表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第12章 新生ゴンドアの発展
147/189

第127話 ラオカ空港の開港と招待飛行

プリンセスシャールカ号でパラストア空港に降り立ったシャールカは、カウンターにいる職員に手を振って、

『アミア王宮に行ってくる』

と言ってターミナルを出ると、出口にはアントラニア王国の馬車が待っていた。


『シャールカ様。陛下が王宮でお待ちしております』

ゲルド《宰相》が恭しくシャールカに頭を下げた。


『出迎えご苦労』

そう言って馬車に乗り込むシャールカ。


『護衛の方は?』

シャールカ以外誰もいないことから、ゲルド《宰相》がシャールカに確認した。


『いないぞ。一人で来た』

あっけなく答えたシャールカに


(セバスチャンは胃が痛いだろうな)

ゲルド《宰相》は黙って、馬車を王宮に向けて出発させるのであった。


・・・


アルガソード(国王)。元気だったか?』

シャールカは、王宮に着くなり、出迎えたアルガソード(国王)に話しかけた。


『はい。魔物は落ちついてきたようで、安定してきております』

アルガソード(国王)は用意してきた言葉をしゃべる。ゲルド《宰相》とは事前に相談済みであった。


『ゴンドア航空局の職員に持たせた書状にあった件だが、大丈夫か?』

『はい。シャールカ様のご指示とあれば、今からラオカまで伺います』

シャールカは、ラオカ空港の開港に合わせ、ラオカ空港の食堂・・・空港レストランにゲルド《宰相》と共に、アルガソード(国王)を招待したのである。


『ん!では、早速行くことにしよう。夕方までには戻ってこれるから安心いたせ』

シャールカは何気なく言ったのだが


((ロディア国まで日帰り!))

アルガソード(国王)はもちろん、ゲルド《宰相》や同行する護衛の気持ちが揃った。


・・・


そのころラオカ空港では・・・


『にゃに!今日、アントラニア王国の国王とロディア国の大統領が来るにゃど!』

昨夜、ゴンドア航空局の職員からメリアに伝えられた話は、翌朝、起きてきたネオに伝えられたのであった。


『食堂の準備をしておくように伝言を受けています』

メリアは職員が話したことを淡々と伝えた。昨夜は、ネオが眠いと言ってさっさと寝てしまったからである。


『急いで、魚を取ってくるのにゃ』

ネオは池に向かって走っていった。


・・・


『大統領。本当に行くのですか?』

バルバス(近衛隊長)は宰相も兼ねていることから、最近では、大統領の傍にずっといたのである。昨日、ゴンド航空局の職員が持っていた書状には、

“明日、アントラニア国王とラオカで昼食を食べよう”

と書かれていたのである。


『行かないという選択肢はあるまい』

大統領は仕方がなさそうに言った。ラオカ付近に空港が出来たことは把握していたのである。が、まさかいきなり明日開港するので昼食を食べにくるように言われるとは思わなかったのである。

大統領は、バルバス(近衛隊長)と2名の護衛を乗せた馬車に乗り、ラオカ空港に移動し始めた。



・・・


『死にたくなければ、シートベルトをしろ!』

プリンセスシャールカ号の後席にアルガソード(国王)とゲルド《宰相》を座らせたシャールカは、問答無用で2人にシートベルトをさせる。座席に拘束された経験などない2人の顔は引き攣り、蒼白である

(大丈夫なのだろうか・・・)


もう1機、8001では、護衛の騎士3人にシートベルトを掛ける作業が行われている。この世界では、シートベルトという考えがないので、ゴンドア航空局の職員が1人づつ作業していったのである。


『では行くぞ!』

ゴンドア航空局の職員がいる管制塔と交信し、滑走路からプリンセスシャールカ号が離陸した。レフトターンして、アミアの上空を通過し、ロディア国を目指す。8001も少し遅れて飛行していた。


