たのを見て慌ててやってきたらしい。馬車から降りたばかりの2人に
『デコル空港は出来上がったぞ』
シャールカが言った。
『もうですか・・・まだ7日しか経ってないですが・・・』
ローベスは汗を拭きながら出来上がったターミナルを見上げてている。信じられないと言いたそうである。
『まっ、案内するから付いてきてくれ』
シャールカはそう言うとターミナルビルの中に入っていった。
『ほう・・・』
『はあ・・・』
バード《インゴニア国王》と、ローベスからは、ため息なのか驚きなのか、はたまた感嘆なのか、よくわからない声が漏れていた。水洗トイレを見て、欲しがったのはお決まりのパターンである。そして2Fを見せたシャールカは、
『このフロアはインゴニア王国どう使うか考えてほしい。明日にはゴンドア航空局の職員が3人赴任するから、彼らと相談してもよいぞ』
本来は、売店と食堂のためのエリアである。今は広い空洞になっていた。
シャールカの言葉に顔を見合わせる、バード《インゴニア国王》と、ローベス。
((どうしましょう・・・))
困ったと顔に書いてありそうであった。
『各国に米や魚を輸出してはどうかな』
シャールカは楽しそうにいった。更に
『さっき、8005が完成したというので、今からサマランドに戻る。ネオも連れていく。警備ゴーレムがいるから問題はないはずだ。出来れば、明日もローベスに来てくれると助かるが・・・。職員を連れてデコルに伺いたい』
『はい。お迎えに参上いたします』
ローベスは汗を拭くことすら忘れて答えていた。
『にゃあ・・・そろそろラオカ村に返してほしいのにゃ』
シャールカにネオが言った。
『そうだな・・・ヒャッケラキアの討伐をしながら帰ってもらうか・・・』
シャールカの言葉に
『あんまりにゃ』
思わず反論するネオであった。
ネオはラオカ村に帰れるのでしょうか・・・。
一旦ここまでとさせていただきます。
続きは書くかもしれません(不明)。