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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第12章 新生ゴンドアの発展
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第126話 BE36の受け取りと試験運行

シャールカは、よくも悪くもゴンドアの王女様・・・。

シャールカのタブレットに連絡が入った。


“これからサマランド空港にBR36を3機とパイロットゴーレム5体を送ります”


画面に表示された内容を見て、シャールカは微笑んだ。

(ついに出来たか)


5体のゴーレムはBE36に搭乗してくるらしい。飛行訓練センターでのテストフライトは良好との連絡が先日来ていたため、もうすぐだろうと思っていたのである。


『シャールカ様!』

そんなシャールカを現実の世界に引き戻すのが、新生ゴンドア・・・旧バルディカ帝国内を取り仕切るセバスチャンである。


『セバスチャンか・・・どうした』

シャールカは、面倒くさいと言わんばかりにセバスチャンに答えた。


『陛下!どうしたではございません。せっかく空港は出来たのに、シャールカ様以外、誰も利用できていないので不満が出ています』


そう・・・開港させたのは良かったのだが、飛行機もパイロットもいないため、1便も飛んでいなかったのである。シャールカの命令で、ゴンドア航空局が作られ、サマランド、パラストア、ラオカの各空港に配置する職員に端末の操作を教えるのが、最近のシャールカの仕事になっていたのである。だが、肝心の飛行機がいないので、教える方も、教わる方もイマイチやる気が出ていなかったが正直なところであった。


『もうすぐ、3機来る。7日後から営業開始と伝えよ!』

まだ、ラオカ空港の開港日も決めていないにも関わらず、指示してしまったシャールカであった。

(まっ・・・どうにかなるだろう)


・・・


『サマランドとパラストアの両空港には2体、ラオカ空港には1体パイロットゴーレムを配置する。BE36は各空港に1機ずつ配置。最初は、1日1件の請負とする』


シャールカはゴンドア航空局のメンバーを集めると、人員配置の説明をした。実際には、あらかじめ聞かされていたし、誰がどこに勤務するかは決まっていたので形だけである。


『もうすぐ3機のBE36がサマランド空港に到着する。明日は、パラストア空港勤務者とラオカ空港勤務者を乗せてそれぞれ赴任してもらう。明後日、パラストア空港、明々後日ラオカ空港に私が訪問する。アントラニア王国とロディア国宛てに書状を用意してあるので、赴任者は王宮にこれを届けよ』

 王宮への電話があるわけではないので、アポなしの使者訪問である。更に、シャールカ自ら、現地訪問するという宣言付きである。

『7日後から営業を開始するので、皆準備を怠るな』

(決まった!私かっこいい・・・)

シャールカが自己満足に浸っていたとき、


『すいません。運賃はいくらいただけばよいのでしょうか』

職員の一人が言った。


(しまった。輸送費を考えておくのを忘れた)

シャールカは思わず


『最初の1ヶ月はお試しで、往復金貨2枚とする』

と言い残し、執務室に戻っていってしまった。


((馬車で運ぶより遥かに安い・・・本当にいいの?))

ゴンドア航空局一同の気持ちが揃った。


・・・


『陛下!』

執務室に逃げ込んだシャールカを追いかけるようにセバスチャンがやって来た。


『なんだ!』

不機嫌そうに返すシャールカに


『往復で金貨2枚とは、安すぎです。馬車で護衛を付けたら、10倍は掛かりますぞ』

サマランドとアミア(パラストア)の間を荷馬車で荷物を運ぶと1ヶ月近くかかる上、護衛の費用、その間の食費や宿泊費を考えれば、10倍でも安いのである。それくらい、この世界での輸送はコストが掛かっていた。


『これから変えるのだ。ゴンドアのために・・・』

『ゴンドアのためですか?』

シャールカの言葉に納得のいかないセバスチャンが、言葉を返す。


『セバスチャン。よく聞け。サマランドに集められた大量の麦を早く、安く各地に持っていけたら、沢山売れると思わないか?麦の生産はまだまだ余裕がある。本来、年2回収穫できるのに、余るからと1回しか作っていないではないか』


シャールカの言葉を聞いて、背中に電気が流れたように硬直するセバスチャンに


『麦が今の倍売れたら、民は喜ぶのでないか?』

シャールカはそう言ってほほ笑んだ。


『このあと、イパラの近くとデコルの近くにも空港を作り、各国の物流を活性化させる。インゴニアの米、オスニアの酪農は魅力的だ。アミアは魔道具の生産も出来ているようだから、それらを大陸中に広めるにも役立つだろう・・・』


(シャールカ様を見直さなければ・・・)

冷や汗をぬぐいながら、セバスチャンは思っていた。


・・・


翌日、サマランドの管制塔にシャールカはいた。全自動管制システムなので、シャールカがいる必要はないのだが、無線機を手に持って


『8001パラストアへの離陸を許可する。離陸後、そのまま東に向かってパラストアに向え』

楽しそうに指示するシャールカ


『了解』

パイロットゴーレムから落ち着いた返事が返ってきた。直ぐに滑走路を眺めるシャールカには、まさに離陸するBE36が目に入っていた。離陸後、ライトターンして進路を東にとり、高度を上げていく8001に

『8001いってこい』

『了解』

シャールカの指示に答えるパイロットゴーレムであった。


『8002ラオカへの離陸を許可する。レフトターンして、そのままラオカを目指せ』

『了解』

続いて、ラオカに赴任する機体に指示を出す。8001、8002も後席に職員2名、前席にパイロットゴーレム2名にしてある。現地についたら、それぞれの配置につくことになっている現地のリーダー2名に常駐パイロット2体である。


実は、職員は各空港3名体制になっていた。つまり、パラストアとラオカにもう1名ずつ送る必要がある。


『8003 パラストアへの離陸を許可する。現地到着後、ラオカに寄ってから帰還せよ』

そう、サマランドの常駐機に2名の職員を乗せてパラストア、ラオカに連れていくように指示していたのである。

『了解』


それぞれのBE36は、シャールカの指示どおり飛行している。シャールカはサマランドの管制塔でその状況をモニタで確認していたのだった。

(タブレットでも見れるのだがな・・・管制塔の方が、眺めが良くて気持ちが良い)

本来配置されるはずのゴンドア航空局の職員を追い出して景色を眺めるシャールカなのであった。

(父上、母上、パラストアの民たちよ。私はゴンドアを復興させる・・・絶対に! 叔父上、ありがとう)

シャールカは誰にも言えない気持ちを心に秘めていた。

3機のBE36は

8001:パラストア常駐機

8002:ラオカ常駐機

8003:サマランド常駐機

になります。

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