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ネオー間違って異世界に送られた猫  作者: OPPA
第12章 新生ゴンドアの発展
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第124話 ムニエルとサツマイモ+大豆

つい、もう1話書いてしまいました

『・・・という訳で、ジャガイモとトウモロコシは順調だ』

シャールカは、オークサンドを食べている波高に、ジャガイモとトウモロコシの栽培が上手くいっていることを伝えた。


(ネオさんと私がほとんどなのに・・・)

メリアは内心面白くなかったが、大人しくしていた。


『でも、ジャガイモとトウモロコシだけじゃ、メニューが足りないでしょう』

波高は思いついたままを口にした。


『そうなのにゃ!』

波高の言葉に激しく反応したのは、水槽のニジマスを全て池に放流してきたネオであった。


『さっきの魚だがにゃ。貴族の皆様に出しても問題ないような上品なものは出来ないかにゃ?』

波高を眺めながらネオが言った。


『・・・ううん。この食堂で作れるものはどんなものなの?』

波高は、全自動食堂システムというものが理解しきれていなかった

(討伐基地の食堂くらいしか知らないが、この世界ではないはずだし・・・)


『おう・・・それならば、対応可能な調理一覧があるぞ』

シャールカはタブレット端末を操作し始めた。今回のラオカ空港建設に伴って、全自動食堂ユニットの資料が追加でインストールされていたのである。


『これだ!』

対応可能な調理方法一覧と書かれた画面を波高に見せる。

波高は、その一覧を眺めていてある行に目が止まった。


『ここにある魚のムニエルが、ニジマスでも作れると思うよ』

波高は“魚のムニエル”と表示された行を指さした。


『どのようなものなのだ?』

シャールカはムニエルを知らなかったらしい。波高がネオやメリアを見ると、明らかに解っていないと思われた。


・・・


波高はJA4169に一旦戻り、水槽に追いやられていた小さなクーラーを手に取ると、食堂に戻って来た。全自動食堂システムで試作品作成メニューから“魚のムニエル”を選択、調味料と小麦粉は既に用意されていたようで、魚を材料保管エリアにセットすると、波高が持ってきた2匹のニジマスは瞬時に消えた。


3分後・・・

試作メニュー完成口なるところから皿に乗った魚の切り身が出てきた。ちゃんと切り身には塩と胡椒・・・そして小麦粉をまぶしたと思われる形跡があり、皿の脇にはレモンのようなものが添えられていた。試しに波高が箸を使って一口食べてみると


(美味い!俺が作るより美味しい)

思わず頬が緩んでしまった。それを見たシャールカが


『私にも食わせろ!』

と言って、ムニエルの乗った皿を奪うように持っていくと、切り身を豪快に口に入れた。口の中に何とも言えない旨味が広がった。

(これは、とんでもなく美味い!)

シャールカは皿にあった残りを一気に口に入れた。


無言で貪り食うシャールカを見たネオとメリアは、慌てて、残りの皿をそれぞれ確保する。2匹しかなかったので、半身のムニエルが4皿だったのである。


ネオは手でムニエルをつまんで口に入れる。メリアはフォークを持ってきて一口、口に入れてみた。

((美味い(にゃ)))

ラオカ空港の看板メニューが決まった瞬間であった。


・・・


『でだな・・・他になにか良い作物はないか?美味しいお菓子とか作れるような・・・』

ムニエルで気を良くしたシャールカは波高に尋ねた・・・いや、急接近し凄んだのである。

その様子に波高は驚きながらも、

(そういえば、ハイム村のシャールカはどうしているかな)

と以前行った異世界のことを思い出すのであった。


『シャールカさんにゃ。まだまだ主食が足りてないのではにゃいか?』

ネオは魔物が採れなくなることで発生する食料難がまだ解消される見込みではないのを知っていたのである。

『そうですよ・・・でも、お菓子の材料になるものも食べたいです』

賛成しているのか、反対しているのか解らないメリアであった。


『ならこれかな・・・』

波高はポケットから1本の芋を出した。


『それは何にゃ?』

興味が出たのか、ネオは波高が出した芋を眺めていた。


『これはサツマイモといって、ジャガイモとは違う芋だ。蒸かして食べるととっても甘い・・・』

『なんだと!』

『素敵です!』

波高の説明を遮るようにして、シャールカとメリアが叫ぶ。


『この芋は、ジャガイモより栽培に日数が掛かるのだけど・・・』

『どれくらいだ』

波高は説明しようとするのをシャールカが待ちきれずに叫ぶ。


『植えてから120から140日くらいで収穫できる。霜が降りると枯れてしまうから、冬の前には収穫できるように栽培しないといけない』

『霜ってなんだ?』

波高はサツマイモの栽培を過去したことがあった。秋になって、収穫をさぼっていたら、霜にやられてダメにしてしまったことがあったのである。だが、シャールカは霜を知らなかった。


『霜とは、物の表面に空気中の水分が凍って付着すること なんだけど・・・』

『そんなことは、ローラシア山脈の上の方にいかないと起きないはずだ』

『ラオカ村付近はそんなに寒くなりません』

霜の説明に、シャールカとメリアが答えた。


(ここは温暖なのか・・・)

寒いのが嫌いな波高は、温暖なところが好きなのである。石垣島に将来住むための土地を購入するほどに・・・。


『であれば、植えれば、120から140日後には収穫できるよ』

そう言って、シャールカにサツマイモを渡したのである。


『確かに貰った。早速作ってみる・・・ネオ。頼む』

決して自分で栽培するとは言わないシャールカであった。


・・・


『肉が不足するのであれば、大豆を育てるのがおすすめだね』

聞いていた様子から魔物が採れなくなることを察知した波高は、たんぱく質の補給に大豆を勧めたのだった。


『ダイズ・・・とはどんなものなのだ』

シャールカの言葉にネオとメリアも頷いている。


(この世界は大豆もないのか・・・)

流石に大豆の種は持ってきてはいなかったはず・・・。突然思い出した波高は、慌ててJA4169に戻ると、右席の前にある収納を開く。予備のマイクの奥にあったのは、先日行った先でもらった大豆の種だった。

(もやしを作ろうと思ってもらったのを忘れていた)


小さな袋に入った大豆はせいぜい200粒くらいであるが・・・

波高の後を付けてきた3人は、機体から小さな袋をもって出てきた波高を見ると


『それが ダイズ なのか?』

小さな袋を指さしながら叫んだのであった。


『この豆は、20℃から25℃くらいときに1晩水に浸してから1か所に3~4粒まいてやるといいです。発芽したら、軽く土をかぶせて水をたっぷりやれば、育つはず・・・。肥料をやりすぎると豆が出来ないからほどほどに・・・紫や白い花が咲いた跡に枝豆ができる。そのまま葉が落ちるまで栽培すると、枝豆だったところの豆が軽く振ってやるとカサカサと音を立て始める。そうしたら、株ごと抜いて豆を収穫するんだ』


波高の説明を大人しく聞いている3人。メリアだけが、内容をメモにしていた。


・・・


『いろいろ言ったけど、最初は少ないメニューから初めて、新しいメニューを追加していったらどう?』

波高は何気なく言ったつもりであったが、


『そうか!そうすれば、繰り返し来たくなるわけだ』

シャールカは妙に納得していた。


(サツマイモと大豆が出来たころ、次を考えればいいのかも)

メリアは甘いという言葉にやる気を見せていたのであった。

次回は未定です。


このとき、池に放流したニジマスを異常増殖させている者がいるのをまだ誰も知らない・・・。

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