順調に飛行する機内で、シャールカはご機嫌であった

『ローラシア山脈がよく見えるぞ』

シャールカは後席に座る2人に話しかけたが・・


『・・・』

『・・・』

シャールカが後席を覗き込むと、真っ青になって硬直しているアルガソード(国王)とゲルド《宰相》が目に入った。


(こいつら、軟弱だなあ・・・)

シャールカは話掛けるのを諦めて、飛行を続けるのだった。


・・・


『魚のムニエル、ジャガイモコロッケパン、コーンスープ・・・何とかなりそうだにゃ

大慌てニジマスを捕まえ、食材ストックにセットし、試しに1食用意してみたところ、問題なく出来上がった。

『護衛の方は一緒に食べられないから、コロッケパンを用意して置きましょう』

メリアはそう言って、コロッケパンを10食ほど用意していた。


その時、ターミナルビルに放送が入った。


『まもなく、プリンセスシャールカ号、8001が到着します』

ほとんど、だれにも開港の連絡をしていないので、ギャラリーは誰もいなかった。が、警備のゴーレムは配置してあったので、来場者は監視できる状況ではあったのである。むしろ、今日はギャラリーがいないことが、都合が良かったのである。


(周知できていなくて、幸いだったにゃ)

そして、ネオとメリアが駐機場に向おうとしたその時、1体のゴーレムがやって来た。


『馬車が1台やってきます』

ロディア国の大統領の乗った馬車であろうと推察できた。


『ちょうどいいにゃ。正面で降ろして駐機場に案内するのにゃ』

ゴーレムに指示を出し、ネオとメリアは駐機場に向かうのだった。


・・・


2機の機体は無事に着陸し、駐機場に並ぶように停止した。マーラシャーのゴーレムの指示によるものである。アルガソード(国王)とゲルド《宰相》のシートベルトを外してやり、機外に降ろすに一苦労あったものの、誰も怪我することなくラオカ空港に到着したのである。その姿を見ていたロディア国の大統領は


(本当に1日で来たのか?・・・信じられん)

空から来た一行に驚いていた。


ロディア国の大統領が駐機場に居るのを発見したシャールカは


『出迎え大儀!ようこそラオカ空港へ』

と話しかけたのであった。


・・・


一行は2Fにある空港レストランに移動した。真新しい室内を興味深そうに見まわす一行に、


『この食堂・・・空港レストランは全自動調理システムになっているのにゃ』

『なので、皆さまには、注文ボタンを押していただきます』

ネオの説明にメリアが補足した。


入り口にある整理券発行機を指さすメリア。用意してあるメニューは

“ランチセット”

のみである。

これを選ぶと、魚のムニエル、ジャガイモコロッケパン、コーンスープが用意される仕組みであった。


物珍しそうにボタンを押す、アルガソード(国王)とゲルド《宰相》、その様子を見てロディアの大統領と、バルバス(近衛隊長)もボタンを押した。最後にシャールカもボタンを押したところで、


『約3分ほどで、ここから料理が出てきますにゃ』

受け取り口を指さしながら答えた。一行は興味深そうにネオが指さした所・・・受け取り口移動した。


『通常は、ゴーレムがお席までお届けします。今日は特別に、出てくるところをご覧いただきます』

メリアの説明に頷く一行、約3分後、トレーに乗ったランチセットが1つずつ出てきたのである。その様子に歓声を上げる一行。護衛たちまでが、目を見開いて驚いていた。


その後、

アルガソード(国王)とゲルド《宰相》、ロディアの大統領と、バルバス(近衛隊長)、そしてシャールカの5人はテーブルに移動したところで、出てきたランチセットをゴーレムに運ばせたのである。


『さあ。食べてみてくれ』

シャールカはそう言って、コーンスープを口に入れる。


『結構いけるな』

シャールカは上機嫌でムニエルを口にしていく。


他の4名はシャールカの様子を見ながら、恐る恐る食べ始めると


『これは美味しい』

『魚かこれは・・・見たことがない料理だ』

『この、何か挟んであるパンも美味しい。これだけでも行ける』

『・・・』

バスバスに至っては、言葉を失ってひたすら食べている有様であった。


夢中で食べている5人を確認したのち、護衛たちにジャガイモコロッケパンを配って歩くメリア

『交代で食べてください』


実際には、警備のゴーレムとネオ、メリアがいるので護衛など必要なのであるが・・・。彼らは、交代でジャガイモコロッケパンを食べるのだった。


・・・


『この食堂をアミアの王宮に作ってほしい』

『ロディアの街に作ってほしいです』

食事後、アルガソード(国王)とロディアの大統領が食堂の設置をシャールカに要求してきた。


『まあ・・・じつは私もサマランドに欲しいのだがな・・・どこにでも作れるわけではないそうだ。なので、今は、ここにしか作れない・・・らしい』

シャールカも本音が所々に現れるような回答で答えたのだった。落ち込む2人に

『大統領・・・ここまでの街道を整備して、馬車のスピードをあげれば、日帰りで来ることが出来ます』

バルバス(近衛隊長)が大統領に進言した

(そうすれば、1日でアミアまで物が送れる。湖畔のダンジョンにも直ぐ人を送れるぞ)

アミアまで直ぐにいけるメリットを兵士の強化に結びつけているバルバス(近衛隊長)であった。


その言葉に残念そうな顔をするアルガソード(国王)・・・。

(このムニエルが作れれば良いのだ!)

『この魚はどこで捕れるのだ』

魚を手に入れようと考え始める。シャールカは、ロディアに執着がないこともあり、

『空港の脇にある池にいる魚だぞ』

とあっさり種明かしをしてしまうのであった。


『シャールカ様。アミアの南に出来た湖は、昔は魚がいたそうですが・・・ご存知ないでしょうか』

ゲルド《宰相》がここぞとばかりに話を持ち出した

(うまくすれば、湖で魚が捕れるようになる)


『う~ん。確か湖畔の宿が魚料理を名物にしていたはず・・・私は食べたことがないから魚の種類はわからん』

シャールカは思い出すように言った。多分、“冒険者の宿 湖畔”で食べているはずなのだが、当時はダンジョンのことで頭がいっぱいで覚えていなかっただけである。


『湖が復活して1年以上経ちますが、魚が現れた形跡がありません。この魚を湖に放流してみたいのですが、何か方法はないでしょうか』

普通に考えれば、ラオカからアミアまで魚を生きたまま運べるわけがないのだが・・・。


『ネオ!明日10匹持って行って放流してきてくれ』

波高が水槽に入れて持ってきたときのことを知っているシャールカは、迷うことなく言った。

(やった・・・上手くいった)

ゲルド《宰相》は心の中で歓喜の雄叫びを上げていた。


・・・


その後、空港内を見物して回る一行。売店のエリアを見て、市場を作ろうなどといいつつ、一番驚かれたのは水洗トイレであった。


アルガソード(国王)とロディアの大統領から、食堂以上に欲しがられたが、

『トイレだけ作れない』

と言い切ったシャールカによって沈黙することに。それでもアルガソード(国王)とロディアの大統領は諦めきれない様子であった。


(サマランドの王宮に作れないか聞いてみるかな)

シャールカは別のことを考えていた。


・・・


結局、夕方近くなって、8001 と8002の2機によってアントラニア王国一行をパラストア空港に送り出し、ロディア国一行の乗る馬車を見送ったシャールカは、サマランドに帰らずにラオカ村のメリアの家に来ていた。


農作業を終えたドワーフ3人と、酒樽を持って様子を見に来たミラを見るや、

『ネオ、角ウサギの肉が食べたい』

と言ってネオに狩りに行かせ、酒樽を取り上げてから、


『今日は飲むぞ!』

とご機嫌のシャールカであった。


(まったく猫使いが荒い・・・にゃ)

シャールカもたまには酒でも飲んで騒ぎたい・・・かな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